徐々に進むEV化 でもその前に

オートプルーブ

2018/1/25 12:00

自動車産業は今、大きな変革期を迎えている。経済誌では破壊的革命などと表現もしている。その理由は、これまで自動車産業に従事していない、まったく別分野からの企業進出があるからで、自動車産業の枠組みが崩れ、築き上げた経済構造を破壊しかねないと予測しているからだ。しかし、当の自動車関連企業が黙って指をくわえて見ているわけではなく、あるベクトルに向かって突き進んでいるのは間違いないということをお伝えしよう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

■第1回 求められる次世代車とは何か

■■人口シフトという社会問題が発端グローバルでEV化や自動運転、CO2削減の低炭素社会、などといったものが今の潮流だが、そもそもなぜ、そうしたことが叫ばれるようになったのか。地球温暖化による環境破壊というのもひとつの理由だが、大きくは、人口のシフトによるメガシティ化と地方の過疎化という社会問題があるからだ。

人は便利な都会に集中し、街が巨大化していく。2050年には世界の都市の人口は、現在の2倍の約60億人にも達すると予想され、そうなれば、交通量は現在の3倍になる。交通渋滞はひどくなり、大気汚染も進む。さらに渋滞のストレスや交通事故増にもつながるわけだ。この人類大移動は、地球上の全人口の約3分の2が都市部で生活するという結果になるのだ。

これらの話は、2017年6月世界的サプライヤーであるボッシュのイベント「モビリティエクスペリエンス2017」において、ボッシュのCEOロルフ・ブーランダー氏が説明していたことだ。これらの情報は社会学を専門とする大学教授や専門家の間では、すでに常識とされている社会問題で、実際、メルセデス・ベンツの自動運転に関する開発リーダーのアレキサンダー・マンカウスキー氏は社会学の博士である。

日本では人口の減少という世界の波とは逆パターンではあるが、都市への人口集中は始まっている。将来、なくなる県がでてくるなどという風評まで飛び出すほどで、地方の過疎化という問題も同時に起こっているのが現状だ。過疎化や省燃費車の増大に伴い、すでにガソリンスタンドの減少という問題も少しずつ起こり始めている。

こうした社会問題に対し、自動車産業はどう解決していくのがいいか? 取り組むべき技術とは何か?そしてCO2削減を加速させるには、現段階でのひとつの結論として、将来的に、サスティナブルな再生可能エネルギーによる脱石油とエミッション・ゼロを目指すことということだと思う。また、明日の都市交通を考えたときに、自動運転によるアクシデント・ゼロ、ストレス・ゼロ、エミッション・ゼロという目標を掲げ、目指すこというのがボッシュ、ZFというTier1と言われるドイツ系サプライヤーを取材して分かった結論だ。

そのためには自動運転も欠かせない技術という位置づけになるだろう。自動運転に関しては、パーソナルな車両にも搭載されるが、ドイツではリージョナルに使われる公共の乗り物から始まりそうだ。それはリージョナルなロジスティックス、カーシェアリングなどだ。北米では2018年の今年からフリーウエイでのCar to Car通信による長距離輸送トラックのコンボイ走行が始まる予定になっている。

■■自動車メーカーがやるべきこと、進むべき方向とはさて、脱石油や自動運転と、言葉では簡単だが、どれも一筋縄ではいかない。特にエネルギー問題では、国内では安倍政権発足時のアベノミクス「三本の矢」の中で、経済政策のひとつとして、内閣府のSIP戦略的イノベーション創造プログラムがある。その中には「革新的燃焼技術」「自動走行システム」があり、他にも「次世代パワーエレクトロニクス」や「エネルギーキャリア」など全部で11項目ある。

これらのプログラムに参加する企業、大学、研究機関には国から補助金が出るわけで、日本政府は燃焼技術と自動走行に期待していることが伺える。つまり、EV化を急ぐ風潮はあるが、もっとしっかりと足元を見た、次世代に向けた研究開発が必要だということだ。

従って、内燃機関の高効率化、電動化はハイブリッド、マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドを促進し、ADAS(先進運転支援システム)の、より高度化を目指すというのが政府からの期待でもあるということだ。もちろん、エネルギーキャリア(水素キャリアを含む)があるように、燃料電池開発への取り組みも重要な項目である。

さらに、EV化に出遅れているといった経済誌系の記事を目にすることも多いが、Well to Wheelで見たとき、現状の電源確保の方法ではEV化を急激に進めるべきではないと考えるのが妥当だろう。これは正直なところ判断が難しく、電力に関係する企業の資料と石油に関係する企業とでは算出するデータに乖離があるからだ。いずれにしても、2018年現在は、世界的にEV化は徐々にシフトすべきであり、ウイークポイントはインフラを含む電源とバッテリーだ。

■■電動化先進国ニッッポンちなみに、調査会社のマークラインズのデータによると、2016年世界の乗用車保有台数は9300万台。2032年には1億2400万台になるという。これは先進国での成長はほぼ横ばいで、新興国での保有台数増加だという。

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