吉川友×アカシック理姫 新曲『DISTORTION』と釣りの関係性とは?

dwango.jp news

2018/1/23 19:42

吉川友が、2018年1月17日に通算12枚目となる両A面ニューシングル『DISTORTION /ときめいたのにスルー』をリリースした。
『ときめいたのにスルー』は、作詞・作曲 大森靖子、編曲 サクライケンタという布陣で制作された軽快なポップチューン。そして、『DISTORTION』は、ロックバンド、アカシックの理姫が作詞、奥脇達也が作曲を担当(編曲はmichitomo)したナンバー。吉川とアカシックの2人がタッグを組んだのは、10枚目のシングル『チャーミング勝負世代』に続いて2度目となる。愛の終わりの歪んだ感情を、切なくもほのかに甘いメロディでエモーショナルに伝える。この楽曲の制作秘話として、なんと釣りが大きく関係していたのだ。
前回の『チャーミング勝負世代』で交流が生まれた吉川と理姫は、お互いに釣り好きだという意外な共通点を発見。今回、新曲を制作するにあたって、2人で一緒に釣りをしてより仲を深め、そこから楽曲に昇華できれば最高だという話になり、実際に釣りに行くことが決定。では、9月某日に決行された、吉川と理姫の船釣りの模様をお届けする。
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船釣りに頻繁に通う理姫のアテンドのもと、子供のとき以来、久々の船釣りとなる吉川は、年齢性別様々なお客さんとともに釣船に乗り込み、海へと出航することとなった。
この日の獲物はマゴチ。マゴチは、海底の砂地や砂泥地に生息する、全長50センチのゴツい面構えの魚。刺身や唐揚げ、鍋にもバッチリ合う美味しい白身魚として知られている。マゴチの餌となるのは、ゴカイやミミズではなくハゼ。全長10センチほどのハゼに食らいつく魚というのだから、マゴチがなかなかのタフガイであることは容易に想像がつく。
さて、船に揺られて川から東京湾に出ると、視界が一気に広がる。周りには、スティーブン・セガールが戦ってそうな港のコンテナの山や、羽田空港の飛行機の離発着を沖から見ることができたりと、かなりのアトラクションの様相。都会にいながら、わずか数分で旅行気分を味わえるのはなかなか新鮮だ。
2人は、準備を整えながらにこやかに淡々と会話を進める。テンションの上がる中、釣り場のポイントに到着。餌のハゼを針につけ、海に釣り糸を垂らし、いよいよマゴチ釣りがスタート。
すでに、吉川と理姫の目は真剣そのもの。釣りというと、のどかに魚を待つようなイメージがあるが実際はそうではない。釣竿を動かし、魚に餌を餌と思わせず、いかに食いつかせられるか。絶妙なムーブが問われる静のバトルと言っていい。海の中にいる魚たちもバカじゃない。おいそれと、餌に食いついてはくれないのだ。当たりが来て釣り竿やリールを巧みに操っても、マゴチを釣り上げるまではいかない。人とマゴチの駆け引きは、恋愛のようでもあり、海を舞台にした人間VS魚の異種格闘技戦の様相でもある。
吉川と理姫は、この時点ですでに2人で楽しくおしゃべりと言った雰囲気ではない。完全に釣ることに集中している状態だ。だがしかし、これは釣り師同士のみに伝わる無言の会話のようにすら思えてくる。
そうした最中に、船釣り初体験の理姫のマネージャーが、活きのいいマゴチを釣り上げるという展開。マゴチはなかなかのパワーの持ち主で、船の上でも大暴れ。かなり刺々しくうかつに触るとケガをしてしまうということで、理姫の先輩釣り仲間がヘルプに駆けつけ釣り針を外してくれることに。釣ったマゴチをうらやましく見る吉川は、すかさず手に持ち、自分が釣ったかのように記念撮影。
船は次のポイントへと移動。先輩釣り仲間にレクチャーしてもらいながら、2人のマゴチとのバトルを続行する。漁船のあちこちでマゴチゲットの姿が見受けられるが、吉川と理姫はなかなかヒットしない。マゴチは手強い相手のようだ。徐々に“そう簡単には釣られないぜ”というマゴチの顔が眼に浮かぶようになってくる。
