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「ルール違反の残業には罰則を」安倍政権が成立を目指す「働き方改革関連法」を事前予習!

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 今国会を「働き方改革国会」と位置づけ、「我が国に染み付いた長時間労働の慣行を打ち破る。非正規という言葉をこの国から一掃する」と、働き方改革を断行する決意を表明した安倍総理。その背景には、電通女子社員の過労死自殺問題や、新国立競技場の建設工事に従事していた男性が自殺した事例など、なかなか解決されない日本の労働問題が横たわっている。


 23日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、働き方評論家の常見陽平・千葉商科大学専任講師と前厚生労働副大臣の橋本岳・衆議院議員(自民党)を招き、安倍政権が目指す「働き方改革」について議論した。


■企業への罰則導入で、隠れサービス残業も?
 政府与党が今国会で成立を目指すのは労働基準法、労働者派遣法など関連8本の改正案で、(1)働き方改革の総合的かつ継続的な推進、(2)長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、(3)雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、という3つの目的を達成しようとしている。

 このうち、「時間外労働の罰則付き上限規制」が導入された場合、原則として単月45時間、臨時の場合は特別条項により上限の拡大可能となっている残業時間について、原則年360時間、臨時の場合も単月100時間未満、平均80時間、年間720時間が最大の残業時間となり、違反した場合は企業に対して罰則が付くことになる。

 橋本氏は「この特別条項とは、労働基準法36条に記載されている、いわゆる"36協定"を結んだ場合。しかしこれも"労使が協定を結ばなければならない"としか書いておらず、あとは厚生労働省の"指導"のような形で規定されているだけだった。実質的に法律上の規制がないよう状態だったので、残業が発生する原因だとされ、長い間議論されてきた。今後は条件を法律で明記するので、違反をすればその36協定も無効ということになる。働き方実現会議に労使トップの方もお招きして合意を結んだ」と説明。その上で、現状でもルールを守っていない企業にどう新しい規則を守らせるかが課題だとの認識を示した。

 この法案に対し常見氏は「一つの前進ではあると思うが、これだけでワークするわけではない」と指摘する。「なぜ日本で残業が多いかというと、そもそも人が足りないのに、こなしきれないくらいの仕事量があるから。そろそろ気合と根性では回らないことに気づいた方がいいし、バレないようにサービス残業をするということにならないようにしなければならない。生産性革命としてIT企業などへの投資を助成すると言っているが、そういうことと両輪でやっていかないといけない」とした。

■裁量労働制は"働かせ放題プラン"になる?
 また、「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制」は、労働時間規制からの除外によって「残業代ゼロ」「働かせ放題」になるとの指摘もあり、争点となっている。

「高度プロフェッショナル制度」とは、専門職で高年収者(1075万円以上)を労働時間規制から除外するというもので、残業代の支払いも撤廃される。対象業務として、金融商品の開発・ディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発などが例示されている。「裁量労働制」は、実労働時間ではなく事前に定めた時間、いわゆる「みなし労働時間」を取り入れる制度だ。それに見合う賃金が残業代も込みで設定され、仕事の進め方や時間配分などは労働者個人の裁量に委ねられる。しかし、追加の残業代を支払う必要がないため、想定していた労働時間を大幅に超え、過労死に至るケースもある。

 現行では対象となるのは編集者やデザイナーなどの専門業務、事業の運営に関する企画業務に限られているが、今回政府が進める働き方改革では、その対象業務が拡大され、法人顧客に対する企画、立案、営業なども新たに含まれるという。

 「私は嫌。最初からみなしでついてくる残業時間内に終わるワケもなく、結局もっと残業してサービス残業みたいな感じになっているので、私はちゃんと1時間とか1分単位で(残業代を)つけた方がいいんじゃないかなと思う」(IT企業営業職、20代女性)

「(みなし残業が)30時間だったら5時間の残業で終わらせれば、25時間分は得している話なので、個人の考え方によると思うが、私は賛成だ」、会社員営業職(30代)の男性は「ダラダラ働いて残業代欲しくて働いている人とかも居そうだから、だったら生産性をあげて能力のある人が短い時間でもいいから働けるっていう方が、いいと思う」(IT企業営業職、30代男性)

と、賛否が分かれる裁量労働制の拡大だが、労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は「自分の時間が取れないような業務を与えられてしまえば、どんなに働いても賃金が変わらず、残業代が発生しないということになるので、ブラック企業にとってはありがたい制度が導入されてしまうだけ」と指摘。

 かつて出版社で編集業務の契約社員として働いていたが、裁量労働制を盾に「朝の6時から夜中の3時まで働いたことがあるが、残業代は支払われなかった」という経験を持つ女性は「働き方改革法案が通れば、確実にブラック企業が増えると思うし、辞めた会社もこの法案を悪用しようとしていると聞いている」と話す。

