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【コラム】よく「言い方がキツい」と指摘される人に読んでほしい話(名越康文)

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【コラム】よく「言い方がキツい」と指摘される人に読んでほしい話(名越康文)
同じ言葉でも、誰が言うかとか、言い方によって「許される」場合と「許されない」場合があるように思います。人と同じように話していても周りから「キツい」と言われない方法や、相手に好意的に受け取ってもらいやすい話し方、言葉遣いのコツについてTVなどでおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にお話しを伺いました。
大切なのは相手に「敬意」があるかどうか

【コラム】よく「言い方がキツい」と指摘される人に読んでほしい話(名越康文)

同じ言葉でも、「この人が言うなら許されるけれど、この人が言うと許されない」ということは、確かにあります。また、口調や言い回しによって、受け取られ方が正反対になってしまう、ということもよくありますね。

個人的なキャラの違いやシチュエーションを考慮に入れ始めると、なかなか一概に「こうだ」と言い切れない問題だとは思います。ただ、「どういう場合に建設的で和やかな会話になり、どういう場合に実りのない、殺伐とした口喧嘩になるのか」という切り口から考えてみると、結論は意外に単純です。それは「敬意」の問題なのだと思うのです。

相手に敬意を持っていなければ、ちょっとしたことでも言い争いになるでしょうし、相手を人間としてしっかり尊重している人であれば、かなり踏み込んだ発言をしても許容される……とは限りませんが、かなり、その確率は上がります。

当たり前のことですね。取り立てて文章にするほど、特別な話ではないのかもしれません。相手の言い分を全否定すればケンカになるし、相手の言い分を認めたうえで、自分の意見を言うのであれば、建設的な議論ができる。そんなことは、誰だってわかっているはずです。

でも、実際のコミュニケーションの現場を見ると、このごく単純で、誰でも理解できる基本的なことを、私を含めた多くの人が、十分に実践できていないのですね。

私たちはどういうわけか、議論の際に、相手が自分以上の知性を持っている可能性を忘れてしまいます。

メディア上での論争や、SNSや日常生活での人間関係上のトラブルを観察していると、その9割は「相手への敬意を失った瞬間」に起きている、というのが、私の偽らざる実感なのです。
相手の知性を低く見積もっているうちは議論が成立しない

【コラム】よく「言い方がキツい」と指摘される人に読んでほしい話(名越康文)

なぜ、私たちは、相手の知性を低く見積もってしまうのでしょう?

わかりやすい例として、世代間での論争を例にとって考えてみましょう。年配の人間からすると、若者は無知に見えます。彼らの話していることの多くは、自分たちが若いころ、通過し、卒業してしまった議論にしか見えない。だから、年配の人間は頭から、若者の意見を取るに足らないものだと捉えてしまう。

いっぽう、若者からすると年配の人間は、経験や習慣によって凝り固まった、頭の固い人たちに見えます。

こうしてお互い、相手の知性を低く見積もった状態で議論を始める。そうすると当然、相手の話にまともに耳を傾けられなくなります。こちらの言葉も自然と、相手を見下した口調や言葉遣いになり、さらに相手を逆上させてしまうことになるでしょう。
「あなたはこういうことをおっしゃっていますね。それはよく理解できました。でも、この点については、私はこう思うんですが、どうですか?」

相手の議論を一度受け止め、全体ではなく、論点を絞って反論する。もし本当に、相手と実りある議論を交わしたいと思っているなら、こうしたステップを踏むのが当然のことです。

しかし、私たちはしばしば、議論において当然踏むべきこうしたステップをすっ飛ばし、大急ぎで相手の意見(というより、相手そのもの)を全否定しようとしてしまうのです。
否定の裏にあるのは恐怖心

【コラム】よく「言い方がキツい」と指摘される人に読んでほしい話(名越康文)

では、こうした状況から、どうしたら抜け出すことができるでしょうか? ここで考えてほしいのは、私たちはなぜ、自分が見下している相手に対して、攻撃的になるのか、ということです。

これは結局、私たちが心の奥底に、強い不安を抱えているからだと思います。「自分の立場が脅かされるのではないか」という不安が強い人ほど、論敵に対して攻撃的にならざるをえません。

「こんな簡単な話がどうしてわからないんですか?」

そう口にしているとき、私たちは相手から攻撃される恐怖に怯えています。議論の内容ではなく、相手の人間性そのものを否定しようとするとき、私たちはただただ、心の奥底にある恐怖心に突き動かされているのです。

他人の話に耳を傾けるためには、まず自分の心のうちにある恐怖心を認めることから始める必要があります。

勇気と自信と確信に満ちているはずの他ならぬ自分自身が、実は相手を恐れているということ。否定されたり、バカにされたりしてしまわないかという不安に怯えていること。

そういう自分の心の弱さを認めるところからしか、相手に好意的に受け取ってもらえる言葉を発することはできないのだと思います。
変えられるのは自分だけ

【コラム】よく「言い方がキツい」と指摘される人に読んでほしい話(名越康文)

もちろん、自分の中にある恐怖心や劣等感、不安を認めて、真摯な議論をかわそうとあなたが心に決めたところで、相手のほうが防衛的になっている時には、やはり話は通じないかもしれません。

もしも相手が、あなたが発するなんでもない言葉を次々に曲解し、どんどんかたくなになっていくようであれば、もうこちらからできることはほとんどないでしょう。

もしそうであれば、今度はむやみに言葉を発することなく、適切な距離を取る、という分別が求められることになります。

ただ、何れにしても肝に銘じておくべきことは、「相手を変える」ことはできない、ということです。

「話を通じさせる」ために、相手を変えようとするのは本末転倒です。話を通じさせるために私たちができることは、自己変容だけです。自分の心の内実を変えることだけが、局面を変えていくことにつながるのです。

※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。

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