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大原海輝、ゆうたろう、高本学、山崎彬にインタビュー 2017年最後は『笑う吸血鬼』で!

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2017年の年末、大阪では吸血鬼が笑う。大原海輝を主演に迎えた怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』が12月28日(木)から大阪ビジネスパーク円形ホールにて上演される。原作は、代表作『少女椿』が2016年に映画化されるなど、カルト的な人気を持つ丸尾末広の漫画だ。1998年からヤングチャンピオン(秋田書店)にて連載され、今でもファンが多い。タイトルどおり吸血鬼の物語で、大原は、謎の駱駝女(らくだおんな)から血を受けて吸血鬼となる14歳の美少年・毛利耿之助(こうのすけ)を演じる。そこで大原と、橘マコト役のゆうたろう、辺見外男役の高本学、そして演出の山崎彬に話を聞いた。

「吸血鬼」をめぐる青春群像劇


――初対面のメンバーがほとんどですが、山崎さんがそれぞれに感じた第一印象は?

山崎:高本くんは『ヘタリア』が印象的だったので、一緒にやれることが決まって嬉しかったです。ゆうたろうくんはすごくかわいらしい印象があった。でも、小さな声で喋っているんだけど、心のなかの情熱を強く感じたんですよ。人をよく見ているし、勘が良いんだろうなと思いました。そして大原くんは初日、座長であることについて緊張よりも意気込みを感じたので、すごく信頼できるなと思いました。

大原:恥ずかしいな~(笑)。
大原海輝
大原海輝

山崎:おもしろそうなメンバーなのでドキドキしていたんですが、実際に会うと斜に構えている人はいなくて、ちゃんとアホにもなれるし、クレバーにも考えられる人ばかり。稽古場でもそれぞれ楽しんでいるんだろうなと感じるので、嬉しいです。必要であれば厳しいことを言っても受け止めてくれるだろうし、作品を良くするための要求はお互いに言えそうな安心感を感じる。そういう関係性が作れるまでに時間がかかる座組みもあるんですけど、このメンバーには最初からぶつかっていけるなと思いました。

――みなさんのSNSからすごく仲の良さそうな雰囲気が伝わってきます。実際の稽古場はどのような雰囲気なんですか?

大原:すごくいい座組みです。それぞれがやりたいことをやったうえで、周りも立てる。そして粗を削って作品を創ることができる空間だと感じています。やる時はやるし、ふざける時は全力でふざけるというメリハリがすごくありますね。

高本:ムードメーカーは座長の大原くんかな。皆とコミュニケーションを取ってくれているし。

大原:意識していなかった!近くにいる人と話してるだけなんだけどなぁ。

山崎:座組みを作ることってすごく大事だと思うんですけど、早くから馴染んだよね。歌やダンスや殺陣がたくさんあるから、稽古は大変かも。

ゆうたろう:2日目に筋肉痛になりましたよ。僕は激しい運動はあまり得意じゃないので……。殺陣もダンスも初めてで、皆さんに追いつくのに必死です。意識して同時に手足の関節を動かすことができない……。みんな初日からスイスイこなしてるからすごいな、僕も追いつかないと、と思ってがんばっています。

山崎:振付のMAMORUさんも手加減しないもんね。(バヤカン役の)森田真和くんとか、不思議な身体の動きをするので殺陣シーンはものすごく強いのにおもしろいんです。最初に漫画を読んだ時は、飛んだり戦ったりするし、「これどうやんねん!?」と思ったけれど(笑)。

ゆうたろう:思いましたねぇ。

山崎:生身の身体で挑戦したうえで、原作を知っている人にも楽しんでもらえる舞台を目指したいです。僕が原作を読んで最初に頭に浮かんだイメージは、青春群像劇。役者たちも悩みながら自分なりに解釈を深めていってくれています。

「俺が演出した方がよかった」と言われたくない(笑)


――山崎さんの演出はいかがですか?

大原:たぶん山崎さんの中ではすごく明確なんだろうけど、はっきりと指示せずに僕たちの自由にやらせてくれる。自由だということはとても不自由だし、不自由があるからこそ自由になれる。山崎さんの演出には、その両方があるからこそ、自由な現場だなと感じています。

高本:すごい熱量で作品ができていっていますよね。作品を創るのは難しいけれど、山崎さんから演出を受けながら試行錯誤していくのが楽しいです。
高本学
高本学

山崎:僕自身も役者として舞台に立つ人間だから思うんですけど、舞台って、最後は俳優のものであり、それを観たお客さんのもの。だから演出家としての僕は稽古までしか手を貸せない。僕にできるのは俳優が見えていないところをどう掘っていくかということ。でも俳優は自分でたどり着いた実感がないと人間を演じることができない。役という綺麗な入れ物を作るのではなく、演じる俳優という人間の内側でどれだけのものが蠢いているかが大事なんです。稽古が始まったばかりの頃はお互い探り探りだったと思いますが、日に日に「自分をさらけ出していかないといけない」と感じているんじゃないかな。稽古中に集めた材料が最後に爆発して一気に高まっていく予感がしています。

――脚本の丸尾丸一郎さんから何かお話は?

