童貞マガジンが選ぶイケメン童貞俳優ランキングベスト7



(C) 古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン2017年10月クールに衝撃をもたらしたドラマ『オトナ高校』(テレビ朝日系)をはじめ、ドラマや映画などで、ときどきあらわれる“童貞役”。
既に今年は『サイモン&タダタカシ』『チェリーボーイズ』などの童貞映画が控えているほか、テレビ東京系列では『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』が今クールより放送開始。



(C)2017PPFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)童貞映画『日々ロック』(2014年)での失態の印象が色濃い野村周平が童貞を演じきれるのか、若干の不安がよぎる。

■イケメン俳優が童貞を演じるということ

しかし、野村周平個人を責めるわけではなく、そもそもイケメン俳優が童貞を演じるというのはハードルの高い行為である。
『花より男子』(TBS系/2005・07年)や『美男(イケメン)ですね』(TBS系/2011年)のようなキラキラとした男子たちを演じるのももちろん大変だとは思うが、やはり、既に俳優としてテレビや映画で役を与えられる場所にいる時点で、彼らは選ばれた人たち。それゆえ、キラキラとしたイケメンやスターのような“選ばれた人たち”の演技はまだ自分に通じるものがあるはずだが、童貞役はやはり“選ばれていない側の人たち”である。

さらに、“選ばれた”人である彼らが“選ばれていない”人を演じるというのは、ハードルが高い行為でありながら、失敗すれば、童貞性という尊いものを踏みにじる、全ての童貞を足蹴にする行為である。

だからこそ逆に、童貞を演じられるイケメン俳優というのは、童貞性を尊んでくれる俳優であり、彼らの存在自体も尊むべきなのである……!

そこで“永遠のオトナ童貞のための文化系マガジン・チェリー”では、そんな尊い、童貞を演じられる俳優…すなわち“童貞俳優”を、ランキング形式でご紹介!
さらには彼らが表現できるものをピュア性・狂気など4つに分類して童貞俳優のジャンルわけもおこなった!ということでまずは第7位から!

■童貞俳優第7位:三浦春馬

2017年最大の発見だったと言ってもいいのが、三浦春馬の童貞演技の巧さである。世間的に広く名を知られることになった『14才の母』(2006年)で演じたのは、志田未来演じる主人公の中学生を妊娠させる相手、すなわち“14才の父”。
さらに月9枠での主演ドラマとなった『大切なことはすべて君が教えてくれた』(2011年)では、婚約者がいながら、武井咲演じる生徒と関係を持ってしまう教師という、完全に童貞とは真逆の役を演じ続けてきた三浦春馬。

そんな彼が2017年10月クール『オトナ高校』では、30歳の東大卒童貞という役に挑戦。
童貞の演技の成否を分ける、早口での心の叫び(『モテキ』(テレビ東京系/2010年)の森山未來の高速度のモノローグに重なる)を完璧と言っていいまでの強度で演じ、「三浦春馬が童貞役?」という違和感と不安を第一話からいきなり取り払った。まさに森山未來に続く童貞界のニュースターの誕生である。
(※今回のランキングでは殿堂入りとして、森山未來さんはランキングから除外させていただきました)

■童貞俳優第6位:滝沢秀明

生田斗真(映画『土竜の唄』2014・16年)丸山隆平(『ボーイズ・オン・ザ・ラン』テレビ朝日系/2012年)八乙女光(『ダークシステム 恋の王座決定戦』TBS系/2014年)と意外にも童貞役を多く演じ、A.B.C-Zに至っては『魔法★男子チェリーズ』(テレビ東京系/2014年)でグループごと童貞になったジャニーズの俳優たち。

中でも、“童貞期間が長くなったことでこじらせている”タイプの童貞ではなく、10代の童貞のピュア性を演じさせたら右に出るものがいないのが滝沢秀明である。

10代から活躍していたため中高生の役も多い滝沢だが、『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(TBS系/2001年)で、急に自分の家にやってきた深田恭子に恋をし、翻弄される高校生の姿は童貞そのもの。

特に、深田恭子が恋する、窪塚洋介の家に行き、「もしかしてここでヤッたのか?」という想像をしているかのような傷ついた表情で、動揺を隠そうとしながらベットを見つめるシーンはピュアな童貞演技の最高峰と言っていいシーンである。

思えば、90年代後半のジャニーズJr.黄金期「東のタッキー、西のすばる」と言われていた時代から、渋谷すばるの人気を支えたのは女子をドキドキさせるその危険性であるのに対し、滝沢秀明の人気を支えたのは、その裏切らなそうなピュア性だったのではないのだろうか。

