女流棋士の戦い!里見香奈女流名人、伊藤沙恵女流二段に快勝




歴代最多、8連覇中の里見香奈女流名人が歴史を塗り替えるか。女流名人戦9連勝で勝ち上がってきた伊藤沙恵女流二段が意地をみせるか――。

7期目の竜王、永世・名誉称号7冠すべてを獲得した羽生善治竜王と、史上最年少プロの藤井聡太四段の対戦が注目されているなか、女流棋士の熱い闘いも静かに始まっている。

第44期 岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負。

その名のとおり、5戦のうち3勝した女流棋士がタイトルを獲得する、最も歴史のある女流棋士戦。その第1局が、美の殿堂・岡田美術館(神奈川県箱根町)で1月14日に行われた。

歴代最多となる8連覇中の里見香奈女流名人に挑むのは、女流名人戦初挑戦の伊藤沙恵女流二段。今年度の女流タイトル戦では4回目の直接対決となり、女流棋界をリードする2人による最強決定戦といえる。

1月14日、青空のもと、箱根の岡田美術館 開花亭で静かに始まった女流名人戦 五番勝負。その1手目までを動画で収録したので、まずはこちらを見てほしい。

朝9時過ぎ、いつもと変わらぬパンツスーツ姿の里見女流名人が一礼して入室。続いてワンピース姿の伊藤女流二段が入る。岡田美術館 小林忠館長が振り駒し、伊藤女流二段が先手、里見女流名人が後手に決まる。

「では時間になりましたので、始めます」と告げられ、一礼し、1手目。先手、伊藤女流二段が7六歩を打つと、カシャカシャカシャと報道陣のシャッターが響き渡る。後手、里見女流名人も続き、3四歩。両棋士とも角道を開けた。

前夜祭で伊藤女流二段は「里見さんは女流名人戦では8連覇しています。その記録を『私がなんとかくい止める』という強い気持ちを持って、あすからの五番勝負に臨みたい」と話していた。

両棋士とも早いペース。序盤、伊藤女流二段は「向かい飛車」、里見女流名人は「三間飛車」の「相振り飛車」、そして「美濃囲い」という構え。

積極的に攻め込んだ里見女流名人が勝利




そして5時間が経ったころの14時43分、伊藤女流二段が投了し終局をむかえる。両棋士とも持ち時間は3時間で、消費時間は伊藤女流二段が2時間22分、里見女流名人が1時間14分だった。

消費時間をみてもわかるように、里見女流名人が、スピーディに積極的に攻めて快勝。

渡辺正和五段は、Twitter解説で、今回の第44期 岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負 第1局についてこうコメントしている。

「相振り飛車から伊藤女流二段が得意にしていた矢倉から盛り上がることをせず、金無双で低い陣形で戦いました」

「36手目△1五歩から里見女流名人が仕掛けていきました。形勢は難解ながら伊藤女流二段が勝負の順を逃して、香得ながら後手の拠点が大きく、里見女流名人が有利になりました」

「その後は伊藤女流二段の粘りが実らず。76手目△2七歩成としたところはわかりやすくなってしまいました。後手の美濃囲いが手つかずで残り、里見女流名人の快勝でした」

「序盤から積極的にいこうと思っていました」




対局当日は、岡田美術館5階ホールで、福崎文吾九段を解説者に、里見女流名人の妹である里見咲紀女流初段、山口絵美菜女流1級を聞き手に招いた、大盤解説会も同時開催。

終局後、里見香奈女流名人と伊藤沙恵女流二段は、大盤解説会に登壇。

里見女流名人は、「序盤から積極的にいこうと思っていました」とコメント。いっぽうの伊藤女流二段は、「早い段階で悪くしてしまい、きていただいたみなさんには申し訳なかったです。第2局は精いっぱいがんばります」と来場者に伝えていた。

早い攻めで里見女流名人が第1局を制した第44期 岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負。第2局は1月28日、出雲文化伝承館(島根県出雲市)。第3局は2月4日、関根名人記念館(千葉県野田市)。第4局は2月13日、東京・将棋会館。第5局は2月25日、湯原国際観光ホテル 菊之湯(岡山県真庭市)で行われる。

第1局 里見香奈女流名人 VS 伊藤沙恵女流二段










対局場のすぐ脇で行われる現地大盤解説会も大盛り上がり



第44期 岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負は、主催は報知新聞社、ユニバーサルエンターテインメントが特別協賛。

岡田美術館と日本将棋連盟は、「美術館と将棋は、まったく異なる分野のようにも思えるが、『文化を継承する』という理念は、互いに共通。同じ理念を共有している者同士が、今後、連携しあい活動をしていくことで、女流名人戦に新たな風を吹き込み、女流名人戦のさらなる成長発展を目指す」という。



また、2013年10月に箱根・小涌谷に開館した岡田美術館は、ユニバーサルエンターテインメント取締役会長・岡田和生氏が蒐集した日本・東洋の陶磁器や絵画などの美術品常時約350点を展示。全5階、展示面積約5千平米という箱根随一の広さ誇る美術館として知られる。
将棋世界
Fujisan.co.jpより

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