良心か、秩序か・・・蒼井優と生瀬勝久が激しくぶつかり合う!舞台『アンチゴーヌ』開幕

エンタステージ

2018/1/12 13:10


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2018年1月9日(火)に東京・新国立劇場 小劇場(特設ステージ)にて、舞台『アンチゴーヌ』が開幕した。本作は、ソフォクレスのギリシア悲劇を翻案したフランスの劇作家ジャン・アヌイの代表作。法と秩序を守り、権力者としての責任を貫こうとする冷静な王クレオンに対し、自分の良心に正直に従い、自己の信念を貫く少女アンチゴーヌの姿が描かれている。

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岩切正一郎の新訳、栗山民也演出のもと、出演者には蒼井優、生瀬勝久、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤誓、渋谷謙人、富岡晃一郎、高橋紀恵、塚瀬香名子といった名優たちが集結した。初日前日に公開されたゲネプロの模様と、アンチゴーヌ役の蒼井とクレオン役の生瀬が登壇した会見の模様をレポートする。

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仕組まれた王位争いの末、刺し違え命を落としたアンチゴーヌの二人の兄。争いの後、王位についたクレオンは、長兄エテオークルを手厚く弔ったが、次兄ポリニスを国家への反逆者とみなし、遺体を野に晒し埋葬を禁じた。王の命に逆らう者は死刑にするという中、次兄の遺骸に弔いの土をかけ、捕らえられた少女アンチゴーヌ。クレオンは執政者としての立場を崩せない一方で、息子の婚約者でもあるアンチゴーヌを助けるため、土をかけた事実をもみ消す代わりに次兄の弔いを止めさせようとする。だが、意志を変えないアンチゴーヌは、自分を死刑にと主張。葛藤の末、クレオンは苦渋の決断を下す・・・。

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約45分に渡り、アンチゴーヌとクレオンが二人だけで台詞をぶつけ合う場面は圧巻の一言。アンチゴーヌが見せる人間として正直な感情と、クレオンが秩序を守るために見せる執政者としての姿勢は、どちらも決して間違ったものではない。だが、アンチゴーヌの言葉の一つ一つが、刃のようにクレオンに突き刺さる度、クレオンの心の鎧がむしり取られ、秘めた感情が垣間見えてくる。それを必死で抑えようとふるまうクレオンの苦悩。水を打ったように静まり返る劇場内に、蒼井と生瀬だからこそ生み出せる緊張感が満ちていた。

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会見では、本作の演出を務めた栗山について質問が及んだ。蒼井は「栗山さんの稽古は13:00から16:00までという短いものなんです。稽古後の時間は、役者同士が話し合い、役をもっと深く落とし込む時間にしてくださいました」と現場の雰囲気を伝えた。

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加えて「演出経験のある生瀬さんが『ここはこうやってみたら?』とたびたび教えてくださいました。生瀬さんは役者でありながら演出助手の役割もしてくださったので、とても勉強になりました。そしていざ、ステージに立つと本当に飲み込まれそうなくらいの迫力を感じ、生瀬さんの演技にうっとりして自分の演技がおろそかにならないよう、私もがんばりました」と語った。

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生瀬も蒼井について「役者になるために生まれてきた人なんだな、と感じました。こちらが(芝居の)力で押しても何故かすうっと彼女を通り抜けてしまうんです。自分の技がかからない、という状態。役者としての存在感が素晴らしい方です」と称賛。

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アンチゴーヌとクレオンは対照的な人物だが、蒼井は「アンチゴーヌ役を演じるからには100%アンチゴーヌに染まりたいんですが、実際はアンチゴーヌとクレオン両方に共感してしまう、という中途半端な状態になっています」と苦笑しながら複雑な胸の内を明かす。一方、生瀬は「僕はアンチゴーヌですね。嫌なものは嫌だって言いますから!」と即答。迷いのない生瀬の発言に蒼井が吹き出していた。

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作品の見どころについて、蒼井は「冒頭の10分くらいで、一人の役者さんが結末まですべて語ってしまうんです。この構成がおもしろい作品だなと思います」と口にすると、生瀬がすかさず「『古畑任三郎』シリーズみたいだよね。最初に全部結論まで言ってしまう感じがね。そんなに話してしまったら、あとの2時間はどうなってしまうのか・・・と。でも、結末が分かっていてもおもしろいんですよ、この芝居は!」と生瀬流に見どころを伝えた。

そんな生瀬は「僕はよくコメディ作品に出るんですが、今回は一切笑いがない役です。世間の方は生瀬にこんな芝居が出来るのか?と思うかもしれませんが・・・出来るんですよ!」と声を張り、続けて「蒼井さんと一緒に作り上げたこの作品を演劇史に残す自信があります!」と力を込めた。

パルコ・プロデュース2018『アンチゴーヌ』は1月27日(土)まで東京・新国立劇場 小劇場(特設ステージ)にて上演。その後、長野、京都、愛知・豊岡、福岡・北九州を巡演する。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】2018年1月9日(火)~1月27日(土) 新国立劇場 小劇場<特設ステージ>
【長野・松本公演】2018年2月3日(土)・2月4日(日) まつもと市民芸術館<特設会場>
【京都公演】2018年2月9日(金)~2月12日(月・祝) ロームシアター京都サウスホール<舞台上特設ステージ>
【愛知・豊橋公演】2018年2月16日(金)~2月18日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT<舞台上特設ステージ>
【福岡・北九州公演】2018年2月24日(土)~2月26日(月) 北九州芸術劇場 大ホール<舞台上特設ステージ>

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(取材・文・会見撮影/エンタステージ編集部)
(舞台写真/阿部章仁)

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