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決定「この野球マンガがすごい!2018」今こそ読むべきはこれだ

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連綿と続く、野球マンガの系譜。そのなかで、現在進行形で面白い作品はどれなのか? 毎年恒例「この野球マンガがすごい!2018」を今年も開催。野球マンガ評論家のツクイヨシヒサ、そして私、エキレビ・野球担当のオグマナオトが、今こそ読むべき野球マンガを選定していきます。

第1位『プレイボール2』


ツクイ:2017年の一番のトピックスは、間違いなく『プレイボール2』。今、ちばあきお先生がご存命で『プレイボール』を描いたとしたら……と納得させた力作です。

オグマ:伝説の野球マンガ『キャプテン』『プレイボール』が復活!と大きなニュースになりました。そして、その復活第1話が素晴らしかった。ピンクレディの「サウスポー」から始まって、その回のテーマもサウスポー。かつて『プレイボール』が終わった1978年という時代背景もわかるし、登場人物紹介へも無理なく入っていける。連載開始時の(コージィ城倉)インタビューで、「ちばあきおの世界は『ロングの美学だ』」という話をしていて、あぁ、確かに! と思わせる描き方になっていました。

ツクイ:改めて今、コージィ先生の過去作品、特に『おれはキャプテン』を読み返すと、本当にずっと『キャプテン』が好きだったんだな、ということがわかる。今回の『プレイボール2』でも、その“ちばイズム”の継承が職人芸として面白かった。もちろん、細かいところでいえばコージィ色が出ているところはありますよ。でも、そもそも一流作家なんだから、個性を完全に消すことなんて不可能。というか、あれだけの実績を持つ作家がこんなチャレンジをするというのは、9割方リスクだったはず。それでもちゃんと面白くて話題になった、ということも含めて、「今こそ読むべき」作品の第1位だと思います。

オグマ:今、非科学的トレーンングや根性論の話って、書き手としてはもう古くさくて描けなかったり、時代的に許されなかったりする。でも、読み手としてはやっぱりその辺はまだまだ面白い。そのギャップを埋めることができるというか、無理なくできるというのも『プレイボール2』の面白い試みだと思います。

ツクイ:そう。あの当時のノリをちゃんと残している。

オグマ:これは、同じコージィ作品の『江川と西本』(※原作:森高夕次として)とも通じる部分です。あちらの作品でも、2017年はちょうど「伝説の伊東キャンプ」を描いていて、プロとしてはあり得ない根性論が剥き出し。でも、読む分にはやっぱり面白いんですよね。『グラゼニ』(※原作:森高夕次として)も含め、野球マンガを3つ同時にヒットさせているコージィ城倉パワーを感じます。

第2位『BUNGO―ブンゴ―』


オグマ:中学シニアの強豪チームを舞台にした『BUNGO』。一昨年のこのランキングでは1位を獲得しながら、去年は「マンネリ化してきた」という見立てで選外とした作品です。それが、ここまで盛り返してくるとは思いませんでした。この1年はほぼ紅白戦に費やした印象ですが、その紅白戦が見どころ満載! 初見の敵チームとは違って、キャラクターの個性がわかっているメンバーが多いからなのか。

ツクイ:それもあるかもしれないけど、主人公のブンゴが、連載開始当初の急激な成長期を過ぎてから個性が宙ぶらりんになってしまって、これどうするんだろう? と不安がありました。でも、そこで、主人公のまわりのキャラをもっと変な子にすることでテンションをあわせる、という妙案を見つけた印象です。

オグマ:特に、新エースなんて変態ですからね。

ツクイ:そう。あの新エース・鮎川瑛太を変態に描くことで、勢いを本当に取り戻した気がします。あとは単純に、野球の表現レベルも高くなっている。10巻以下に比べても、カーブの描き方とか、打球を弾く感じとか、野球の間の描写もすごく巧い。作者の二宮先生が、ワンパターンをよしとせず、こういう打球ならこう描いた方がもっとカッコいいんじゃないか、と常に研究している感じをうかがわせる描写です。

オグマ:あとは、主人公ブンゴが新たに習得しようとする変化球に「カーブ」をチョイスした、というのも秀逸だなと。今、メジャーではカーブが見直されている、という話があって、その最先端の情報も踏まえつつ作品作りをしているのかな、と。実際にそうなのかはわからないんですけど、そうだったら面白い。

ツクイ:個人的にはまだまだ緩急の「緩」が少ないというか。変態描写も「急」で描いていて、そこが面白かったりもするんですけど、緩急のメリハリはもっとあった方が野球の描写も引き立ってくるのかな、という気がしています。

第3位『バトルスタディーズ』


オグマ:連載開始から3年を過ぎても、安定してハイテンションに面白いのが、大阪の高校野球名門校“DL学園”を描いた『バトルスタディーズ』です。

ツクイ:ネタの凝縮レベルというか、ディテールへのこだわりが別格。絵のレベルもどんどん上がっているし、主人公の狩野笑太郎のキャラも動きはじめている。特に、仲間であると同時にライバルでもある、同級生とのピリピリした関係性を描くのは巧い!

