会社を辞めて、こうなった。【第63話】 NOドラッグ&アルコールフリーの楽園?! エクスタティック・ダンスで自我を解放せよ!

ananweb

2018/1/24 18:30



週末の爽やかな朝に、子どもからお年寄りまで人の目を気にせず、自由に踊りまくるというエクスタティック・ダンス。「シングル同士の男女が良い友情関係って築けるもの?」「まともな中年独身女性の行動って?」。そんなふうにカテゴリーやレッテルに囚われすぎてしまう自分のものの見方から少し自由になりたいと、筆者・土居がまたまた体験してみたようですが……。

写真/文・土居彩

【土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。】vol. 63

【第63話】NOドラッグ&アルコールフリーの楽園?! エクスタティック・ダンスで自我を解放せよ!


年齢とか性別とか肩書きとか国籍とか。そこを超えた視点を持って人と向き合いたいと思っているのに、なぜ、私はいつもどこかでカテゴリーやバイアス(先入観)に縛られてしまうのか? 自分がとっさにとってしまった態度や言動を客観視しては、毎晩反省会の日々です。

突破口を見つけたいと、彼女ができたという友だちに「今こそこの質問ができる!」とたずねてみたんです。「あなたみたいに彼女がいたり、パートナーがいる男性とは自然な流れで友だちになれるんだけど、お互いがシングルだとなんか微妙な感じになっちゃって。どうしたら、シングル同士の男女が良い友情関係を築けるのか。アドバイス、くれない?」と。

すると彼が「僕もシングルだったときは、それがうまくできなかったから、偉そうなことは言えないんだけど」と返事に窮します。ここで「そうでしたか……」と諦めていたのでは、旧バージョンの私。短期インターン先の社長(現メンター)の助言に習い、コンフォート・ゾーンを超えるべく、2018年は食い下がります。「ちなみに女性誌の編集者をしていたことがあって。そのときに『男と女 浮気の事件簿』っていうモノクロの特集を担当して、パートナーがいる男性に取材したことがあるんだけど」と言うと、「へぇ、おもしろいね。それによると彼らはどうして浮気するってハナシだったの?」。「単なる生理現象だって。だから生物学的な違いで、男女の友情っていうのは、そもそも難しいのかしらね」と試しにけしかけてみると、友だちが言葉を選びながら話し出しました。

■ 男性性と女性性のバランスを整えることが先決?

「僕が思うに、男性も女性もみんな、男性性と女性性の両方を備えているんだと思うんだ。決断する強さや論理的に行動する力という男性性、そして受け容れるしなやかさや思いやり、ときにインスピレーションに従えるという女性性。100%男性性でできている人も、100%女性性でできている人もこの世界にはいない。それぞれの人に固有のバランスがある。そしてこの2つのバランスが崩れていると、ジェンダー絡みのパワーゲームに巻き込まれやすくなると僕は個人の体験から思ってる。だからまず、キミがするべきことは土居彩という人の男性性と女性性のバランスを整えて、ジェンダーを超えたエネルギーというか。キミの本質のようなものと繋がることじゃないかな。その先にきっと、女性だからだとかっていう部分を超えた土居彩という存在と向き合いたいという人との最適な関係が築けるようになるよ。それが友情なのか恋愛関係なのかはわからないけど、キミのバランスが整った状態で一番必要なリレーションシップだということは確か」。

彼のセオリーには大いに納得したけど、で、2つの性のバランスを整えるって実際問題どうしたらいいワケ? ヴィパッサナー瞑想を一緒にしている別の友人に聞いてみると、「まずアヤは考えることから自由になるってことから始めてみたらいいんじゃないかな」と言われ、だから、それが難しいんだってば。すると「あ、じゃあさ。週末、エクスタティック・ダンスに行こうよ」と誘われたんです。

■ エクスタティック・ダンスって?

「エクスタティック・ダンスっていったいナニ?」。なんだか口にするのもちょっと照れるような、色っぽいネーミングです……。「ヒッピーのためのダンスみたいなもの。お酒もドラッグもナシで、週末の朝にみんな好きにダンスをするんだ。誰の目も気にせずにね。クレイジーに踊り狂っている人もいるし、パートナーとずっとハグしあっている人も。子どもと来てストレッチしている親子や、木みたいにずっと突っ立ってるおじいさんもいる。ただ自由に自我を健康的で安全な形で解放するんだよ!」と説明されます。

よくわからないけど、なんか楽しそう! とりあえずピンときたら、考えるよりも体験してみる。ということで、向かった先はオークランドのダウンタウン。普段は劇場だという雑居ビルの2フロアです。費用は19ドル。日曜の朝9時30分からスタートし、13時15分終了とのこと。9時30分からの1時間はヨガだということで楽しみにしていましたが、駐車場探しに難航した結果、それは断念。10時30分スタートのダンスから参加しました。

■ お酒も入らず、明るい場所で踊るのは……。超・恥ずかしい!

