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最高裁、NHK受信料義務「合憲」…「公共の福祉に適合」と判示、過去11年分の支払い命令

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●最高裁の判断

本日、NHK料金(受信料)の支払義務に関する重要な最高裁判所の判決が言い渡されました。

放送法64条は、「(概要)テレビやワンセグなど、NHKを見ることができる装置を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定めています。この法律のとおりであれば、テレビなどを買った人は「NHKと強制的に契約をしなければならず、もちろん、受信料も支払わなければならない」ことになるのですが、そもそも現代社会・資本主義社会においては、「契約の自由」という原則があり、(1)誰と、(2)どのような契約をするかが自由である以上、「テレビを買う=NHKと契約をしなければならない」というのは、なんだか納得がいかないところがあります。

そこで、これまでにも多くの人が「NHKと強制的に契約させられ、強制的に受信料を支払わせられるのは憲法に違反する」などとして争ってきたわけです。

今回、NHKは東京都内に在住の過去に一度も契約をしたことのない60代の男性をターゲットに、受信料を請求する訴訟を提起して最高裁までのぼってきたわけですが、この裁判のなかで男性は、

・契約もしていないのに、強制的に契約させられるのは、個人の尊重(憲法13条)や財産権(憲法29条)に違反する
・もし、契約が認められても、一部の受信料はすでに消滅時効になっている

と主張して争ってきました。

これに対し最高裁判所は、受信料に関する国民の興味が高いとして、わざわざ裁判官15名全員で構成する大法廷を開き(なかなかないことです)、

・放送法第64条の「契約をしなければならない」という規定は、テレビなどを買った人の義務である
・今回、裁判によって契約が成立したことを認めるので、テレビを設置してから支払っていなかった分の受信料を全額支払え
・ただし、テレビを設置したからといって自動的にNHKと契約が成立するわけではなく、請求したければ、個別に裁判を起こして契約の存在を確認する必要がある

という判断を下しました。ちなみに、この方は平成18年にテレビを設置したので、その時点からの受信料は合計約20万になります。

●ホントにいいのか?

確かに、医者に治療をお願いする場合の「診療契約」や、電気や水を供給してもらうための「電気利用契約」「水道利用契約」などは、命に関わることであったり公共性が高いことから、医者側、電気会社・水道会社側には、患者や利用希望者との間で「契約をする義務」があるとされています。これは、前述の「契約の自由」の例外となるわけです。

しかし今回、「テレビなどを設置した国民」は、NHKを見ようと見まいと「契約をする義務」があるとされてしまったわけです。この点について最高裁は「NHKの受信料制度は公共の福祉に適合するから、NHKとの契約を義務付けても問題ない」と判示しています。これは、「NHK」という公共放送を維持するためには国民から受信料を強制的に徴求しないと成り立たないからである、という発想を前提としています。

ここで、NHKの受信料というものを税金のように、例えば「自動車税」のように、自動車を持っている人から強制的に徴求して道路などの整備費用に充てるのと同じように考えれば、「テレビを持っている国民みんなから受信料を徴求して公共放送をつくろう」という考えも納得できます。

受信料を支払うこと(例:自動車税を支払うこと)で、公共放送という恩恵(例:道路を整備するという恩恵)を受けることができるわけです。まさに利用者負担の原則に適うわけです。

しかし、民放放送やケーブルテレビなどが発達している今日、またテレビをインターネット受容体として使う人がいるなか、はたして「テレビをNHKを見るために買う」人がどれだけいるでしょうか。「NHKは絶対に見ません」という固い意思をもち、リモコン上もシステム上もNHKのチャンネルを削除すれば、「受信料を支払う=恩恵を受ける」という図式は成り立たないのではないでしょうか。

●今後どうなる?

一度、NHKと契約をした後、なんらかの理由で受信料を支払っていなかった方は、これまでどおり「5年」の経過によって、その未払い分は「消滅時効」にかかります。もし5年以上前の受信料を請求されたら、自信を持って「消滅時効」を主張しましょう。

これに対し、テレビを設置したあと、一度もNHKと契約をしていない方は、テレビを設置したときまでさかのぼって請求されることになり、今のところ、これを拒むロジックはありません。

なお、今回の最高裁の判決によってNHKと契約をしていない国民全員が、有無をいわさず自動的に「契約成立」とされたわけではありません(今回の判決には、いわゆる「一般効」はないと考えられます)。

今後、お宅に強気の徴収員がやってきて「最高裁の判決見たでしょ」と行って来たら、(1)「おっしゃるとおり」として未払い分を支払うか、(2)NHKに裁判を起こしてもらって敗訴が確定するまで戦うか、どちらかを選択することになるでしょう。後者を選択した場合、NHKから裁判を起こされて、おそらく1~2年後には同じような判決をもらうでしょう。今回の最高裁の判決をひっくり返すのはほぼ無理です。

また、今後は「外国人は一部の税金を免除されている」ことをヒントに、「外国人だからNHKと契約義務はない、受診料は払わない」などといった主張や、「テレビを買ったのは、昨日です」といった主張が展開されそうです。
(文=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)

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