魚のクレバーさに翻弄される中、空はすっかり雨模様。シトシトとした雨は降ったり止んだりを繰り返し、やがて本降りとなっていく。完全防備の理姫はノー問題だが、薄着で来た吉川は寒さという自然の試練も強いられることとなった。
雨と寒さに耐えながら、ガードの硬いマゴチとガチガチの戦いは続く。何度か、2人とも当たりは来たのだが、マゴチはやすやすと釣らせてくれない。マゴチの老獪な試合運びに翻弄されながら、ここで奮闘むなしくタイムアップとなってしまった。
約6時間に渡るロングバトルで残念ながら両者の収穫はゼロ。自然の生き物相手の釣りだけに、もちろんこういう日もある。何より、吉川と理姫の釣りコミュニケーションから、『DISTORTION』という素晴らしい楽曲が生まれたのだから、結果的に最高の釣りができたと言えるんじゃないだろうか。
釣りの直後に行ったミニインタビューで、2人は『DISTORTION』が作られていく出発段階の模様を語り合った。
理姫
「前回の『チャーミング勝負世代』は、まだ吉川さんにお会いする前の状態で歌詞を書かせてもらったので、今回は、会ってからどんなものにするか考えようと思ったんです。前に吉川さんとお会いしたときと、今日こうして釣りをして今とでは、吉川さんの印象が違ってきました。歌詞も、ちょっと思いつきました」
吉川
「えー!こんな短い間に、しかも釣りに没頭しちゃってあまりお話もできなかったのにすごい」
理姫
「もうちょっと大人っぽいのにしようと思いました。吉川さん大人っぽいから」
吉川
「わ、ほんとですか(笑)」
理姫
「顔と雰囲気が大人っぽいなって。キャピキャピしたアイドルって感じとも違うし、そこがいいなと思いました。あと、意外と社会に場慣れしてる感じがするなって(笑)」
吉川「ありがたいです。よかった~、中身子供って言われなくて(笑)」
理姫
「それに、吉川さんは歌がすごく上手だしかっこいいので、あまり女々しい感じじゃなく、さっぱりした歌詞を書きたいなと思いました。で、海の感じも想像できるようなものがいいなと思った(笑)」
吉川
「おー(笑)。私、アカシックさんの曲はよく聴いてます。『8ミリフィルム』とか大好き。『チャーミング勝負世代』は、キーが高すぎず低すぎず歌いやすいんですよ。サビも、最初は高いかなと思ったけど、今は歌っててすごく気持ちいいんです。なので、こうして新しく曲を作っていただけるのがすっごくうれしいんです」
理姫
「吉川さんの声ってちょっとハスキーな感じがあっていいですよね。私、ハスキーボイス好きなのですごく素敵だと思う。見た目も、顔がちょー好きなんです(笑)」
吉川
「褒められるのに慣れてないので、すごい照れます(笑)」
理姫
「それに、楽曲提供って1回でおしまいってなることが多いけど、こうしてもう1回書かせてもらえるのは縁があると思います。もう一歩踏み込んで曲を作れるのがいいなと思いますし、機会があるなら今後も続けていきたいなって。釣りもね、今度はニジマスとか行きたいですね」
吉川
「あー、いい! どんな曲になるか楽しみにしてます!」
雨の中の船釣りと『DISTORTION』の関係性。一見、どのようなつながりがるのか分からないかもしれない。だが2人のインタビューやあの日の状況を振り返ると、楽曲を奥の奥に『DISTORTION』の原風景がおぼろげながら見えてくるようにも思う。雨や寒さといった環境、釣りから感じる駆け引き感は、ある意味恋愛の状況にも置き換えることができる。
ノイジーなギターサウンドが激しい雨の音に聞こえてきたりもするし、歌詞にある陽が沈む様子は、海の上で味わった雨空が徐々に暗くなっていった光景と重なってくる。それプラス、吉川のパーソナリティ、イメージ、声の質感などが溶け込み、楽曲としてビルドアップされたように感じるのだ。
まさに『DISTORTION』は、吉川友と理姫のリレーションシップからしか生まれなかった曲と言っていいだろう。まだ早い話だが、両者の次にどんなものを見せてくれるのか、そうした期待感すら感じてしまう。それくらいの強い引力を「DISTORTION」という楽曲は持ち合わせているのだ。

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