『anone』第1話 坂元裕二が紡ぐ名言・名台詞をまとめてみた

しらべぇ

2018/1/12 07:00


『anone』

10日に初回の放送を迎えた広瀬すず主演ドラマ『anone』(日本テレビ系)。

当サイトでは翌日その内容を詳しくお伝えしたが、ストーリー以上に注目されたのが脚本家・坂元裕二が紡ぐ台詞だ。

ネット上でも「名言すぎる」「名台詞だ」など多くの反響が確認されているが、ここでは第1話に登場した台詞の一部を紹介したい。

■「努力は裏切るけど、諦めは裏切りません」(持本舵)


余命半年のカレーショップ店長である持本舵(阿部サダヲ)が客の青羽るい子(小林聡美)に放った言葉。

「努力は必ず報われるのかそうでないのか」については多くの議論があり、これまで多くの作家が表現してきた。長くなる&脱線するので詳細は省くが、近年では羽海野チカ著『3月のライオン』に登場する山崎順慶棋士の発言などが有名だろう。

そんな中、坂元は「諦めは裏切らない」という一文を追加することで的確に、かつ新鮮に表現することに成功した。

(なお、しらべぇが過去に行なった調査では「努力は必ず報われると思う」と答えた人は全体の24.1%。多くの人はたかみなに共感していないようだ)

■「友達……って言うのとは少し違うけど、もう随分長い間パジャマを着て寝たことがないのは3人とも同じ」(辻沢ハリカ)


主人公であるハリカ(広瀬)がチャット相手である紙野彦星(清水尋也)に対して送った言葉だ。

『カルテット』(TBS系)で描かれたテーマのひとつに「旧来の価値観に縛られない共同体」というのがある。4人の音楽家たちが血の繋がりや家族といった枠組みを超えた関係性を構築していったわけだが、上記のハリカの台詞もそのようなニュアンスを感じさせる。(結果的にそう感じていたのはハリカだけだったわけだが)

しかしながら、「友達」などと言った単純な言葉で表現せず、小さなリアリティを積み重ねることで丁寧にキャラを描く坂元の筆力は「さすが」の一言だ。

■「大切な思い出って支えになるしお守りになるし居場所になるんだなあって思います」(辻沢ハリカ)


同じくハリカの言葉。彦星から柘(つげ)で過ごした幼少期の話を聞かれ、送った言葉だ。

坂元作品の特徴のひとつに「同じ概念を別の表現で、別の作品でも描く」というのがある。

たとえば『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)では、主人公の音(有村架純)が持っていた母親からの手紙を、練(高良健吾)が「つっかえ棒」と表現していた。

過去の自分を捨てながらも一応の居場所はあった音と比べて、天涯孤独なハリカにとって思い出は「心の居所」という意味合いが強いのだろう。些細な表現の違いだが、感じ方は大きく異る印象だ。

■「お金じゃ買えないものもあるけど、お金があったら辛いことは減らせるの」(有紗)


ハリカがネットカフェで一緒に過ごしている少女が言った言葉。

前述の「努力は裏切るけど……」と同じく、すでに一般に広がっている手垢のついた言葉をアレンジすることで、「一見聞き慣れている感じなのに新しい」という、絶妙な言葉のバランスを得ることに成功している。

■「死にたい、死にたいって言ってないと、生きられないからですよね?」(持本舵)


ここ半年ずっと死にたいと思っていたというるい子に対し、持本が言った言葉。「生きたいから言うんですよね?」と持本は直後に続け、彼女の心の奥底に潜む、彼女自身も気づかなくなっていた小さな感情をすくい上げた。

『カルテット』でも諭高(高橋一生)が「言葉と気持ちは違うの」と第3話で語っていたが、持本の台詞もそれに通るものがある。

■「地球も流れ星になればいいのに」(辻沢ハリカ)


ハリカと彦星が施設を脱走した夜に、ハリカが流れ星を見て言った一言。通常、流れ星というのは「ロマンチックなもの」として扱われることが多いが、ここではその真逆である。

そういう意味でも、幼き日のハリカの絶望を見事に表現した台詞と言える。

■第2話以降も注目


これ以外にも秀逸な台詞がたくさんあった第1話。一瞬たりとも見逃せない、聞き逃せない作品だ。

第2話以降も、台詞を耳で心で楽しみながら見守っていきたい。

《これまでに配信した『anone』記事一覧はこちら

・合わせて読みたい→想像以上に難解? 『anone』世界観に衝撃も「坂元作品にハズレなし」

(文/しらべぇドラマ班・クレソン佐藤 イラスト/みかごろう

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