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【MEJIBRAY】活動休止前ラストツアー最終公演「そして誰もいなくなった」で刻まれた”鮮やかなトラウマ”【ライブレポート】

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2011年に結成、その先進的なルックスとサウンドでシーンに多くのフォロワーを生み出し、2010年代ヴィジュアル系シーンそのものを象徴するかのように駆け抜けて来たバンドMEJIBRAY。2017年12月31日をもって彼らは、その活動を休止した。

今年の5月10日にMEJIBRAYの公式ウェブサイトで公開された、活動休止を告げる「大切なお知らせ」の文字は、シーンに大きな波紋と悲しみをもたらした。「なぜ!? どうして!?」というファンの声に、MEJIBRAYは最後まで沈黙を貫き続けている。メディアでの活動休止についての発信はない上に、ライヴからはMCが一切消えた。

ただ、MiA(Gt)のSNSで公開された、

"MEJIBRAYの年内活動休止が発表されましたが、私MEJIBRAY MiAはMEJIBRAYが存続する限り途中で投げ出さず責務を全うします。ただ、存続できるかどうかは僕の一存では決めかねないので皆様のお力添えを頂けると幸いです。自分に出来る限りの最善を尽くす事を約束します。"

との一文が、何かただならぬ事態の中で、彼らの歴史が終わるかもしれないことを伝えていた。

混乱の中、MEJIBRAY活動休止前ラストツアー『そして誰もいなくなった』は10月30日に、東京の高田馬場AREA公演より遂にスタートする。もともと4つの強烈な個性をぶつけあい、ギリギリのバランスを保っていたMEJIBRAYだったが、活動休止を目前にしたモラトリアムの中でその危うい魅力は更に苛烈に輝いていた。

MC無し、アンコール無し、毎公演バンドの歴史を振り返るように変わる歴代衣装とセットリスト……、彼らは最後に何を伝えようと、残そうとしていたのだろう。その答えをもしかしたら今日、知ってしまうのかもしれない。筆者は覚悟めいたものを胸に抱いて、12月16日、ツアーファイナル会場の新木場STUDIO COASTの扉を開けた。

定刻20分過ぎ、幕が上がる。いつもの爆音の登場BGMは無く、完全な静寂の中にドラムのカウントが響いた。放たれた1曲目と、ステージにぼんやりと浮かび上がった彼らの姿に、筆者は強いショックを受けることとなる。

1曲目は『剥落』だった。デスヴォイスを織り交ぜ、絶望を歌い上げるダウナーチューンが、歌詩カードと全く違う言葉で綴(Vo)の口から呪いのように紡がれる。綴と恋一(Ba)は喪に服すかのごとく黒いスーツに身を包み、なんと顔を黒く塗りつぶしていた。表情のうかがい知れない真っ黒な人影を呆然と見つめ、筆者の脳裏に言葉がよぎる。

“トラウマ”だ。MEJIBRAYは自分たちの全てをかけて、死んでも消えない“トラウマ”になろうとしている―――。

いつものように王子様然とした白い衣装に身を包み、マーシャルの壁の前に構えたMiAから、轟音のギターリフが叩きつけられ『Agitato GRIMOIRE』へ。“MEJIBRAYが存続する限り責務を全うする”と誓った彼の鬼気迫るプレイが、会場を一気に熱気の中へ導いた。

「ぶっ飛べ! クールモンスター!!」

綴の叫びを合図に放たれた『VICTIM(ism)』では、ありのまま裸一貫で大舞台に挑もうとの意思だろうか、半裸に白いペインティングをほどこしたメト(Dr)の、渾身のドラミングに合わせたファンのモッシュとコールで、地鳴りが聴こえそうなほどに会場が揺れた。

アッパーチューンの猛攻は更に激しさを増し、『月食』そして『DECADANCE - Counting Goats … if I can't be yours -』へと続く。『月食』のアラビア調のイントロが流れるなり湧き上がった大歓声に、逆光に浮かぶ綴のシルエットが美しく映えた。「僕が世界一美しい!」と、綴が高らかに叫び、結成当時から一瞬一瞬が圧倒的に美しかったMEJIBRAYの歴史が思い出される。

『DECADANCE - Counting Goats … if I can't be yours -』では、ファンのシンガロングが会場を包んだ。

《空は今日もミドリ色で 決して溶け合う事はない いつか混ざり合えるならば 終われCounting Goats》

活動休止前ラストツアーのファイナルステージ、そのこと暗喩するような歌詩が、ファンひとりひとりによって歌い上げられるさまに、胸が潰れるような思いがしたのは筆者だけではなかっただろう。

前半戦はここで終わり、一時暗転。暗闇にMEJIBRAYのロゴのバックドロップと、メンバーの名前を呼ぶファンの阿鼻叫喚めいたコールだけが浮かび上がっていたことが、脳裏にこびりついて離れない。

中盤のミドルチューンやダウナーなナンバーのセクションは、『醜詠』『-XV-』がまるでひとつの物語かのように紡がれ、綴の表現者としての真骨頂を、ここにきてまた思い知らされた。

鮮血のように赤いライトがステージを照らし出すなか、虚ろな表情で朗々と歌われた『醜詠』。「醜い現実よ この心だけは…」という曲中のセリフを、乾いた嘲笑を浮かべて呟く綴に、底冷えする恐怖を感じさせられる。

ノイジーなギターと、地を這うようなグロウル、ねっとりと媚びたファルセットが不穏に絡み合った『-XV-』では、曲の最後に「忘れさせはしないから……」と、綴が狂人のごとく微笑み、虚空を見つめる。MEJIBRAYにしか描けない地獄の底のような景色が広がり、私たちの胸にまたひとつ消えないトラウマが刻まれた。

