岡山県津山市で局地的にソウルドリンク化している「瓶チュー」とは

Excite Bit コネタ

2017/12/29 10:00



酒好きの友人から「瓶チュー」というアルコール飲料を知っているか?と聞かれた。瓶チューは、しそ焼酎の「鍛高譚(たんたかたん)」をはじめ、日本酒、ワイン、ウイスキーなどさまざまなアルコール飲料を製造・販売している「オエノングループ」の「合同酒精」という企業が造っている商品で、その名の通り、瓶入りのチューハイだという。

私にとっては初めて聞く商品名だったのだが、日本全国で販売されているのにも関わらず、都道府県別の売り上げランキングでは岡山県がダントツで1位。しかも岡山県の北部にある津山市で特に人気で、津山市の「ソウルリカー」にまでなっているのというのだ。
そこまで聞くと、「なんで津山市で売れているんだろう、津山市に何があるの?」とみなさん疑問に思わないだろうか。私は気になって仕方なくなった。

とりあえず、手に入れた瓶チューを飲んでみる。300ml入りでアルコール度数は7%。レモンの酸味がキリッとして、甘さは控えめ。後味はサッパリしている。丸みのある瓶が手になじみ、パッケージデザインも可愛らしい。だが、味わっただけではなぜ津山市で売れているのか理由がわからない……。


メーカーに聞いてみた
そこで、オエノンホールディングスの広報担当の方に瓶チューと津山市の関係についてお話を伺うことにした。

――瓶チューは全国で販売されているチューハイ飲料ですが、特に岡山県津山市で愛飲されているそうですね。一体なぜなんでしょうか。

「津山市の飲食店の店主さんや酒屋さんが瓶チューの味わいを気に入ってくれたことが大きい要因だと思います。また、津山市の飲食店は、鉄板焼き屋さん、焼肉屋さんなどの専門店が多く、チューハイを瓶のまま提供するスタイルも飲食店のニーズに合っているようです」

――なるほど、確かに瓶のまま提供できればお店側の手間も少なくすみますね。

「瓶チューには『瓶チュー レモン』『瓶チュー ドライ』『瓶チュー プレーン』などのバリエーションがあるのですが、津山市では『瓶チュー レモン』が特に人気です。津山市は昔から和牛の産地としても有名で、牛肉の文化があります。牛肉をよく食べられており、ホルモン焼きもよく食べられています。『ホルモンうどん』もご当地グルメとして有名です。岡山県全般を見ても『えびめし』、『デミかつ丼』など、甘辛いタレを使ったご当地グルメが多く、そうした食の味わいと『瓶チュー レモン』の味わいがマッチするのではないでしょうか」

――ホルモンの脂のうまみとか、濃厚で甘辛いタレにあの後味がよく合うということなんですね。

「『瓶チュー レモン』はレモンの酸味がきつ過ぎず、ほのかに感じる甘みと深み、強い炭酸が特長です。この“ほのかな甘みと深み”が、牛ホルモンの旨みや『ホルモンうどん』の甘辛い味わいと絶妙にマッチするんだと思います」

――ちなみに津山市で瓶チューが流行っているというのはいつ頃からの話なんでしょうか。

「古い話なので詳しい年代は不明ですが、津山市の飲食店の店主さんによりますと、30年前ぐらいから徐々に広まっていったようです。当時は『瓶チュー』という商品名ではなく、前身の『ハイボーイ』という名前で販売していました。津山市の皆さまにはその頃から長く愛していただいています。昔からある当たり前のお酒として受け入れられていて、他県から来た方が瓶チューを気に入ってお土産に買いたいと飲食店にお願いされることもあるそうです」

津山の郷土料理と一緒に瓶チューを味わってみた
ここまで聞くと津山市の名物料理と瓶チューの相性を確かめてみたくなるというもの。残念ながら津山市まで行くことはできなかったのだが、岡山駅から徒歩15分ほどの場所にある「輪屋」という居酒屋で津山の郷土料理と瓶チューを味わうことができると聞き、行ってみることにした。


「輪屋」のオーナーは津山市出身で、お店では牛ホルモンをはじめとしたおつまみや名物の「津山ホルモンうどん」を食べることもできる。

お店の壁には「津山ソウルドリンク」の文字とともに瓶チューをおすすめする貼り紙が。


早速注文してみた。「輪屋」では氷の入ったジョッキとともに提供される。


牛の心臓付近の大動脈だという「ヨメナカセ」(右)と、牛のモモ肉を干したものだという「牛干し肉」(左)をおつまみに選んでみた。


「ヨメナカセ」はコキュッとした食感で、噛めば噛むほど甘みのある脂があふれ出してくる。追いかけるように瓶チューをグビッと飲むと、口の中がスッキリしてまた箸が進む。「牛干し肉」も噛むごとに肉の奥から旨みがしみ出してくる最高のアテで、深いコクと瓶チューの酸味が最高に合うのである。

続いて注文した「津山ホルモンうどん」との相性も、これはもう最初から完全に合うだろうなと思っていたが、やはり合う。


重要なのは味わいがしつこくなく、さっぱりスッキリしている点。酸味と強い炭酸が口の中の脂分をシュワッと流してくれるのが実感できる。ホルモン、瓶チュー、またホルモン……と永久にループしそうで怖い。

山陰と山陽を結ぶ出雲街道が走る津山は交通の要衝で、8世紀から牛馬を売買する「牛市」というものが開かれていたという。食肉が禁じられていた明治以前にも滋賀の彦根藩と岡山の津山藩だけは幕府から黙認されていたそうで、牛肉文化の歴史上でも非常に重要な地なのである。

「輪屋」でいただいた料理も大変美味しかったのだが、これはもうぜひ今度津山市に出かけて食べ歩きをしたいと強く思った。オエノンホールディングスの広報担当の方によれば、津山市には山ほどおすすめのお店があるそうなので、ぜひ近いうちに行ってみようと思う。

みなさんも津山市にお越しの際はぜひご当地グルメと瓶チューを一緒に味わってみてください。
(スズキナオ)

取材協力:オエノングループ 合同酒精(株)

輪屋
岡山県岡山市北区表町1-10-23

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