オグマ:そこは本当に、作者がPL学園野球部出身、という実体験のなせる技なんでしょうね。

ツクイ:寮生活における貴重な休日の話なんて、同じ体験をした人じゃないと描けない。数多ある「野球マンガの休日話」とは格が違う。同級生との関係性も、1年生と上級生との緊張感も、あの空気感を絵で表現できるのがまたすごい。最近、さらに描写レベルがあがっている感じがします。

オグマ:そして、最新12巻の最後で、“野球以外の問題”も勃発してきました。

ツクイ:たばこの吸い殻が12巻の最後で唐突に出てきた。ここまで3年のキャプテンやエースにどんどん感情移入させて、この最強の3年生をどう描くのか?という流れに持ってきて、こうきたか! どうなるの?と。

オグマ:連載開始当初から、この作品は野球マンガとして王道を目指すのか、実体験を通した「出場辞退の悲劇」を描くのかをずっと僕らは注目してきました。いよいよその岐路に立ってきたわけで、2018年、もっとも展開が気になる作品といえます。

第4位『フォーシーム』


オグマ:昨年、唐突に「アメトーーク!」(テレビ朝日系)で紹介されたのが、『なんと孫六』でおなじみのさだやす圭先生がメジャーリーグを描く『フォームシーム』。このランキングでは以前から取りあげてきました。

ツクイ:とにかく年俸が突き抜けちゃいましたからね(笑)。僕らはよく「野球マンガ最速のストレートは誰だ?」とか「最長飛距離はどの作品だ?」という分類をするわけですけど、年俸に関してはもうこの作品を超えることはないでしょう。その意味で、2017年の『フォーシーム』は歴史に名を刻んだかな、と。

オグマ:兆をこえて、さらに倍々ゲームですからね。

ツクイ:途中までは国家予算レベルで、もうどこまであがっていくのか読めない。今、13巻で32兆ドル。日本円にすると3200兆円(笑)。2017年に始まった、“救援失敗=引退”がテーマの『CLOSER~クローザー~』も含め、“ワンナウツ系野球マンガ”はひとつのジャンルですけど、そのなかでもちょっと突出した存在になっています。

オグマ:ただ、年俸が常軌を逸しているだけで、ほかは、孫六ボールのような魔球があるわけじゃなく、日本球界をお払い箱になったロートル・逢坂猛史が地道な練習とコントロールを武器にメジャーで勝負する……と、やっていることは超オーソドックス。

ツクイ:メジャーリーガーとの勝負も、組み立ての緩急がしっかりあって、見応えがあります。2016年に描かれた「孫六vs逢坂猛史」がピークになるかと思いきや、そのテンションをちゃんと保っているし、このままシーズンを最後まで描いてくれそう。プロ野球もそうですけど、ひとつのシーズンを通して描くというのは本当に大変なこと。それをメジャーリーグでやりきること自体、偉大なことだと思います。

第5位『天に向かってつば九郎』


オグマ:ついに登場した、4コマ野球マンガ界の新鋭です。ヤクルトの球団マスコット、つば九郎が主人公のWebマンガが単行本化されました。

ツクイ:つば九郎が焼き鳥喰ってる、というネタがもうズルい(笑)。焼き鳥をむしゃむしゃ食べ歩いているだけで「つば九郎」というキャラクターを描写できるんだから、もう、なにをやっても成立する気がする。

オグマ: “畜生ぶり”がちゃんとつば九郎なんですよね。それが球団公認で描けている、という点が、作者も偉いし球団も偉い。

ツクイ:個人的には、あだち充先生のところにつば九郎自身がコミックを持っていって、「こんなかんじのほんをかいてください」とムチャぶりした企画が面白かった。「“畜生ペンギン”つば九郎があだち充の仕事場に突撃!」とネットニュースにもなっていましたけど、いくらヤクルトファンだからってあだち先生が描くわけないだろうと(笑)。

