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『かいけつゾロリ』原作者が語る、30年愛され続けた舞台裏&「子を持つ親たちへのメッセージ」

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■小学校の「朝の読書」で読まれた本10年連続No.1

「たくさん本を読む子に育ってほしい」という思いとは裏腹に、我が子はゲームやスマホに夢中で…と心配な気持ちのお母さん、お父さんも多いのでは?

「子どもに本を読ませるにはどうしたらいいのか?」そんな質問に「かいけつゾロリ」シリーズの原作者・原ゆたか先生は「無理に読まなくたっていいよ」と言います。さてその真意は?

出版不況に加えて、「1か月で一冊も本を読まない」という人の割合がおよそ半数を占めるなど、読書量の減少が叫ばれる中、小学校の「朝の読書」で読まれた本10年連続No.1という圧倒的人気を誇っているのが、原ゆたかさんの『かいけつゾロリ』シリーズです。

1987年発売の第1作のから丸30年で60冊以上。劇場版アニメーションの最新作『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』も現在公開中です。

「どんな話なら小学生に面白いと思ってもらえるのか?」。

常にそう考えながら、ほぼ年に二冊というペースでシリーズを書き続けてきたという原さん。

「大人が読ませようとする本や映画なんて面白いわけがない! 子どもたちは敏感にそう感じ取ります」。

大人が押し付けるのではなく子どもに選ばせてあげること――そこに本を読むことを「楽しい」と感じてくれるヒントがあるようです。

■シリーズ30周年記念の映画はゾロリが過去にタイムスリップ

――『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』ですが、ゾロリが過去にさかのぼり、過去の原作シリーズにも出てくるゾロリママやゾロンド・ロンの若き日の姿が描かれていて、子どもたちはもちろん、かつてシリーズのファンでいまは親となった大人も一緒に二世代で楽しめる作品になっていますね。

「僕も、むかし本を読んでいた人たちにも楽しんでもらえたらいいなと思っていたので、よかったです。

これまで映画は僕が書いた本を原作にしてきたけど、どうしても親御さんたちには「本か映画どちらかでいいね」と思われてしまったようなんです。

本当は演出も違うし、話も少し変えたりしているんだけど…。そこで前作の映画から、映画オリジナルの脚本にしてもらいました」

――そこでゾロリが過去にタイムスリップするというお話に?

「脚本の吉田玲子さんはゾロリのTVシリーズでもいいお話を書いてくださっていた方の「何か書いてくれないかな?」とお願いしたら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいに過去に戻って若き日のママに会うというお話を書いてくださったんです。

そのアイデアは面白いし、私が本で書かない部分だなと。あんまりいいお話を書かれて「本より映画の方が面白い」って言われたら悔しいんだけど(笑)」

――原作でもゾロリが亡くなってしまった大好きなママへの愛が何度も描かれていいますね。

今回の映画でもママの思いや胸の「ZZ(ダブルゼット)」マークなど、いろんな秘密が明かされていくという物語で、30周年記念作品にふさわしい、感動的な作品だと思いました。

「私も見ていてウルっと来ました。若い頃のゾロリママの声を演じた百田(夏菜子/ももいろクローバーZ)さんも、これまで声優をやっていなかったのが「なんで?」と思うくらい素晴らしくて、見ていてキュンキュンしました。

好きになっちゃうくらいで(笑)、「ゾロリ、ママを好きになっちゃダメだよ!」って思いながら見ていました。深い愛――ママへの愛、ゾロンド・ロンの愛など、複雑な愛のドラマになっていてよかったです。

「ZZ」マークに関しては、僕自身、最初からあの秘密を考えていたわけじゃなくて、何気なく書いていたのですが、長く続ける中で、ある日「あれ、このマークって…」と気づいて「これはすごいこと思いついた! みんな驚くぞ!」と思って、もしもいつか本を書き終える日が来たら、最後のネタにしようと思っていたんです。

ただ、このネタで本を一冊書くのは難しいと思ったので、今回の映画で使っていいよと渡したんです。

■シリーズを長く続ける上で、悩んだこと

――「もしもいつか本を書き終える日が来たら…」とおっしゃいますが、先生ご自身で、このシリーズの終わりを意識することはあるんですか?

