『M-1』翌日──“よしもと推されコンビ”ニューヨークの本音に迫る!

日刊サイゾー

2017/12/11 17:23


 今年も漫才の日本一を決める『M-1グランプリ2017』(ABC・テレビ朝日系列)が無事終了した。あまたの芸人が挑み、負けていく――この数年、「偏見」ネタで人気を博している若手・ニューヨークもその内の1組だ。

東京国際フォーラムという破格の規模で開催される単独を控えた彼らへのインタビュー日は、なんと『M-1』の翌日。どうしても『M-1』の話をせざるを得ない。「俺たちみたいなタイプは、視聴者投票には向かない」と語る2人の大反省から始めよう。

――今日は単独ライブを控えてのインタビューなんですが、何しろ『M-1』が昨日でしたので(取材日は12月4日)、まずはその話から聞かせてください。ニューヨークは2年続けて準決勝敗退、敗者復活戦での順位が去年は12位(準決勝10位)、今年は8位(準決勝12位)でした。

屋敷 今年は去年よりは気負わずにやれたと思ったんですけど、やっぱり敗者復活から決勝上がるのはムズいっすね。ストレートに上がるより、もしかしたらムズいんじゃないかと。もう出たくないっす。しんどすぎる。

嶋佐 僕らみたいなタイプは、視聴者投票は難しいですね。

――ニューヨークは、コント「自衛隊なのにめっちゃ服好きな人」とか「売れてるバンドで作詞も作曲もしてないベーシストはただラッキーなだけ」とか、「偏見がスゴい」「悪意が強い」と言われるネタが特徴ですよね。やっぱりそれだと、お茶の間でウケるのは難しい、と?

屋敷 俺たちの中では、まだお茶の間でウケるほうのネタやったつもりやったんですけど、そんなこともなかったみたいで。でも去年より、知り合いの芸人から「敗者復活のネタ面白かったな」って言われるのは多かったです。決勝出てた、ゆにばーすの川瀬(名人)が「M-1の楽屋では、ニューヨークがダントツでウケてました」って、わざわざ連絡くれたりとか。僕らとしては正直そこまで手応えがなかったんで、「へー」って感じでした。

――川瀬名人は、『M-1』の公式サイトに掲載された決勝進出者のコメントで「吉本に激推しされているニューヨークはもういないので、マヂカルラブリーさんに勝てたらいい」と話してましたね。

屋敷 そうっすね。あいつソレ、ちょいちょい言うんですよ。俺らが推されてるって。

――推されてるんですか?

嶋佐 いや、別に……推されてるんですかね?

――知らないです(笑)。

嶋佐 なぜにあいつが、そこまで俺たちに楯突いてくるのか、わかんないんですよ(笑)。

屋敷 そもそも川瀬も、ほんまに俺たちが推されてるとは思ってないはずなんですよ。「ニューヨークばっか仕事もらってズルい」とか、別に思わんタイプだと思うんで。

――ニューヨークばっかり仕事もらってるんですか?

屋敷 売れてないのにルミネの出番入れてもらったり、知名度ある先輩と抱き合わせで営業行かせてもらってたりっていうのは、ほんまにありがたいですよ。僕らじゃなくてええ仕事をやらせてもらってるときは、すごい愛情を感じますけど、推されてる感じは別に……。

――推されてようが推されてなかろうが、賞レースは公平ですしね。今年は、苦節15年目のとろサーモンさんが優勝しました。決勝はご覧になりましたか?

嶋佐 僕は終わってすぐ飲み行っちゃって、まだ観れてないんです。天竺鼠の川原(克己)さんたちと、Twitterで「M-1グランプリ」で検索しながら飲んでました。

屋敷 いや、観ろや(笑)。

嶋佐 Twitterの声をめちゃめちゃ見てましたね。「あ、今ネタたぶん終わった!」「めっちゃ『つまんねぇ』って言われてる!」「点数発表された!」「◯◯が何点だって!」みたいな。逆に面白かったですよ。

――独特の楽しみ方ですね。

嶋佐 今日帰ったら、ちゃんと観ます。

――屋敷さんは?