そして、この滝沢秀明の2001年の『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』を成功例に、同じTBS金曜22時枠での、2002年の『木更津キャッツアイ』の櫻井翔、2003年の『Stand Up!!』の二宮和也山下智久と、ジャニーズの俳優が童貞を演じる土台を作ったことも強調しておきたい。ジャニーズ俳優の多くを童貞俳優にした功労者としても讃えられるべき存在、それが滝沢秀明なのである。

■童貞俳優第5位:須賀健太

須賀健太と聞いて、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)や映画『釣りキチ三平』(2009年)の絵が浮かぶ方々は「童貞を演じるのが巧いっていうか童貞でしょ?」と思うかもしれないがそうではない。「そうではない」というのは「童貞ではない」という意味ではない。それは知らない。
現在23歳の彼は、既に子役の域を脱した、立派な若手俳優なのである。その脱皮の転機ともなったと言えるのが2014年に映画『スイートプールサイド』で演じた、下の毛の生えていない男子高校生の役である。まさに子どもから大人へと成長する瞬間、童貞のはらむピュア性と狂気を同時に発する演技は、作品自体の完成度と童貞性の高さを大きく広げた。



(C)2014松竹株式会社特に、自分の苗字に、相手の名前をつけて悶絶するシーンなど、ヒロインへのピュアな想いが狂気に移行していく過程の演技は秀逸。
また今年公開の映画『サイモン&タダタカシ』でも、ブスが相手でもいいからという勢いで、我を忘れて童貞を喪失しようとする青年を好演。物語を牽引し、童貞の狂気部分を演じさせたら右に出る者のいない地位を確立しつつある。


(C)2017PPFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)■童貞俳優第4位:神木隆之介

声で童貞を演じられる稀有な俳優・神木隆之介
その童貞性のスタートは、2004年公開の映画『インストール』で、上戸彩の胸におそるおそる手をあてたところから始まっていると言っていいだろう。小学生でありながら、女子高生の胸を「触っていいですか?」と許可を得てから触るその積極性。そう、神木隆之介が演じるのは、翻弄される童貞というより、意思のある童貞である。

宮藤官九郎監督・脚本による2016年の映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』では、童貞のまま死んでしまった高校生を演じた。数度の輪廻を繰り返し、数十年以上の時をかけて、初恋の人を求め続ける姿は、ピュアでありながら意思の強い童貞だ。



(C) 2016 Asmik Ace, Inc. / TOHO CO., LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku Inc. / KDDI CORPORATION / GYAO Corporationさらに同じ年の映画『君の名は。』で声を演じた主人公・瀧くんも、まさに自分の意思で運命を変える童貞である。
おそるおそる胸に触れるのではなく、きちんと、そして数度にわたって三葉の胸を揉みしだいている姿は、瀧くんではなく『インストール』以来の悲願が達成された瞬間の神木隆之介本人に見えたほどである。



(C) 2016「君の名は。」製作委員会■童貞俳優第3位:山崎裕太

1993年にフジテレビ系列で放送され、その後劇場公開された岩井俊二監督の作品『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、小学生の男子が精神的に大人の同級生女子に翻弄される姿を描いた、童貞性の詰め込まれた作品である。そこで主演を務めたのが、当時『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)などに出演、子役として抜群の知名度を誇っていた山崎裕太だ。

『打ち上げ花火~』では、期待と困惑の入り混じった微妙な感情を、表情や声色を自然に変えながら演じきっている。
特に、自身の家から、奥菜恵に手をひっぱられて連れていかれる瞬間。好きな人と2人になれることへの高揚感と、友人・祐介に見つかったことで生まれる、申し訳無さの混ざった恋愛感情と友情との間で引き裂かれるような表情……これらはやはりアニメ版の、“顔の表情をポッと赤くする”といった単純な技巧では表現できないものである。
アニメ化に際して、あの頃の奥菜恵の魅力を超えるヒロインをアニメで作り出せるか、が大きな課題になったというが、あの頃の山崎裕太の童貞性を再現できないどころか、それに劣るものになってしまったことが、アニメ版の失敗の原因のひとつではないだろうか。

■童貞俳優第2位:林遣都

中学校の修学旅行中にスカウトされ、2007年に映画『バッテリー』の主演で俳優デビューと、その経歴や『風が強く吹いている』(2009年)等の初期の爽やかな青春映画を中心にした出演作品群を見るに、童貞演技とは遠い位置にいるように見えた俳優・林遣都。
だが2010年公開の映画『パレード』で狂気の自慰シーンを演じ、衝撃を与えたかと思えば、2016年の映画『花芯』では、自分以外の男に対してヤリマン化してしまう妻と結婚する、という童貞の悲哀を演じきり、2018年公開の『チェリーボーイズ』ではまさに全面に童貞を出した作品に挑戦。
『チェリーボーイズ』では当然のことながら、童貞役を演じるのだが、彼の演じる国森は25歳の童貞。ピュアな童貞ではなく、有り体にいえば、こじらせた童貞を演じている。