浮遊感のあるシンセサイザーと美しいメロディーが印象的な『Hatred × Tangle red × Hunger red』から、MEJIBRAYは一気にクライマックスへと疾走しはじめる。美しいピアノシーケンス、楽器隊のスリリングなプレイ、限界の向こう側を振り絞るように歌う綴、ファンの大合唱がひとつになった『ナナキ』は、涙無しでは見届けることができなかった。MEJIBRAYの、“争う事もなく痛みナキ日々”は、いつかもう一度くるのだろうか―――。

官能的な女性コーラスとアコースティックギターのサウンド、情感溢れるメロディラインの『DIE KUSSE』からは、MiAがギターをギブソンのフライングVに持ち替えてプレイ。このギターはMEJIBRAY結成当時に彼がメインギターとして使っていたものに、ゴールドの加工やネックへのLEDの埋め込みなどを施したもので、この日初めて披露された。

シニカルで、いつもひょうひょうとした笑顔のMiA。彼はどんな思いで、この日のためにこの一本を準備していたのだろうか。

ライヴはいよいよクライマックスに差し掛かり、MEJIBRAYとファンの、全てをかけた決死のばか騒ぎがはじまる。『原罪の林檎』、『嘘と愚行-それもまた人間らしいって神様は笑ってるの-』、『枷と知能-それってとても人間らしいって神様は笑ってるの-』……、新旧問わない珠玉のアッパーチューンが惜しみなく叩きつけられ、まばゆいライトに輝く会場の熱気は天井知らずに高まっていく。

怒号のようなコール、モッシュで生き物のようにうねるフロア、髪を振り乱して絶唱する綴、一音一音が研ぎ澄まされた迫真のプレイのMiA、ステージから落ちんばかりに身を乗り出してファンを煽る恋一、椅子の上に立ち上がり小柄な身体が何倍も大きく見える全力のドラミングのメト。会場の全てが、“誰もいなくなる”ことに必死にあらがっていた。

恒星は、その寿命を終える時に大爆発を起こし、一生で一番輝くという。夜空の星の最後のように美しく発光する熱気が、新木場STUDIO COASTを包む。

水を打ったような一瞬の静寂の後、ラストソングは『BI“name”JIKA』。この曲の最後に私たちは、恐ろしいものを目撃することになる。

噛みしめるように歌い上げていた綴の声が段々と揺らぎ、ついに泣きじゃくりながら崩れ落ちたのだ。恋一はベースを投げ出して綴に駆け寄った後に立ち上がり、高々と腕をつきあげた。虚空を睨みつけ、中指を立てた彼は、その手をパッと人差し指と中指と薬指を立てる3本指のサインに変えた。3本指のサインは“革命と結束”を表している。

熱気にとけた黒いペイントに浮かんだ、決意に満ちた彼の表情を筆者は一生忘れることができないだろう。

メトは最後まで叩ききり、フロアに向かって深々と頭を下げた。言葉を話せないゆえに、いつも豊かな表情とジェスチャーで私たちに思いを伝えていた彼らしい最後だった。MiAも最後の一音まで一切の動揺を見せずに“責務を全う”し、がくりとその場に膝をつく。

ゆっくりと、無情に幕が閉まる。懇願するような不揃いなアンコールの絶叫に、「本日の公演は全て終了しました」のアナウンスが虚ろに響いていた。

泣き叫ぶ人、崩れ落ちる人、開かない幕を見つめ拍手を送る人。MEJIBRAYが青春だった人もいるだろう、元気の源だった人もいるだろう。最近興味を持ち、この日が初めてのライヴだった人もいたかもしれない。MEJIBRAYはその全ての人の心に、いや、2010年代のヴィジュアル系シーンに永遠に消えない鮮やかなトラウマを残し、ステージから“誰もいなくなった”のである。

結成から活動休止まで予定調和や惰性が一切なく、いつも最高にドラマチックだったMEJIBRAY。鮮やかなトラウマがもう一度彼らの手で塗り替えられるまで、私たちは心のどこかで空の舞台をずっと見つめている。

~セットリスト~

1:剥落

2:Agitato GRIMOIRE

3:VICTIM(ism)

4:月食

5:DECADANCE - Counting Goats … if I can't be yours -

6:醜詠

7:-XV-

8:Hatred × Tangle red × Hunger red

9:ナナキ

10:DIE KUSSE

11:原罪の林檎

12:嘘と愚行-それもまた人間らしいって神様は笑ってるの-

13:枷と知能-それってとても人間らしいって神様は笑ってるの-

14: BI“name”JIKA

「そして誰もいなくなった TOUR FINAL at 新木場STUDIO COAST」7th LIVE DVD

2018年3月7月 Release

DVD1枚組 14songs/16Pブックレット/¥6,000+税/WSGD-9

収録曲:

1.剥落

2.Agitato GRIMOIRE

3.VICTIM(ism)

4.月食

5.DECADANCE - Counting Goats … if I can't be yours -

6.醜詠

7.-XV-

8.hatred × tangle red × hunger red

9.ナナキ

10.DIE KUSSE

11.原罪の林檎

12.嘘と愚考-それもまた人間らしいって神様は笑ってるの-

13.枷と知能 -それってとても人間らしいって神様は笑ってるの-

14.BI"name"JIKA

発売元:株式会社フォーラム 販売元:ダイキサウンド株式会社


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