高校時代(化石時代とも言えるほどの過去)はダンス部でスポ根をしていたので、「エクスタティック・ダンス、今回は楽勝だな」と思っていたのですが。フロアに入った途端、明るッ! 想像以上に爽やかな光が差し込む日曜の朝に、大音量のダンス・エレクトロニカに合わせて踊り狂う老若男女を目にして、まさかのドン引き。「一体感を味わえるよ!」という友だちをよそに “(友だちも含めた)みんな” と ”わたし” の間には、『出エジプトの奇跡』では割れたはずの紅海の大海原(※)がどーんと広がっています。※イメージは、チャールトン・ヘストン主演の映画『十戒』のあのシーン。

ひとまず心を落ち着けようと持参したポットから温かいお茶を注ぎ、友だちに勧めるも「来たばかりで、もうお茶?」と笑われます。一緒に踊ろうよと手を差し伸べられますが、「ちょっとストレッチをしてからにします……」とやんわりと断ると(男友だちと手をつなぐのもなんだしね)、彼は素足になってダンスフロアへと軽やかに消えていきました。「お酒も飲まず、暗くもなく。こんな状況でなぜみんなは恥ずかしくないんだろう……」「ちょっとあの人、さっきから芋虫みたいに背中をフロアにこすりつけて床掃除状態? 服汚れるよ」「アレアレ、私って超ノリが悪いんでは……」「ここで踊らないなんて場の空気を乱している!」「やらねば、やらねば」「やっぱ、無理っす、無理っす」。エクスタティック・ダンスで自我を解放するどころか、自意識と先入観まみれになっています。

■ 周囲の目が気になる自分から自由になりたい。どうか私のエゴを解放して下さい!

とりあえずせっかく誘ってくれた友だちを気遣わせてはならない。彼の目から逃れなければと周囲の状況を探っていると、マッサージ ブースを発見! 1分1ドルからのドネーション(寄付)制だそうです。「よし、これで時間を潰せる」。ボディワーカーのひとり・エム(※以前登場したエムとは別人です)に「お願いします」と言うと、「どこをほぐしたいですか?」とたずねられました。「マインドです。周りの目を気にしてしまう、私の自我をどうか解放して下さい!」と答えると、「……Wow」と一瞬驚かれたのち、「よろこんで!」。

手渡されたアイピローをして簡易ベッドに横たわると、耳もとでエムが「僕のワークは、少し変わっているよ。ビジュアライゼーションとエネルギーワークを組み合わせているんだ」と囁きます。「まず、キミのお気に入りの木をイメージして……。視覚化できたかい?」と聞かれて頷くと、「その木になって大地とつながって、どんどん伸びていって……。あぁ、頭でどういう感じかなと考えるのではなく、そんな感覚を持つんだよ」。エムの声と温かなハンドタッチに身を委ねるうちに意識がどんどん遠くなっていき、気づいたらマッサージも終盤に。「キミは守られている」「そのままで大丈夫」「キミは安全と祝福と幸せとともにある……」という祈りのようなエムのアファメーションが聞こえてきて、左目から涙がツーっと頬を伝いました。

たった15分のマッサージで涙がボロボロと出てしまった私を見て、「……Wow。キミに必要なセッションだったんだね」とエムに言われ、彼は自宅で4時間に及ぶフルタイムセッションも行っているということで連絡先を交換したのち、再びダンスフロアへ出陣!

■ 踊って、踊って踊りまくる! 最後はみんなで寝そべり、シャバ・アーサナを。

初対面のボディワーカーの前で涙を見せたせいか、首と肩の凝りをほぐしてもらって頭がスッキリしたせいかよくわかりませんが、「ま、いっか」という気分になり、まずはヨガの太陽礼拝を目を閉じて10回。体がほぐれたところで、ビートに合わせてステップを踏んでみます。すると向かいで踊っていたヒッピーと目があって、お互いにニコリ。少しづつ動きを大きくしていって、気づけば汗だくになるまで踊り狂っていました(笑)。その後、「ちょっと休憩しよう」と友だちと屋上を探検して見つけた色鉛筆やパンチを使って、自由に一緒に落書きしたり。男とか、女とか。日本人とか、アメリカ人とか。そんなことはひとまず置いといて、「なんだよ、ソレ」「カウボーイだよ」などと言って、子どものように笑い合います。

最後の15分はサウンドヒーリングといって、みんなで床に寝そべり、ヒーリングミュージックと誘導瞑想に身と心を委ね、会がクローズしました。

この一連の行動って、まともな40歳女性(未だにこの数字を言うたびに、凍えそうです)の沙汰じゃないですよね。でも、“まとも” の定義っていったいなんなんでしょう? 余談ですが、先日母とLINEでやり取りしていて、「最近、なんかすごく楽しいんだよね。状況はまるでかわらないんですが。とにかく、もっと友だち作らないとな!」と伝えると、しばらく間があいた後に「早く帰ってこ~い!」とひと言。

母よ、娘の何を察知した? ま、いろいろ置いといて。また家族で、温泉行こうね。そんでもって、ダンスとかもしちゃおうね。

☆エクスタティック・ダンスの情報は、こちら。

SEE YOU!

2018年スケジュール帳の写真:手帳はシンプル派でしたが、今年はメッセージ “Amazing things can happen!” (すごいこと、起こっちゃうかもネ!(*土居的意訳です))が気に入り、ちょっぴりファンキーな手帳をセレクト。

エクスタティック・ダンスの様子1:2階の倉庫スペースからパシャリ。年齢層は幅広い。

エクスタティック・ダンスの様子2:みんな靴も靴下も脱いで自由に踊ります。

木の写真:私が思い浮かべたのは、短期インターン先へと1時間かけて歩く途中に目にしていた紅葉が美しい木。

落書きの写真:下手くそ! でも、それでいいのです。

SEE YOU!の写真:メンターA氏に連れて行ってもらった、廃物アートの聖地・Abany Bulb。ホームレス、警察不祥事による被害者の人権を守る弁護士兼週末廃物彫刻家のOsha Neumannさんの作品の前で。

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