大原:脚本の丸尾さんにはご挨拶しましたが、特に何も言ってなかったです。がんばって、と意気込みだけいただいたかな。

山崎:書いたものは渡すので現場でおもしろくしてくれ、というスタンスなのだと思います。本番を観にきた丸尾さんを「あっ」と言わせたいですね。「俺が演出した方がよかった」とは言われたくない(笑)。

大原:いい意味で驚かせたいですね!プロットに「現代の若者の悩み」というフレーズが書いてありました。原作が描かれたのは20年前ですけど、現代を生きる人もこの作品を観て、それぞれ抱える悩みやモヤモヤに何かしらの解釈が得られたらいいですね。

山崎:そこを繋ぐカギが歌やダンス。10曲くらい歌うエンターテイメントになりますよ。


誰だって心のなかに“衝動”を持っている


――舞台版は原作漫画とは違うものになるのでしょうか?

山崎:多少はオリジナルなシーンもありますが、奇抜に変更した訳ではありません。脚本の丸尾さんは、本質的には原作通りで、さらに新しく感じる部分もあるように書いてくださいました。生身の人間が立っている以上は、原作の耽美な雰囲気をただ重視するのではなく、「吸血鬼」という一つのキーワードによって感情や欲望が剥き出しになっていく人たちが織りなす物語にしたいね、と言っていました。

高本:原作漫画は全2巻なんですけど、舞台はそれを一つにまとめているので、登場人物のあり方が少しずつ違うんです。マンガでは描かれないシーンもあるから、その感情を理解していくのが楽しいです。

大原:1巻と2巻がミックスしたことで出会わない人が出会ったり、関係性がよりわかりやすくなりましたね。台本と向き合うほど「漫画のこの台詞はこういう意味があったからなんだ!」という発見があり、生身で人間が演じるからこそ伝わるものがあるなと、日々確信しています。

山崎:漫画の場合は自分のペースで読めるし、(原作の)丸尾(末広)さんの作品はちょっと詩的でアーティスティックで、絵から伝わる情報がある。でも演劇は目の前の人が発信するので、お客さんが自分でコントロールできません。お客さんの共感を得ながらも知らないところまで連れていくためにはどうするか……と、脚本の丸尾さんとはずいぶん話しましたね。ああ、原作も脚本も「丸尾」だからややこしいな~(笑)。

――マンガを舞台化することにあたって、どう思われていますか?

大原:僕も原作のイメージは強くあったけれど、共演者のみんなや役と対話をすることによって舞台版の毛利耿之助(こうのすけ)という新しい人格が形成されてきました。耿之助は物語の冒頭で自分の意思でなく吸血鬼にさせられてしまいますが、漫画では吸血鬼になった自分をすぐに受け入れるんですよね。でも舞台では、原作で描かれなかった彼の「あの時ああすればよかった、こうしたかった」という気持ちを表現できそうです。吸血鬼になった耿之助は周囲に影響を与えていくのですが、皆が向かっていくベクトルの尖った先端になれればいいなと思っています。

ゆうたろう:原作って、まだ続きがあってもおかしくない終わり方なんですよね。でも今回はオリジナルストーリーもあるので、登場人物のその後を演じられるようで楽しい。僕が演じるマコトは、原作では2巻から登場する大人しい性格の役ではないかなと思っていたんですけれど、舞台版ではさらに彼の持つ静かだけどものすごく大きなエネルギーが発揮できるのがすごく嬉しいです。物語を通してこんなに変化する役は他にないんじゃないかな。最初と最後で本当に同じ人物かと驚くくらいの違いを出せたらいいな。僕も中学生の時はマコトのように一人で行動することが多かったし、モヤモヤした気持ちを抱えていました。それがあるとき「覚醒した!」って瞬間があったんです。その変化をマコトに重ねて演じられたらいいですね。
ゆうたろう
ゆうたろう

高本:僕も役に自分を重ねているなぁ。実は最初は、「外男(そとお)という役を演じるのは厳しいな」と思ったんですよ。彼が憂さ晴らしのように日常的に放火をする気持ちも理解できなくて、好きになれなかった。でも稽古を重ねるうちに、自分の心の殻が剥がれていくような気がしたんです。「外男はこういう気持ちでこの言葉を言っているんだろうな」ということが自然と想像できるようになってきて、だんだん好きになってきました。それに、外男と同じで、僕もあまり友達がいなかったんですよね…。

大原:僕も僕も(笑)。

ゆうたろう:(頷く)

高本:でも外男について考えるうちに、中学生の自分になぜ友達がいなかったのかがなんとなくわかるようになりました。自分の経験と重なって「こういう時ってそう思うよなあ」と外男に共感することが増えていって、稽古すればするほど自分が外男に近づいているような感覚です。なぜだか満足できない心のモヤモヤを抱えて、耿之助に憧れる気持ちは、今ではすごく理解ができるようになりました。……放火魔にはならないですけどね!

