日韓合意問題で八代弁護士、志らくが韓国バッシング! でも異常なのは、慰安婦問題を葬り五輪欠席する安倍首相のほう

リテラ

2018/1/13 23:50


 来月の平昌五輪開会式への出席を見送る方針を見せている安倍首相。慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意をめぐって、韓国の文在寅大統領が「自発的で誠実な謝罪」を日本に求めるなどの新方針を示したことに対する嫌がらせだ。

さらに昨日、安倍首相は「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」と述べて謝罪を拒否すると明言した。本サイトでは合意がなされた時点で、安倍首相の狙いは慰安婦問題をカネで蓋することだと断じたが、それ以上に現在の政権の対応はファナティックとしか言いようがない。

だが、国内マスコミのほとんどは安倍政権を全面擁護、テレビのコメンテーターも韓国バッシングに明け暮れている。たとえば11日の『ひるおび!』(TBS)では、落語家の立川志らくが、日韓合意をめぐる韓国政府の動きを「実にふざけた話」と猛批判。こうまくしたてた。

「(韓国は)日本が誠実に詫びる必要があるって言ってるんだけど、ならばむこうだって政権が変わるたびに約束を反故してきた、嘘ついてきた。日本政府に対してちゃんと誠実に謝る必要があるんじゃないかって気がしますよね。だって10億円払えって、向こうが言ってきたことでしょ。その約束すら守ることができない。早くだって慰安婦の像をどかすってことだってしてないでしょ。そりゃ安倍総理は行かないですよ、平昌オリンピックに。私だって行かないですよ。そのぐらい腹ただしい。もっと日本人怒るべきじゃないですか?」

ようするに「韓国のほうこそ日本に謝れ!」と主張しているのだが、この人はいったい何を言っているのだろう。そもそも日韓合意は「当時の軍の関与」と「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」ことを明確にし、その責任から日本の首相が「心からおわびと反省の気持ちを表明」するとしたものだ。一方で安倍首相は、元慰安婦の人々に直接謝罪することもなければ、手紙も拒否。だいたい、自らの口からはっきり「心からおわびと反省」と言ってすらいない。

元慰安婦の人が「謝罪が十分でない」と感じるのは当然であり、その世論を組んだ文政権が「自発的で誠実な謝罪」を求めるのも民主主義国家として当たり前のことだろう。にもかかわらず志らくは「韓国の方が謝れ!」などとがなりたてているのだから、呆れる以外にないではないか。

だが、番組ではこの志らくの暴言があたかも正論であるかのように垂れ流され、さらに嫌韓コメンテーターの八代英輝弁護士が「最終的かつ不可逆の合意というように双方が約束したことを、平気でこうやって蒸し返そうとしてくる。これはやはり国とは言えないですよね」と重ねる始末だった。

新聞もまた韓国批判一色だ。読売新聞と産経新聞は10日付の社説、毎日新聞11日付の社説で文大統領の「新方針」を猛批判した。読売と産経は「慰安婦問題を蒸し返すな」と政権の代弁をし、毎日は〈政権交代があっても国家間の約束は守るというのが国際常識〉と講釈を垂れる。唯一、朝日新聞(10日付)だけは〈何よりめざすべきは、元慰安婦のための支援事業のていねいな継続〉として〈その意味では日本側も「1ミリたりとも合意を動かす考えはない」(菅官房長官)と硬直姿勢をとるのは建設的ではない〉と安倍政権に釘を刺したが、〈理解に苦しむ(文大統領の)表明〉と併記するなど、やはり完全に腰砕けである。

言っておくが、そもそも国家が「秘密交渉」として当事者を抜きのまま勝手に決めた合意に、最初から意味などない。その本質をネグったまま、大手紙やテレビは「国家間の合意を反故にするのはおかしい」と振りかざしているわけである。しかし、そもそも前政権による合意が選挙を経て翻るケースはよくあることだ(その点で言えば、再交渉を公約に掲げたにもかかわず、あからさまに政策を後退させた文大統領に対して本サイトは批判的ですらある)。たとえば、言うまでもなくアメリカは、TPP離脱を公約にしたトランプ政権が誕生しTPP参加を白紙にした。そのとき、安倍政権はトランプ政権に強行に反発したのか。否だ。

メディアがなすべきことは、政権に付和雷同することではなく、安倍政権のこうしたダブルスタンダード的な対応を指摘し、その裏に安倍首相による歴史修正主義の欲望があると指摘することではないのか。

五輪開会式の欠席の方針もそうだ。実際、4年前のロシアのソチ五輪では、プーチン政権の同性愛宣伝禁止法など人権問題に対する抗議として、オバマ米大統領や欧米各国の首脳が相次いで欠席したが、安倍首相は人権問題などどこ吹く風で、しれっと出席。菅義偉官房長官は記者会見で「ロシアの人権状況は注視しているが、ソチ五輪と結びつけて考えてはいない」と、"政治と五輪は切り離すべき"との講釈を垂れていた。これこそダブルスタンダードではないか。

そう考えても、やはり安倍首相の平昌五輪開会式欠席の方針は、あからさまな御都合主義であり、"平和の祭典"のモロな政治利用としか言いようがないのだ。だが、他方、永田町では「総理が開会式に出る可能性は残っている」という見方も根強くある。

「"日韓合意新方針に対する抗議"というのは安倍首相の本音であることは間違いなく国内向けには強硬姿勢をアピールしているが、対外的にはそんなこと言えるはずもなく『国会があるから』などと言い訳を必死にひねり出している。慰安婦問題を理由に五輪欠席などと明言すれば、国際社会から大きな非難を浴びることがわかっていますからね。ここでもいつもの"二枚舌"です。しかも、北朝鮮情勢の今後の進展によって、五輪が"和平の象徴"として国際的にクローズアップされるような展開になったら、また手のひら返しでしれっと参加することも十分あり得る」(大手紙政治記者)

いずれにせよ、もともと日韓合意は見直されて当然であり、しかも政権が変わったのだから批判には値しない。同時に、文大統領が目指しているのが日韓関係の改善であることも疑いない。にもかかわらず、五輪の開会式に出ないなどと恫喝し、慰安婦問題を葬ろうとする安倍政権が異常なのである。そして、「国家間の約束だから」とバカの一つ覚えみたいに繰り返している国内マスコミ、「韓国のほうこそ謝れ!」とトンチンカンなことをほざいているテレビコメンテーターもまた、安倍政権の思惑に乗っかって思考停止しているのだ。くれぐれも騙されてはいけない。
(編集部)

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