ジャッキー・チェン最新作「カンフー・ヨガ」なんだこれ白昼夢かよ、ツッコミどころに溺れる幸せ

エキレビ!

2017/12/27 09:45

面白かったかどうかで言えば破滅的に面白かったのだけど、見終わって数日経った今も「果たしてあれはなんだったんだろうか……」という疑問が拭えない。年末になって現れた今年一番の問題作、映画館で見る白昼夢、それがジャッキー・チェン主演最新作『カンフー・ヨガ』である。


今度のジャッキーはインドで秘宝を探します
思えば、今年はジャッキー映画の当たり年だった。池内博之と共演し、ノープラン過ぎる列車強盗を描いた『レイルロード・タイガー』。"いつものジャッキーのバディもの"が2017年になっても見られることに涙した『スキップ・トレース』。そして、最後を飾るのが、この『カンフー・ヨガ』である。

『カンフー・ヨガ』のジャッキーは考古学者だ。といっても、まあ中身は大体いつものジャッキーなので「ふ~ん、今度のキムタクは検察官なのか~」くらいの温度感で見ていて大丈夫。考古学者ジャッキーはインドの美人学者に頼られて、インドと中国の境目あたりに眠る古代の秘宝を発掘に向かう。しかし、その秘宝を狙うインドの悪い富豪に発掘を妨害されたり、インドの美人学者には色々秘密があったりと、なんかそういう感じで世界を股にかけて冒険するわけである。

とにかくロケに金がかかっており、特にドバイでのカーチェイスは凄まじい。超高級車をガンガンぶっ壊してドバイの街中を車が走り回り、悪いインドの富豪が人類史上に残るスタイリッシュ降車(横転しながら吹っ飛ぶ車のドアが下に向いたところで平然と開け、スッと地面に降り立つ。乗っていた車は明後日の方向に飛んでいく)を見せるところは気を失いそうになるくらいカッコいい。

また、冒頭に挟まる「昔インドの武将と中国の武将が協力して悪い像軍団と戦いました」というCG映像も大変楽しい。まるでインドと中国の金持ちがコーエーテクモゲームスの株を全部買い占めて作らせたみたいな、「インド無双」な映像(全体にプレステ3っぽい)なんだけど、爆発的なケレン味があって映画のオープニングとしては大正解である。

しかし、この映画の魅力は通常の映画とちょっと異なる。120分近い上映時間のほとんど全編に散りばめられている、怒涛のツッコミどころがその本体なのだ。

怒涛のツッコミ待ちを前に、君は三村マサカズになる
『カンフー・ヨガ』はガバガバな映画だ。なんというか、全てがやりっぱなしなのだ。最初の方で出てきた「ジャッキーの助手はイケメンなのでモテる」という設定が瞬時に放置されたのを皮切りに、「あのライオンってもう出てこねえのかよ!?」とか「あのツルに捕まってたおっさん放置かよ!?」とか「なんで狼の前でカンフーの形稽古やんだよ!?」とか「大事な木簡で殴るのかよ!?」とか「動物が出てくるくだりが長すぎるよ!?」とか、思いつくままに挙げていくだけでもツッコミを入れたい箇所が山ほど出てくる。『カンフー・ヨガ』は、人間を強制的に三村マサカズにしてしまう映画なのである。

大体タイトルからしてツッコミ待ちだ。カンフー・ヨガ。適当につけられた邦題とかではなく、原題が『功夫瑜珈/Kung Fu Yoga』なのだから仕方ない。ジャッキーがインドで冒険するから『カンフー・ヨガ』。インドと言ったらヨガ。ダルシム並みのわかりやすさ。「ホラホラ、突っ込んでいいよ」という声がどこからか聞こえてくるようである。

しかし、このツッコミ不在でボケ倒しまくる『カンフー・ヨガ』のテンポが、見ているうちにちょっと心地良くなってくる。ああ……さすがにジャッキーよく動いてるな……でもさっき出てきたあのおじさんどこ行ったんだっけ……と、ぼんやり考えながら見ていくうちに、映画に登場する全ての要素が曖昧になっていき、まるで強い酒で酔っ払った時のような感じになってくる。そして「細かいことはまあいいか……なんせタイトルが『カンフー・ヨガ』だし……」と、視界がグニャグニャしてきたところで、映画は驚愕のラストに突入する。

年忘れ!! これぞ衝撃のラスト!!
このラストについては、ここでは具体的に書けない。ネタバレになるからというのが理由の半分だが、もう半分の理由は書いたところで「ウソでしょ!?」って言われちゃいそうだからだ。しかし、私は確かにこの目で見た。ニコニコと笑顔で踊るジャッキーの姿を……。

本当に『カンフー・ヨガ』のラストは衝撃的である。「映画ってこんな風に終わらせてもいいんだ!!」という、脳天を殴られたような新鮮な驚きがあった。「これをやっていいんだったらもうなんでもありじゃねえか!」と頭の片隅でもう一人の自分が言っている。しかし、これは『カンフー・ヨガ』である。ラストに至るまでの1時間45分ちょっとの間の、あの怒涛のガバガバ具合で我々はすでに慣らされてしまっている。そんな細かいこと(細かくないのでは?)を気にしたところでしょうがない! 踊らないと損! だってカンフーとヨガで、カンフー・ヨガなんだぜ!

今年一年、色々と大変なことや、辛いこともあったと思う。しかし、『カンフー・ヨガ』の前ではよっぽどキツかったこと以外は大体忘れられるのではないだろうか。こんな大金をかけた無茶が許されるんなら、自分だってまだやっていけるかもしれない。なんせ『カンフー・ヨガ』はこんなにめちゃくちゃなのに完成して、世界中で公開されて、ジャッキーは目の前で踊っているのだから……。年の瀬にこの映画が見られて、よかった……!

【作品データ】
「カンフー・ヨガ」公式サイト
監督 スタンリー・トン
出演 ジャッキー・チェン アーリフ・リー レイ(EXO) ソーヌー・スード ムチミヤ ほか
12月22日より全国ロードショー

STORY
考古学者ジャックは天竺と唐の間の騒乱に消えた伝説の秘宝を探すため、同じく考古学者のインド人美女アスミタとともに探索を始める。アスミタの持つ地図を手がかりに秘宝を探すジャック一行だったが、謎のインド人富豪が秘宝を奪おうと迫る
(しげる)

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