 常見氏は「そうしたリスクは認識しないといけないが、『残業代ゼロ法案』など、十数年前と同じ批判をしているのが野党の弱みで、論破されて終わってしまう。あまり報道されていないが、今回は健康に関するルールなども設けられている」と指摘した上で、「例えば経理の人が決算の時は忙しいけど、それ以外は暇だから早く帰れる、というような形になればハッピーだが、やはり残業が発生する理由は仕事の絶対量が多かったり、突発的な仕事が入ったりするから。成果主義が言われ、ダラダラ残業するのは良くないと言われてきたけど、結局は成果を出すために労働時間が長くなったり、サービス残業しているのもまた事実。残業代ゼロというよりも"定額プラン"になってしまうのではないか。また、管理職が機能していないために現場が疲弊している面もあるので、健康管理の規定はブーメランとして企業にも返ってくる可能性がある」と話した。

 橋本氏も「この制度は、会社の上司の言うことを聞いていればいいみたいな仕事の仕方ではなく、締め切り前は働くけど、他はちょっとゆっくりしようとか、そういうことを自分で決められるだけの裁量があるのが大前提だ。裁量がない職種の人が会社に言いくるめられて契約してしまうと、ブラックになるおそれがある。働く側も、みなし労働で合っているのか判断しないといけない。トラブルの発生で残業することもあると思うが、残業代が出ないとなれば、ミスをなくそうとか、効率化という方向につながれば、という希望もある」と狙いを説明した。

 また、「高度プロフェッショナル制度」についても「最低が1000万円強と言っているだけで、それ以上は上がらないという制度ではない。残業代が出ないからといって"残業代ゼロ"という言い方はおかしくて、契約で賃金の決め方もちゃんと考えていかなければいけないという制度だ」とした。

■「同一労働同一賃金」で「正社員」もなくなるのか?
 安倍総理は施政方針演説で「非正規という言葉をこの国から一掃する」と述べた。法案改正の要項においては雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保のために、不合理な待遇差を解消するための規定の整備として、同一労働同一賃金の実現、また、正規・非正規労働者間の待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化するとしている。

 橋本氏は「子育て・介護をしている人、障害のある人も参加して回っていく社会にするために、正規・非正規ではなく、働き方に応じた賃金や労働体系にしていく第一歩だ。正規・非正規間の待遇に非合理な差があってはいけないという前提は置きつつ、たとえば転勤の可能性があるからなど、待遇差の理由を説明する義務を課すようにした。今までは自分の仕事と給料しか分からなかったが、周りとの違いが分かるようになれば議論をしたり、会社を辞めたり、訴えたりできるようにもなる。そもそも年功序列で賃金が上がっている制度の見直しや、評価の仕組みの改善にもつながっていく」と説明した。

常見氏は「同一とは職務なのか、成果なのか、という問題もある。欧米では"同一価値労働同一賃金"という考え方があるし、業界内や職種で給与水準を合わせるなど、様々な角度で議論するべきもの。短期・中期・長期でどういうビジョンを目指すのか。そもそも、正社員とは何かという議論を未だに続けている。安倍さんが非正規という言葉を無くすというのなら、正規という言葉も無くなるのか」と指摘した。

■「所詮はカネのためという認識も大事なんじゃないか」
 今回の働き方改革では、企業側に多くの努力目標が課せられた格好に見えるが、働く側の意識改革も重要だ。

慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「企業側に罰則をかけて、労働者を守ってますよという政策は今までの自民党らしくないし、人気を取れそうな政策ではある。ただ、企業だけで解決するという問題でもない。企業に入ったらゴールではなく、ちゃんと企業と向き合うということが重要だ。裁量労働制に向かって行く中で、労働者が自分の権利を主張できて初めてシステムが成り立つ。僕らが受けてきた教育は、時間を守ることとか、与えられたことを最後までやるというもの。これからは労働者として当たり前に権利を主張し、契約条件を交渉したり調整したりできる人材を育てなければいけないと思う」と訴えた。

 常見氏は「キャリア教育の中では喜びだとか、生きていくためにという要素が強調されるが、労働とは何かという本質的な問いに立ち返れば、所詮はカネのためという認識も大事なんじゃないかと思う」と話す。

 「大学生に話を聞くと"暇なときは待機してていいから"とか"最低賃金は割ってるけど、まかない飯出すから"と雇用側も悪気なく言うし、働く側もそのまま受け入れてしまう現実がある。会社でも労働者の立場が弱く、受け入れざるを得ないので、今のままだと危険。ちゃんと労働者が主張できるということを、与野党も労使も議論すべき。労働組合も、非正規が多いことを踏まえバージョンアップする必要がある。市民はもっと声を上げ、今までみたいな条件で働かないぞと、強気の姿勢で行くことも大事だ」(常見氏)。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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