「僕はもともと、作家じゃなくて絵描きだし、作家さんの作品に絵を描いている時にストーリー自体にもいろいろと考えを言っているうちに「物語を書いてみてください」と出版社に言われて始まったのがこのシリーズです。

夢中で書きはじめましたが、10冊くらいで「もう書けない…」と思った時期もありました(笑)。

でも幸い、映画が好きだったから、自分が好きな映画を子どもたちにわかるように設定を置き換えたらどうなるか? と考えたりしてやってきました。

『ズッコケ三人組』シリーズ(那須正幹原作)の50巻を超えたいという夢はあったけど、30作を過ぎたあたりで「50作も書くって大変だ…」と思いました。

夢中で書いていたので、最近、30周年、60作と周囲に言われて、こんなにやってきたのか…という自分でも驚いている感じです。

子どもたちも成長とともにゲームが好きになったり、釣りが好きになったり、汽車を好きになったり、それぞれ趣味ができてきます。

昔の『小学三年生』みたいな子供向けの総合誌がどんどんなくなっていくのも、今の子どもたちは、全ての情報はほしくない、好きなものの情報だけ知れたらいいという状況に変わってきましたね。

オールマイティにみんなが好きなもの、みんながこれなら読みたいと思うタイトルを作るのはなかなか難しいですよ(苦笑)。

パターン化したように、ゾロリさえ出てくればいいという作品にしたくないんですよ。マンネリ化せずに違うやり方で面白いものができないかを毎回模索しています。

――「ゾロリ、どうなるの?」と心配になる子どもたちも多いかと思います。

「今全国で30周年の展覧会を巡回しています。そこにおいてあるコメントを書いてもらうスケッチブックに、たくさんの方が「もっと読みたい」と書いてくれるんですよ。

サイン会でも「ゾロリを素敵な花嫁と結婚させてあげてください」と言われたり、みんな心配してくれる(笑)。

以前、50作目の『はなよめとゾロリじょう』を書いた時、ゾロリが幸せに結婚するラストを考えたんです。

でも子どもたちに「幸せに暮らしましたとさ」というラストで終わらせていい? と聞いたら、みんな「ダメ!もっと続けて」って……(笑)。

「ゾロリが面白い」と言ってくれる子どもたちがいる間は、頑張ろうかと…。まだいくつかネタはあるのでね(笑)」

■ゾロリに込めた、子を持つ親たちへのメッセージ

――ゾロリのキャラクターや物語を作り上げていく上で、先生から子どもたち、もしくは子を持つ親たちへのメッセージを込めた部分などはありますか?

「「これを伝えたい」と思って最初から書いてきたわけではないけど、30年やってきて、俯瞰で見た時に気づく部分はありますね。

ゾロリは甘えん坊ですから、もしもママが生きていたら冒険してないんじゃないかな?

でもママが亡くなって、パパもいなくなって、自立する以外に道がなくて頑張っていて、イシシとノシシという弟子もできて、さらにしっかりするしかなくなった。実は社会に出るってそういうことですよね。

今の時代、お父さんとお母さんが何でも先回りして全部やってあげちゃうでしょ。でも失敗しなければわからないし、子どもにちゃんとやらせてあげてほしい。

自分たちがいつかいなくなった時、自立できるようにするのが親の役目。目の前の優しさで全部やるのじゃなくてね。たとえば手紙を出してきてとお願いされた子どもは、郵便ポストに背が届かないと最初はかもしれない泣くけど、誰も何もしてくれないとわかると、石を持ってきて台にしたりと知恵を働かせる。

社会に出ると知識より知恵を働かせることが大事なんです。社会に出て親がいなくても、自分で何とかするしかないし、自分で拓ける道があるってことに気づいてほしい。

――ゾロリは確かに、必要に迫られた時、知恵を働かせて様々なメカを発明しますね。

「自分の意志ですね。今回の映画でもママは「洋服を作りたい」という意志を持っているし、ゾロンド・ロンは考古学者になるか宝さがしをするかという、自分の意志で生きている。

私も絵描きになりたかったけれど、そんなにうまくはなかったんです。絵がうまい人、お話を作るのが上手な人は、世の中にいっぱいいます。でもそこで、自分にしかできないことは何か? と考え、小学生が面白いと思ってくれるようなものだけを追求してここまでやってきました。

子どもたちにも好きなことを見つけてほしいと思います。どんなことも、やりこむとどんどん面白くなるし、大変さも出てきます。でも好きなことならば大変でもがんばれるから」

■本は無理に読まなくてもいい!?

――好きなことに夢中になってくれるのは嬉しいですが、ゲームだったりインターネットばかりだったりすると、親はついつい「もうちょっと本も読んでほしい」とか思ってしまいがちですが…。

「私は基本的に「本は無理に読まなくてもいいよ」という立ち位置です。私自身、本が嫌いな時期もありました。

大人は「本を読んでほしい」「どうせ読むなら“いい”本を」「どうせ買うならお勉強になったり、感動できる本を」と思いがちだけど、本の楽しさを知らない子には、その思惑は逆効果です。

私自身、本が嫌いになったのは、そういう大人の思惑が透けて見えたから。大人が見せたがる映画や本は面白いわけがない! と子どもたちは敏感に感じ取ります。大人が「いい」と言うものは、教育的なプラスがあるってことなんだろうって。

大人は自分たちが感動するような絵本を子どもに薦めるけど、人生経験を積んだ上でしかわからない。子どもの時はオナラとか覚え始めた言葉を使ったオヤジギャグでゲラゲラ笑うんです。大人になっても「オナラ! オナラ!」って走り回ってる人なんていないから大丈夫です!