屋敷 僕は、さらば青春の光の森田(哲矢)さんと、相席スタートの山添(寛)さんと観てました。とろサーモンさんの優勝が決まったときは、めちゃくちゃテンション上がりましたよ。3人で「うわー!」っていうてました。でも正直、マジで正直言うたら、俺らとしては和牛さんが優勝したほうが……。

――どういう意味ですか?

屋敷 完全に俺らの都合で言ったら、ですよ! 和牛さんが優勝してたら来年出ぇへん、とろサーモンさんは今年がラストイヤーだから出ぇへん、そしたら2枠空くじゃないですか。ツーアウト取れたのに、って思ってしまいました。でも久保田(かずのぶ)さんなんて特にめっちゃお世話になってるんで、普通にめちゃくちゃうれしかったです。

――ニューヨークは今8年目ですよね。結成15年以内という今のM-1の規定が続けば、あと7回は出られる計算になります。

屋敷 とろサーモンさんみたいに15年間ずっと準決勝止まりで、ギリギリいけへんのは、ほんまに地獄やと思うんで、初めて決勝行っていきなり優勝するのがいちばんいいんですけど、まぁ難しいですよね。

嶋佐 僕らは一昨年のメイプル超合金さんみたいに、出るだけでインパクト残すタイプじゃないんで、優勝しないと意味がない。

屋敷 和牛さんとか見とったら「どれだけ難しいねん!」って思います。あれでも優勝できんって、俺やったら気力が尽きて死んでまうな。

嶋佐 俺がマヂカルラブリーさんだったら、もう今日自殺してますよ。来年どんなにウケても、絶対決勝いくのしんどいでしょ。

――野田クリスタルさんは「ねえ大恥かいたんだけど」とツイートしてましたね……。

嶋佐 生放送中にツイートしてたのが、めっちゃ笑いましたね。

屋敷 でも、いいっすよね。マヂラブさんはおもろなると思うんですよ。ザ・パンチさんよりかは、おもろなると思う(笑)。「M-1でうまいこといかんのがおもろい」って、あの頃より視聴者も気づき始めてるじゃないですか。あそこまで言われたら、どんどんいじってもらえるでしょう。KOC最下位より全然いいと思います。

――そしてM-1終わってすぐですが、12月15日には単独ライブ『YASHIKIS’』が行われます。これまでの単独はルミネtheよしもとやなんばグランド花月だったのが、今回は国際フォーラムで、一気に会場の規模が大きくなりました。ニューヨークの単独はいつもチケットが売り切れますが、今回は売れ行きはどうですか?

屋敷 ルミネの満席よりもちょっと売れてるくらいの枚数なので、もっと売れてほしいですね。というか、「国際フォーラムで単独やる」って聞かされたのが、2カ月くらい前なんですよ。「急やな!」と。半年くらい前から決めときたいですよ、こんな規模。

嶋佐 「絶対埋まらないだろ」って思いましたね。

――自分たちが東京でどれくらい集客できるか、露呈することにもなりますね。内容はいつもの単独ライブ同様に、新ネタを下ろすものになるんですか?

嶋佐 ちょっと違って、最近全然やってない昔のネタとか、あんまり見せたことのないネタをいっぱいやろうと思ってます。今のところ「普通の単独です」みたいな雰囲気出してるんで、詐欺まがいみたいになっちゃってるんですけど。しょっちゅう見に来てくれたり、俺らのこと知ってくれてる人でも観たことないネタをやる予定です。

屋敷 あとは、これまではVTR(ネタの合間に挟まれる企画映像。これまでの単独では「逆ナン待ち」や「元カノに電話」といった企画を行なってきた)を俺らと作家さんとカメラ撮る人だけで作ってたのが、今回は『ゴッドタン』(テレビ東京系)や『水曜日のダウンタウン』(TBS系)を制作しているシオプロさんに作ってもらったんですよ。そういうガワをしっかりしました。ネタとVTR以外のところでも、お客さんに楽しんでもらえるような仕掛けを用意してます。

――ニューヨークは普段は年2回単独ライブをやってますが、単独は2人にとってはどういう意味がありますか?

