女性部下のやる気を引き出すのは、上司の「理解力」ひとつ。

TABILABO

2018/1/12 21:00


日本経済新聞社が2014年に行った調査によると、「男性と女性のどちらの部下が扱いやすいか」という問いに対して、女性と答えた男性管理職はたったの4.5%。多くの男性が女性部下に対して扱いにくさを感じているようです。

ということで、リーダーシップ研修の講師実績を持つ西村直哉さんと、人材育成コンサルタントの清家三佳子さんによる共著『一瞬で心をつかむ女性部下マネジメント』(幻冬舎)をご紹介。多くの男性管理職が悩みのひとつに挙げる「女性部下の扱い方」について書かれています。

扱いにくい…その背景には、能力の問題ではなく管理の難しさがあるようです。ここでは、女性社員の意欲を引き出すマネジメント術についてまとめました。

「女性は感情を大切にしている」
ということを理解する



男性管理職というのは、基本的に自分のことを論理的で理性的な存在だと考えています。女性部下を理解するときにも頭で理解しようとするため、数多くの男性管理職が失敗しています。

多くの男性管理職は、女性部下のことを、ただ自分とは考え方や意見が違うだけの存在であることを誤認しています。そして、その考えや意見を知って、理性的に話し合えば、お互いに合意に達することができると勘違いしているのです。

大切なのは、彼女たちがどう考えているかではなく、何をどのように感じているのか……です。誤解を招く言い方かもしれませんが、多くの女性にとって重要なのは、首尾一貫した論理ではなく、感情です。

どんなに論理的な説得を試みたところで、それ以前に感情がネガティブになってしまっていると、女性は動いてくれません。逆に、論理的に整っていない話であっても、感情をポジティブな方向に持っていくことができれば、とても協力的になってくれます。

これは「女性は感情的で、男性は理論的」というステレオタイプの俗論をまき散らしたいわけではなく、世の中の男性にそういった感覚を持っている人が多いという事実があるからです。

男性部下の場合は、どんなに褒めても言葉だけでは不十分で、給料アップや昇進といった実利が伴わなければやる気が高まらないことが多いのですが、女性部下は、「尊敬する上司に認められた」とか、「自分の成長が目に見えて実感できた」など、ポジティブな感情を喚起することに成功すれば、積極的に動いてくれる傾向があります。そのため、いざというときに頼りになるのは女性部下のほうであることが多いのです。このことを覚えておいてください。

女性部下の生産性を高める
「フロー理論」



感情を大切にする女性は、「仕事において高い成果を挙げることができる」と上述しましたが、その理由をアメリカの心理学者チクセントミハイの<フロー理論>に当てはめることができます。

フロー理論のフローとは「何かに夢中で没頭して楽しんでいる状態」のことで、フロー状態に入ると、人は最高の集中力を持って、最大の生産性を発揮し、高い成果を挙げて、充実感と達成感を覚えることができます。

このフロー状態に入るときに必要なのが感情なのです。何かをするときに、あれこれと考えることを優先していると、なかなか楽しむことができません。

感情よりも理性を優先させる男性は、仕事をしていてもフロー状態になることが少ないのですが、女性の場合は、ネガティブな感情にならない限りは、すぐにフロー状態に入って仕事の生産性を高めることができます。

つまり、管理職がすべきなのは「成果を挙げろ!」と言うのではなく、成果が挙がるように意欲が高まる働きかけをすることです。意欲が高まるような働きかけとは、ポジティブな感情を喚起するような声かけです。「成果が挙がらないと、ボーナスが去年より減るぞ」と言うより「成果が挙がったら、ボーナスが去年よりアップするぞ」と鼓舞したほうが部下のやる気につながりますよね。

ちなみに、フロー状態に入るためには4つの要素が必要だと言われています。

1.適切な難易度
常に部下の状態を把握して「チャレンジしている」と感じ取れるような適切な難易度の仕事を与える。

2.コントロール感覚
部下に仕事を与えるときには、細かく指示をするのではなく、できるだけ裁量権を渡して自由に行わせる。

3.リアルタイムのフィードバック
フィードバックは、本人が仕事をしながら手応えを感じることが一番です。マネージャーも部下の仕事をよく見て、良いと感じられたらすぐに褒めるようにする。

4.集中を邪魔するものを排除
大きな仕事を任せたら、細かく監視したり、報告を求めたりすることなく、できるだけ長い目で見守るようにしましょう。頻繁な確認は部下のやる気を削ぐだけです。

女性部下に期待して
成長機会を与える



日経BP総研マーケティング戦略研究所所長の麓幸子氏は、著書「女性活躍の教科書」の中で、女性活躍のためには「期待」して「機会」を与えて「鍛える」上司が必要であると“3つのK”の重要性について触れています。

「期待」とは、言葉通り、女性の活躍を信じて期待をかけることです。これまでビジネスにおいて女性に期待することが少なすぎました。そのため、女性の能力が開発されることがほとんどなかったのです。女性社員の能力の高さは、男性社員と変わりません。彼女たちはやればできる優れた人材です。期待して、手をかけて育成していきましょう。

次に必要なのが「機会」を与えることです。人が成長をするためには、チャレンジの機会と、そこで得られる経験が必要です。大学の成績も良く、入社時には優秀な女性でも、十分な成長の機会を与えられず、同じような仕事ばかりさせられていたら、能力が開発されずに腐ってしまいます。女性にもチャンスを与えてみてください。

最後に「鍛える」ことです。期待して、機会を与えるだけでは、人は十分に動かないことがあります。ただ環境だけを用意されても、最初のきっかけがなければ何をしてよいのか分かりません。そこで、積極的に何をすれば良いのかを教えて、鍛えて、育てることが必要なのです。

これら3つについて、最初は手取り足取り教えることも大切ですが、優しくすることと甘やかすことは違います。鍛えるためには、本人にとってチャレンジングな難易度の高い仕事を任せる必要がありますし、「できない」と泣き出したとしても、安易に逃げ道を作って途中でやめさせないことが肝心です。


『一瞬で心をつかむ女性部下マネジメント』 著:西村直哉、清家三佳子(幻冬舎)

男性管理職が悩みがちな女性部下への褒め方、怒り方、コミュニケーションの方法などがまとめられた本書。男女の違いをあえて際立たせ、両者の関係を良くするためのヒントが隠されています。管理職に就いている男性はもちろん、男性の上司が普段どんなことで悩んでいるのか知りたい女性も必読です。

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