『ゾロリ』も中学に上がったらみんな読まなくなります。手塚治虫の漫画も、昔は大人からよく言われなかったけど、「鉄腕アトム」を読んでロボットを作るようになったり、「ブラックジャック」を読んで医者になったという人もいるでしょ?

難しい名作とか偉人の伝記を読んで「人生、難しいな…」とか「こんな困難を乗り越えなきゃいけないのか」って思うよりも、ちょっと無邪気に小学校生活を楽しんで、面白いことや好きなことを見つけてもらった方がいいと思います。

基本、お話というのは、「次はどうなるの?」と物語の面白さに引き込まれていくべきものでしょ。

本は、めんどくさくなったり飽きたら閉じられるんです。飽きて閉じられたら次にはなかなか開いてもらえません。読み始めたら一気に読んでもらわないといけない。

だから僕は、イヤなところや気になるところでページを終わるようにしているんです。

「すると」「そして」「しかし」「ところが」って。立ち読みしていても「ところが」では終われないでしょ(笑)。

読み進めると「すると」と出てくる。もうちょっと読んでみようと思うと次は「なんと」と出てきて…結果的に全部読んじゃったりする。

そうやって、いままで一冊の本を読み終えることができなかった子が、読み終えると達成感もあって、本の面白さに気づいたりする人です。

■「ゾロリ」は本を読み始めた子どもに向けて書いている

――親が無理に「読ませる」のではなく、子どもに本の面白さに気づいてもらうことが大事なんですね。

「本の面白さを知って読んでいくうちに「文章でこんな表現ができるのか!」と理解でき始めると文学が面白くなってくるんです。

たとえば「ゾロリ」は本を読み始めた子に向けて書いているので「よる、ほしがキラキラまたたいてた」という表現ですが、これが宮沢賢治だと、いろいろな夜の表現になる!

でも、最初からその良さがわかるわけではなく、徐々に知っていくものです。大人が宮沢賢治の素晴らしさを知っているから「ゾロリより賢治を読みなさい」と引っ張り上げようとしますけど、そういうことを言う大人も最初からわかっていたわけじゃない。

小学1年生の時は、オナラでギャーギャー言ってたわけですよ。そこを思い出してほしい。オナラからでいいじゃんって思います」

――これも大人はつい、我が子に最短の道を歩ませたくなってしまいますが…。

「つい老婆心で、上に引っ張り上げてあげたくなるけど、それはお節介なんですよ。

今回、映画でゾロリは過去に行きますが、大人は子どもにとってはまさに未来から来た人なんですよ。経験が身に染みているから「夏休みの宿題は早めにやった方がいい…」と言いたくなるけど、それは自分が始業式が近づいて慌てたり、失敗した経験があるからです。

それは言われて身に着くものじゃないんですよ。子どもたちにも経験しないとわからないんです。

――まさに先ほど、おっしゃったように目の前の優しさではなく、失敗であれなんであれ、自分でやらせてみるのが大事なんですね。

「私がよく言うのは、「誰でも大人になれる。大人は努力してなるものじゃない」ということ。だから大人であることを威張ることではない。

大人が自分が経験したことを知っているのも、子どもが知らないのも当たり前のことです。「それ知ってるよ」と言っても、そりゃ子どもは知りませんよ。腰が痛くなったり、痰がからむのと同じです(笑)。

■原ゆたか先生の子ども時代とは?

――先生自身はどんな子ども時代を?

今思うとありがたいくらい、私は好き勝手にやらせてもらいましたね。

たくさん遊びました。TVの『ひょっこりひょうたん島』を見て、無人島がほしくなって地図帳にある島を大きな紙に書いて「僕はここに住む」とか「ここで灯台守やる」なんてクラスメイトと集まって話したり。

東京オリンピックの時は、屋上でいろんな競技を真似てやったり。遊びって勉強ですよね。自分たちでルールも作らないといけないし、オリジナリティも必要だし。

高学年の時は、怪獣映画を作りました。友達の家の使わなくなった二段ベッドに土を敷きつめてジオラマを作って撮影しました。粘土で工場を作ったり、線香を煙突にみたてたり。小学生のお小遣いで工夫して作るしかないんですよ。

いろいろ失敗もしましたがそれがまた次の工夫につながりました。そういう経験が全部、ゾロリにも投影されているんだなって思います。そうやって自分たちがワクワクしたことをいまの子どもたちどうやったら伝えられるかなって。

小学生の気持ちは、実は今も昔もそんなに変わっていなくて、私たちが鉄腕アトムシールを集めていたのが、ポケモンシールになっていたり、ベーゴマで遊んでいたのがベイブレードになっているくらい。

ただ、生まれた時点でスマホが存在しているという時代の子どもたちが、今後どうなっていくのかは正直、わからないけど楽しみですね。


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