「ポプテピピック」は動画やSNSの感想でバズらせる計算をしつくした、クソ賢いアニメだ

エキレビ!

2018/1/13 09:45

アニメポプテピピック』が、ニコニコ動画では2日足らずで百万再生どころかあっという間に二百万再生超え。
これはニコニコ動画史上ダントツ1位の早さだ。
けれどもほとんどの視聴者は、傑作とは言わず、口をそろえて「クソアニメ」と答えるはずだ。


前代未聞の24分、様々な元ネタを持つパロディ満載
大川ぶくぶ原作の『ポプテピピック』は、ポプ子とピピ美という2人のキャラが織りなす、不条理マンガ。
と言っても吉田戦車や榎本俊二や吾妻ひでおなどと異なり、アニメ・ゲームのパロディが非常に多く、かつ2ちゃんねる的なオタク・サブカル文化への明確な煽りも含んでいる。
ナンセンスを目指しきっているわけではない、独特な構造だ。
出版元の竹書房公式で「クソマンガ」と呼称。たくさんのファンに、愛をもってけなされ続けてきた。

アニメ序盤はこの「クソマンガ」っぽいギャグを、パロディ混じりでいい具合に見せる構成。
ただし、事前告知で報じられていた声優が出てこない。
本来はポプ子役が小松未可子、ピピ美役が上坂すみれ。
蓋を開けてみるとポプ子が江原正士、ピピ美が大塚芳忠という、ダンディすぎる声優に。
ここは原作者が希望していたネタなので、ファンも納得のサプライズだった。

一番の問題は中盤から。
30分枠(アニメ自体は24分弱)のアニメであるにもかかわらず、半分の時点でエンディングが流れ始める。
そのあと、二周目が始まった。
声優は、ポプ子が三ツ矢雄二、ピピ美が日高のり子(高ははしご高)という、『タッチ』のコンビ。
アニメはというと、一周目完全にそのまま。
30分枠で同じアニメを二回放送したのだ。ファンいわく「声優リセマラ」。

動画やSNSの感想による「バズらせ」特化の試み
さすがにこれには、ネット各所で賛否両論。
確かに斬新ではある。
けれども「アニメ作品としてプラスなのか」と言われると、悩ましい。少なくとも傑作とは言いがたい。映像技術における実験的作品、というわけでもない。
公的に言われ続けてきた「クソマンガ」に対しての「クソアニメ」という褒め言葉には、ぴったりだ。
これによって『ポプテピピック』はWebで、今期トップレベルで話題になることに成功した。

賢い作品だ。
ナンセンスじゃない。ネットでバズらせるための仕組みがあちこちに練り込まれ、よく計算されている。
アニメ本編がどんなに面白かろうと、吹き替えがどれだけ巧みだろうと、強制的に二周目を見せられたら、さすがに同じくらいの感動は起きない。
この体験を、誰かに言いたくなってしまう。フラストレーションは、SNSやニコニコ動画のコメントに吐き出される。
「なんでだよ」「ふざけるな」「クソアニメ」と言いたくて仕方なくなる。
褒め言葉も文句も、ネットにあがればその時点で立派な宣伝。
何より「一回目でこんなひどい(褒めとけなし半々)ことをしたからには、二回目どうするんだろう」という引きができている。

加えて、エンディングテーマをかつて発表していた人ではなく、赤羽根健治と武内駿輔が歌う、という飛び道具を撃ってきた。
これにはアイマスファンは、度肝を抜かれた。
赤羽根健治は『アイドルマスター』のプロデューサー役。武内駿輔は『アイドルマスターシンデレラガールズ』のプロデューサー役。
こんなところで初共演させられてしまったのだ。これには赤羽根健治本人も驚いたとTwitterで言っている。

作中のワンコーナーを「SUSHI食べたい」のMVでおなじみのAC部が作るという、これまたネットユーザーのツボを突くネタをぶっこんできた。
AC部の絵柄とアニメーションは、極端にクセが強い。
AC部が作った時点で『ポプテピピック』じゃなくて「AC部」なのだ。
作品を作る上では、かなりずるい。
しかしこれも、ニコニコのコメントでは激しく賛否出ており、狙いは大成功している。

WEB配信にもものすごく力を入れており、あらゆる配信サイトを網羅しているのはもちろん、ニコニコ動画、AbemaTVなどSNS形式のところではきっちり地上波同時配信している。
これなら、日本中の人間がネタバレどうこう言わずに済む。

「クソアニメ」という褒め言葉
本作を『ウゴウゴルーガ』と比較する声も見られた。
雰囲気は似ているが、計算して整理された作りは、『ウゴウゴルーガ』の鬼才が集まってバブリーに好き勝手やった実験的なノリとはちょっと違う。

おそ松さん』のナンセンスさと比べる声もあがっていた。一期二期の第一話のパロディてんこもりメタネタ盛り合わせナンセンススタイルは、とても似ている。
しかし『おそ松さん』本編が持つ、「人間うまくいかないことばっかりでやりきれけど、これでいいのだ」という赤塚不二夫ブルースのような頑丈な軸は、今のところ『ポプテピピック』にはない。
むしろ人生論は意識的に排除している。

おそらく2話こそが本番だろう。
原作が持つ狂気的なスピード感を、今後どういう手法で再現するか。
どこまでネットにバズらせる仕掛けを用意するか。
「がんばるぞい」は使えるのか。

ある程度しっかりした理念がないと、作るのがめちゃくちゃに難しい作品なのだ。
「クソアニメ」という保身に走ることなく、「全力のクソアニメ」と褒められる作品になってほしい。

(たまごまご)

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