オグマ:しかもその突撃、『週刊少年サンデー』の企画なのに、『天に向かってつば九郎』は講談社の作品と、もうムチャクチャ(笑)。いずれにせよ、野球周辺をどう盛り上げるか、というのは昨今のプロ野球団のテーマでもあるし、そこで“球団マスコット”が担う役割も大きい。そこに目をつけたというか、それでエンターテイメントに仕上げているのは、つば九郎というキャラの強さかもしれないけど、存在意義は大きいと思います。

次点『球場三食』『僕はまだ野球を知らない』


オグマ:『球場三食』は、出るべくして出た“野球周辺マンガ”かなと。『球場ラヴァーズ』でもやってきたことではありますけど、それをもっと突き抜けたというか、野球描写としても完成度を高めた決定版、と感じています。

ツクイ:「野球版グルメマンガ」として、巷でも話題にのぼることが多かったですね。

オグマ:でもこれ、グルメマンガを装っているけど、実際には球場マンガだと思うんです。球場史や球団史もちゃんと組み込んでいる。連載開始当初、12話で終わるの? といわれていたけど、2軍球場に行ったり、球場跡地を巡ったりして、奥の深さを見せつけています。すでに3巻まで出ていて、まだまだ続きそう。

ツクイ:『ワイルドリーガー』や『神様がくれた背番号』などでおなじみの渡辺保裕先生という、野球マンガファンなら誰でも知っている作家が描いているから、ベースにある思いも知識量も違います。その一方で、いち野球ファンとしては、「そうだったのか!」と驚くエピソードがやや物足りないかなと……。もうちょっと、マニアックな裏話や球場関係者の話なんかも盛り込んでほしかった、というのが次点の理由です。ただ、完成度は高いですし、これから野球ファンになろうという人などには、オススメしやすい作品だと思います。

オグマ:『僕はまだ野球を知らない』は、最後まで5位にしようかどうしようか迷いました。「セイバーメトリックス」や「トラッキング」というテーマはまさに旬。トラッキングなんて、プロ野球でも2017年がようやく“元年”といわれた状況で、そこに目をつけたのは先見の明があるし、それが、工業高校なら機材があるからできる、という舞台設定も面白い。なのに、描写力が追いついていない。そのスイングでそっちに打球飛ぶの? というシーンが多すぎるかなぁ。

ツクイ:それと、監督以外のキャラクターがまったく立っていない。ネタとしては面白いけど……、という典型的な作品。ただ、期待値が高いのは間違いないので、もう少し全体のキャラが立ってくれば、化ける可能性は秘めています。

どうなる!? 2018年の野球マンガ

ツクイ:2017年で特徴的だったのは、『2年2組のスタジアムガール』(須賀達郎/双葉社)、『ポテン・ヒット・ガール』(丸顔めめ/少年画報社)、『矢野七菜子、白球を追う。』(田丸鴇彦/ノース・スターズ・ピクチャーズ)と、「横浜女子ファン、ベイスターズ女子」を描いた作品が多かったことです。この5年、時代は「カープ女子」だったけど、ここにきてそれが、「ベイ」に舵を切った感があります。

オグマ:主人公は男性でしたが、昨年最終巻が出た『ハートボール』(原秀則/小学館)も横浜が舞台でした。でも確かに、球団も強くなって街もメディアも盛りあがって……と、数年の前にカープで起きたことがベイで、という流れはあるかもしれないです。

ツクイ:2018年はさらに、ベイスターズの時代になるかもしれないですね。そしてあとは、毎年恒例のトピックスですが、“『ドカベン』終わらなかった問題”ですか?

オグマ:今年はついに終わるんじゃないかと思います。僕はずっと、2018年で終わるといってきましたから。プロ野球でも敬遠四球がなくなる時代に、悪球打ちの岩鬼の役目も終わる、ということですよ。ただ、9回でスパッと終わるかどうか。延長戦までもつれ込むと、2019年も……という芽も出てきますけど。

ツクイ:いやぁ、すんなり終わる可能性は少ないと思いますけどね(笑)。例えばですけど、「あのホークスのユニフォームは……!?」みたいな、含みを持たせて終わらせるとか?

オグマ:水島レジェンドキャラで、唯一まだ出てませんからね、あぶさん。そう考えるともうひと展開あるのかも。安室奈美恵引退、小室哲哉引退と、引退がキーワードになりそうな2018年。長寿作品の終わらせ方も大きなポイントになると思います。

(オグマナオト)

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