嶋佐 本当に冷静に考えると、特にメリットはないんですよね……なんなんですかね。いくら単独やっても、別に売れないですし。

屋敷 まぁ、言ったらネタを作る場ですよね。結局単独とかがないと、ネタ作るのサボってまうんで。最近は特に「このネタ、単独でしかできひんやんけ」っていうのは、できるだけないようにしてます。8本ネタ作ったら、全部別のところでも使えるネタやったらええな、と。

――実際、敗者復活でやっていたネタは今年の単独ライブで披露したネタでしたね。実は何度か単独にも行っていて、『オールナイトニッポン0』(2016年4月~17年3月、毎週金曜パーソナリティを担当)も毎週聴いてたんです。なので普通にファンなんですけど、同時に「あっ、この人たち、女性をすごいバカにしてるな……」って思う時が、結構よくありまして(笑)。

屋敷 ほんまっすか! いや、全然そんなことない!

――たいへん失礼ながら、ホモソーシャルというか、「女ってこんなもんだろ」みたいな感じを受けることが……。もちろん、そういう「偏見」がニューヨークの持ち味なので面白いんですが、同時に「出るとこ出たら怒られそうだな」って勝手に心配してました。

屋敷 でも結局僕ら、いかつい怒られ方したことないんですよ。ほんまの炎上とかしたことないですし。僕らの知名度がまだまだなんで、「所詮俺らの言うことなんて誰も聞いてないやろ」みたいなところがあります。

嶋佐 確かに。テレビでネタやらせてもらうときにも、見ようによってはそういうふうに捉えられるネタとかもやってましたけど、別になんも怒られたことないから、そのままですね。

――もっと売れて知名度が上がったら、そういうネタはやりにくくなるってことはないですか?

嶋佐 なおさら、もっとやりたいっすね。

屋敷 そうなんすよ。それで売れて、そういうのをやるのが当たり前と思ってもらって、いっぱいできるようになったらいいですよね。あとそもそも、別に俺らが偏見めっちゃ言いたいとか、危険なこと言いたいわけじゃないんですよ。それが面白いと思ってるだけで、「世の中変えたい」とか思ってないんで。2人とも思ってないようなこと言ってたり、自分たちで言いながら「それは言いすぎやろ」って思ってる時もありますし。お客さんがツッコんでくれ、っていう。なんも悪口ないネタもありますしね。でも、敗者復活のネタも、そのつもりだったけど、あとでTwitterで「女性に暴力をふるう男が不快」とか「昔そういう男おったから、すごい嫌な気持ちになった」とか言ってる人がいて、「そんな角度から観てんねや」ってびっくりしました。

嶋佐 そういうのは正直めんどくさいっすけど、気にせずにやっていきたいですね。

屋敷 賞レースは、それをいかに“面白オブラート”で包むか、ですね。

嶋佐 オブラート仕様にしても、今回はダメでしたけどね。単独ライブは比較的いい意味でも悪い意味でも荒削りな、オブラートで包んでないネタを披露させてもらいますんで、それを見に来てほしいです。本当は今回の国際フォーラムは、M-1決勝上がってウケて、その流れで満席にできたらよかったんですけど。1,500人キャパなので、どうにか1,000人くらいは入ってほしいです。

屋敷 1,000人なー。1,000人入れたいなぁ……。

(取材・文=斎藤岬/撮影=尾藤能暢)

●ニューヨーク
嶋佐和也(1986年生まれ、山梨県出身)と屋敷裕政(1986年生まれ、三重県出身)のコンビ。2010年結成。THE MANZAI2014認定漫才師。『ラフターナイト』(TBSラジオ)第1回グランドチャンピオン。

●ライブ情報
ニューヨーク単独ライブ「YASHIKIS’」
日時:12月15日(金)18:15開場 19:00開演
会場:東京国際フォーラム ホールC
料金:前売3000円、当日3500円 
チケットよしもと、チケットぴあ、ローソンチケットにて発売中

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