「話がうますぎるな」と思ったら、その予感は当たっていることが多いものです。
実際、レトロなカートゥーン調ゲーム『Cuphead』の偽アプリがそうでした。Cupheadは、2017年9月にローンチされた大人気のゲームで、プレイできるのはXboxとWindowsのみでした。ところが、12月18日に突然、iOSのApp Storeにアプリが登場したのです。iOS版を見ると、開発会社の名前からゲームの説明まで、何もかもが本物っぽく見えます。動作もまったく遜色ありません。とはいえ、それが偽物であることはまもなく明らかになりました。
注:Cupheadの正式なデベロッパが偽アプリについて警告したツイート
Cupheadの場合は、偽物の出来がほぼ完璧で、見抜くことは不可能に近かったと言えるでしょう。しかし、アプリが偽物であることを示す兆候はたくさんあります。それさえわかれば、この先、お金を無駄にせずに済むでしょう。あるいは、手当たり次第に攻撃してくるハッカーに、あなたのスマートフォンへのアクセスを許してしまうという事態を回避できます。
偽物のアプリはそもそも何が悪いのか
Cupheadのようなゲームの場合だと、「偽物だと何が悪いの?」と首を傾げたくなるかもしれません。「著作権侵害になるからもちろん問題だけれども、単にゲームを楽しみたい普通の人にしてみれば、承認されていないクローンゲームが必ずしも悪いものだとは限らないんじゃないの?」とお思いなら考え直すべきです。
正体不明のデベロッパからアプリをダウンロードする行為は、スマートフォンの利用許可を与えていることにほかなりません。米テレビネットワークABC Newsは2017年11月、サイバーセキュリティ専門家の協力を得てデモンストレーションを行ないました。そして、スマートフォンが偽アプリを通じて不正アクセスされれば、ハッカーが遠隔からアクセスしてカメラで自由に写真を撮れることを実証したのです。
さらに、ハッカーはスマートフォンの持ち主の居場所を追跡したり、ほかのアカウントにログインするときのパスワードを記録したりできます。そのスマートフォンからテキストメッセージを送ることさえ可能なのです。
もう1つの問題は有料アプリの場合、支払ったお金がダウンロードしたゲームやサービスを実際に開発した人や会社でなく、模倣者の手に渡ってしまうという点です。Cupheadの偽アプリは5ドルですが、そのお金は1セントたりとも何年もかけて手描きでこのゲームのアニメーションを作成した小さな会社のものにはなりません。
偽物であることを示す明らかな兆候
新しいアプリをダウンロードしようして、それが偽物かどうか心配になった時は、見抜くために確認すべき点がたくさんあります。何よりもわかりやすいのは、デベロッパの名前です。開発者の名前は、ページ上部のアプリ名のすぐ下に表記されています。聞いたことのある会社でなければ、そのアプリはおそらく偽物です。
とはいえ、デベロッパ名をうまくごまかす方法はあります。たとえば、Google Play Storeに登場したこちらの『WhatsApp』偽アプリは、まるで本物のデベロッパがリリースしたものに見えます。けれどもご安心を。気をつけるべき注意点はほかにもたくさんあります。評価とレビューを確認しましょう。大量のレビューが寄せられているなら、それはおそらく本物です。また、「アプリの説明部分にタイポやいい加減な文章が見受けられないか」「割引クーポンがもらえると書いてないか」「アプリの名前がウェブサイトのURL全部になっていないか」、これらもアプリが偽物だという証拠です。
騙されないための最終手段
ただし、App Storeでリリースされた偽物のCupheadアプリに関しては、ここまでお話しした注意点をあなたがすべて確認したとしても、偽物とは考えなかったでしょう。本物か偽物かを見分ける決定的な手段はあるのですが、それはApp Store内では使うことができません。
アプリが偽物でないことを確信したければ、そのアプリを開発したデベロッパのウェブサイトかソーシャルメディアのアカウントからアプリに直接アクセスするしか方法はありません。Cupheadの場合、ウェブサイトやCupheadのデベロッパと正式につながっているプロフィール上では、iOSでリリースされることが一切告知されていませんでした。それこそ、アプリが偽物であることを明確に示す兆候だったでしょう。しかし、それ以外の何もかもが本物っぽく見えたことを考えれば、騙された人を責めることはできません。
模倣者が以前にも増して巧妙になってきているので、騙されないようより一層注意していく必要がありそうです。
Image: Lifehacker US
Source: Gadget Hacks, Twitter, ABC News, The Verge
Jacob Kleinman - Lifehacker US[原文]