(C) 古泉智浩/青林工藝舎・2018東映ビデオ/マイケルギオン童貞脱出を試みるために、犯罪者になることも辞さない覚悟の国森は、ちょっと仲良くしづらいレベルではなく、もはや、一線を越えた嫌な奴。
漫画だったからこそ笑えたかもしれないその世界観を、見事に笑える映画に仕上げたのは、松居大悟(脚本執筆当時・童貞)の脚本によるものも大きいが、息を吹き込んだ林遣都の功績は相当たるもの。
林遣都が国森を演じきったことは、二枚目の役が多かった阿部寛が『TRICK(トリック)』シリーズで、嫌な奴のコメディ演技ができることを世に知らしめた瞬間を思わせる、衝撃的でかつ未来の開ける出来事であったようにも思えるのである。

■童貞俳優第1位:錦戸亮

1997年にジャニーズJr.としての活動を開始し、既に20年以上のキャリアをもつ錦戸亮。そんな彼の2つの童貞性が発揮された名作が宮藤官九郎脚本のドラマ『ごめんね青春!』(TBS系/2014年)だ。



ここで錦戸は、自身の高校時代の罪を償うため、母校に教師として赴任する男を熱演。14年前の高校時代も、現在の教師の時代も自ら演じた。
この作品では、高校時代のピュアな童貞性と、30歳を超えて童貞をひきずる大人という2つの童貞性を、同時に表現することに成功。
そこで起きていたのは、錦戸の兄を演じた(実際は同い年)えなりかずきのほうがヤリチンに見えるという、不可思議な奇跡である。

例えば第2話では、黒板消し代わりにおかれたブラジャーを目に、一瞬「この中にノーブラがいる」と想像、即座に教師としてはどうするべきかに思考を切り替え、結果、湘南乃風のようにブラジャーを振り回して女子高生たちに罵倒され…といった失敗をする姿は、童貞を引きずるオトナ像そのもの。

しかし、それでも、徐々に生徒たちに受け入れられていく過程は、童貞をひきずりながらも前を向く、まさに我々の標榜する、理想のオトナ童貞像である。
いやむしろ、錦戸御大の好演を受けて、このオトナ童貞をコンセプトに掲げるチェリーというサイトができあがったと言っても過言ではない。

さらに錦戸御大のすごいのは、演技以外のフィールドでは、童貞性を感じることはない、ということである。むしろ童貞とは真逆にある男の色気。これは完全に想像の域を出ないが、おそらく、プライベートでも女性に恵まれているはずである。しかし、童貞役を演じるときには、一切その香りがしない。
女性を振り回すDV男も演じることができつつ(『ラスト・フレンズ』フジテレビ系/2008年)、最新映画『羊の木』では童貞でこそないものの、振り回される男を好演している。

色気と童貞性、ピュア性と狂気、過去に引きずられながらも前を向く意思……それら全てを演技で表現できる、完璧な童貞俳優・それが錦戸亮なのである。

■童貞俳優を4タイプに分類!

こうして見てみると、“童貞を演じられる”とひとくちに言っても4タイプに分類できることがわかる。
それぞれの“表現できるもの”を4タイプに分類してみた。

① 童貞のピュア性:滝沢秀明・山崎裕太
② 童貞のこじらせ性:三浦春馬・林遣都
③ 童貞の狂気:須賀健太
④ 童貞性を抱えた上で前を向く意思:神木隆之介・錦戸亮

もちろん、この分類は本文で触れた作品の役の印象によるところも強く、それぞれの俳優が該当したものだけしか表現できないわけではない。例えば林遣都のようにキャリア初期は①を醸し出しながらも、現在は②と③を自在に行き来できるような俳優も存在するし、錦戸亮は作品の構造上『ごめんね青春!』では①と④を見事に表現していた。

また7人を並べてみると、実は子役出身者や、ジャニーズのような10代の早い時期から経験を積んでいる人たちが多いことに気づく。
繰り返しになるが、若い頃から、ドラマや映画に出演し、世に出られるというのは、“選ばれた”側の人たちである。
だか彼らは、それでいながら、童貞という“選ばれなかった”側の感情を表現することができる。

“選ばれた”瞬間から、今度は“選ばれた”人たちの中で、選ばれ続けるためのレースが始まる。長く俳優という職業を続ける中で、選ばれない側にまわることもあるだろう。おそらく、その経験が彼らの人間としての厚みをまし、表現の幅を広げていく。それは彼らが、長い間活躍していることが証明しているのかもしれない。

そして彼らの演じる童貞には、“選ばれなかった”側でありながら、いつか選ばれる側になるかもしれない可能性のようなものが、光輝いている瞬間がある。

童貞であるということは、未来があるということである。
彼らの演技に触れるとそんなことを感じるのである。

(文:霜田明寛)

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