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【漢字トリビア】「晶」の成り立ち物語

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「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「水晶」「結晶」の「晶」。「晶か(あきらか)」とも読む漢字です。



「晶」という字はものの形をそのままかたどって作られた象形文字。
「日」という字が上にひとつ、その下にふたつ並んでいます。
通常「日」という字は太陽の形を表しますが、太陽はこの世にひとつきり。
そこでこの場合は、星の形を表していると解釈します。
「晶」は三つもの星が輝く明るい様子を示しているため、そこから「あきらか、かがやく、さかん」という意味をもつようになりました。

暦の上では冬も終わろうとしているこの時期。
冷たく澄んだ空気の中、星の光が冴え渡ります。
ひとつひとつは遠く小さくても、夜空を埋めつくす無数の星は、なんと明るいことでしょう。

やがて夜明けを迎える頃、地中の水分が地表に集まって細い氷の柱をつくります。
それは、朝陽をうけてきらめく霜柱。
しゃりりと崩れた足元に、透明な雫の花びらが散らばります。
霜柱を踏むのが楽しくて、白い息をはきながらはしゃぐ子どもたち。
好奇心いっぱいの瞳もまた青白く澄み、強い力を放ちます。

人の心を動かす美しい光は、天にも地にも、そして命にも宿るもの。
水晶のような特別な輝きを見つけたいにしえの人の喜びが、「晶」という漢字を通して伝わってきます。

ではここで、もう一度「晶」という字を感じてみてください。

盛岡の山で賢治の金槌にたたかれていない石はない。
そういわれるほど石集めに夢中だった、少年時代の宮沢賢治。
何万年もの月日を封じ込めた石ころが語りかけてくることばに耳を傾け、やがて彼は、いくつもの物語をつむぎ出しました。

宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』。
銀河の岸の河原できれいな砂に手を触れながら、カムパネルラは夢みるように、ジョバンニへとこう、語りかけます。
「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えてゐる。」
賢治も石を探しに足を運んでいたはずの北上川の浅瀬には、透明な水晶のかけらが集まる中州が実在するといいます。

天にも地にも、そしてもちろんあなた自身の胸のうちにも、この世を照らす石がきっと、あるはずです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『賢治と鉱物 文系のための鉱物学入門』(加藤碵一、青木正博/著 工作舎)
『宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか』(堀秀道/著 どうぶつ社)

2月3日(土)の放送では「開」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20~7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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