山崎:放火したり人を襲ったり、登場人物はみんな酷いよなあ。あんなにひとつの中学校に集まるか!?ってほど、いろんなことをしでかす人が集中している。でも実際に行動するかは別にして、その衝動は誰もが持っているんじゃないかな。現実では実行しないけど、それができるフィクションだからこその憧れもある。
山崎彬
山崎彬

大原:人間ってきっかけがあれば行動できちゃうんですよね、きっと。大事な人が殺されそうになったら、僕だって誰かを傷つけてしまうかもしれない。そんな可能性を頭ごなしに「あり得ない」と否定しない世界観にお客さんを引きずり込めたらいいですね。

――皆かなり個性的なキャラクターばかりですが、お好きな役はありますか?

大原:僕は耿之助を演じているからかもしれませんが、彼を吸血鬼にしてしまう駱駝女が好きなんです。最初は恐怖の対象でしかないんですけど、駱駝女について知っていくうちにその孤独や寂しさに触れていく。「ああ、だからこそ彼女は耿之助を吸血鬼にしたんだな」と、稽古するほどに感じるんです。まるで母のように愛おしいですね。

高本:僕はやっぱり耿之助はいいなあって思いましたよ。カッコイイし、憧れる……。

山崎:それ、外男の気持ちそのものじゃん……。

高本:本当だ(笑)。外男が吸血鬼に憧れるように、僕も耿之助(吸血鬼)に憧れてるんだなあ。

ゆうたろう:でも僕は外男に共感してましたよ。

高本:え、俺!?

ゆうたろう:すごく強くて、闇を持っていて、中学生でしかできないような行動をする。僕が中二病だった頃は、いろんな感情を抱えてモヤモヤしていて、「こうしてやりたい、ああしてやりたい」と考えていました。ぐるぐる渦巻く感情を背負った役だなあと思います。みんなをこっそり観察して全部ノートに書いて一人でニヤニヤしているなんて、ある意味すごく変態。男女問わずほとんどの人が思春期にそんな暗い感情を抱いたと思うので、やりがいのある役だなあと思います。

山崎:自分の方を見て欲しいという自己顕示欲もすごくあるよね。例えばSNSでイタズラ動画を公開して炎上してしまった事件とか、はたから見るとバカらしいことでも、本人の中の衝動ってのは確かにあったわけで。拡散して欲しくてやったことが誰にも見向きもされないことで、どんどんエスカレートしていく。『笑う吸血鬼』は20年も前のマンガだけど現代的でもあるのは、普遍的な気持ちがちゃんと描かれているんでしょうね。

高本:みんな自分が主人公だと思って生きているのがいいですよ。実際の人生もそうだと思うんですけど、誰もが主役。ワンシーンしか出ない役までアクが強いです。

大原:全員の人生がそこにあるよね。幸せって人それぞれだなと思います。不幸な状況に陥ってしまう登場人物もいるけど、不幸になればなるほど少しのことで幸せになれたり達成感を感じたりする。だから、幸せの基準は人によって違っていいんだなと演じていて感じます。
(左から)ゆうたろう、大原海輝、山崎彬、高本学
(左から)ゆうたろう、大原海輝、山崎彬、高本学

―― 一年の最後に、幸せについて考える作品になるかもしれませんね!?

山崎:そう、大晦日まで公演してますから!

大原:2017年の印象が『笑う吸血鬼』で決まっちゃいますね(笑)。

山崎:ははは。そうなりますが、物怖じせずに観に来てください。クリスマスも年末年始も返上して取り組むからにはすごい作品にしなきゃいけないと思ってつくっています。もちろんいつの時期でも全力で取り組むんですけど、お客さんは年末ギリギリまでわざわざ来てくれるわけですし、一年の最後に観てよかったと思える作品にします。

取材・文・撮影=河野桃子

公演情報
怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』

■日時:2017年12月28日(木)~12月31日(土)
■会場:大阪ビジネスパーク円形ホール
■原作:丸尾末広
■脚本:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
■演出:山崎彬(悪い芝居)
■音楽:岡田太郎(悪い芝居)
■振付:MAMORU(BE THERE)
■出演:大原海輝、飛鳥凛、ゆうたろう、高本学、柄谷吾史 ほか
■公式サイト:http://kgk-waraukyuketsuki.com/


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