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"驚愕のブラック"マッサージチェーン! 4日間睡眠時間ゼロの社員研修、会議の締めに男性社長と強制ハグ...

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 さて、本連載が開始された記念の1号に、一体どのようなブラック企業を紹介すればいいのであろうか、と考えた。ブラック企業と一口に言っても、様々あるが、私自身がけっこう衝撃を受けたエピソードを含むブラック企業を紹介しようと思う。

それは、都内を中心にマッサージ店舗を展開する某企業の異常な"風習"の話である。

私の同僚の弁護士のところに、ある若い女性労働者らが相談に訪れた。彼女たちは、弁護士に残業代の不払いを相談に来たというのである。私も同僚弁護士から声をかけられ、その相談に同席した。

話を聴くと、どうやら彼女たち自身の残業代が未払いであるというのは普通(?)の話なのであるが、どうも彼女たちは会社に命じられて、他の従業員の残業代を「削る」作業に従事させられているというのである。上司いわく「あいつらの働きに100%払う必要はない」と。

これだけでも相当ヒドい話なのであるが、まぁ、私も労働事件をたくさんやっている弁護士の端くれであるから、そのくらいの話では驚かないわけである。むしろ、そのくらいであれば、ドンと来い!というくらいの気持ちを常に持ち合わせている。

しかし、彼女たちの繰り出す話はそれだけではなかった。

その会社では、彼女たちが嫌っている行事が月1回行われているという。彼女たちの話によると、毎月1回、社員一同を集めて会議が行われる。

その会議の最後に、社長(男性)が社員全員をハグするという恒例行事があるというのだ。

つい、私は「欧米?」と言ってしまった。

ナチュラルにタカアンドトシっぽくなりそうなところを寸前で押さえ、「欧米?」で留めたが、彼女たちは真面目に「日本です」と回答してくれた。

具体的にはこうである。その会議の締めで、社員を社長の前に一列に並ばせ、次々ハグするというのである。社長のそのハグは、全社員に対してやるので別に女性だけではないという。

しかし、やはり日本人的感覚ではハグされるのに抵抗があるようで、彼女たちや一部女性従業員では、何とか回避できないかと思考を巡らせるのだそうだ。

●会議の締めは社長との強制ハグ!逃れようとするも、社長が...

あるとき、彼女たちが、その列にしれっと加わらない、というチャレンジをした。たくさん従業員がいるから、数名「ハグ忘れ」があったとしてもバレることはない......というのが彼女たちの狙いである。

しかし、である。残念ながら、社長は、ハグをしていないかどうかを判別する能力に長けており、何食わぬ顔で列に並んでいなかった彼女たちに向かって「おい、お前たち。まだだったよな」と声をかけ、結局、彼女たちはハグを食らうはめになったというのだ。

意に反するハグを食らった彼女たちは、これはもう逃げようがないんだ、と悟ったという。

もちろん、男女関係なくやればセクハラが免責されるなら、たとえば、男性の部長が、女性部下だけのお尻を触ればセクハラとなり、男女全員のお尻を触れば無罪放免になるという深刻な矛盾が生じてしまうわけなので、男女全員にやればOKということはあり得ない。

したがって、社長がハグをする際に、社長側に「男女区別なくやっているから性的意図はないよ」と言ったとしても、彼女たち女性従業員側から「嫌だ」という気持ちを持たれる限り、セクハラになると言っていいだろう。

さて、こんな話を彼女たちはしていたのだが、実は、これも前座に過ぎなかった。

本当のブラック企業話はここからである。

その会社に対する残業代事件を訴訟で起こし、彼女たちと打ち合わせの際に話をするたびに、その会社のブラックっぷりをきいていたのだが、次の話は私も身震いを覚えた。

この会社では、新人研修を行っている。世間的には、会社が新人研修を行うのは、別段珍しいわけでも何でもない。

しかし、この会社の新人研修の日程は「0泊4日」だという。

●4日間で睡眠時間ゼロの異常な新人研修!ウトウトすると殴られる

「0泊4日って、どこか海外に弾丸ツアーでもするんですか?」と思わず訊きたくなるが、研修が行われるのは国内である。国内で0泊4日の意味は、「泊」がゼロということ、すなわち「寝ない」ということらしいのである。寝る予定が4日間の研修のスケジュールに組まれていないので「0泊4日」の研修なのだそうだ......。

「さすがに寝ないって、無理でしょ?」と私も思うのだが、実際に寝る時間はスケジュールにないらしい。ただ、食事の時間が確保されているので、その時間を睡眠に使うのだという。つまり、60分ある食事の時間を最初の5~10分くらいで済ませ、あとは寝るというのだ。

そんな中でやってる研修の内容は、理念唱和である。これを暗記し、大きな声で叫ぶのだそうだ。しかも、グループ単位で競わせるらしく、1名が間違えると全員が連帯責任を負うという。時には内容が合っていても、声が小さいとやり直しになるとのことであった。

もちろん、理念唱和以外にも研修はあり、社長の講話もある。しかし、0泊4日のため、ついウトウトする従業員がいるのだが、その従業員には、社長から容赦なくぶん殴られるという制裁がある。ある従業員は、社長から殴られ過ぎて顔の形が変わり「あんなやつ、いたっけ?」と話題になるほどだったという......。

言うまでもなく、いかなる理由であろうとも殴るのは犯罪で、この場合、傷害罪になることは間違いない。

しかし、この会社に言わせると、殴るのは愛情表現だという。残業代請求の相談に来た彼女らのうち1名が、社長が社員を殴ることについて「おかしい」と幹部に述べたことがあるという。その幹部は、「あれは愛情表現。父親が子どもを殴るのと一緒」と述べたという。......あまりに色々とおかしいので、言葉を継げず、脱力感だけが残る発言である。

そもそも父親が子どもを殴るという前提がおかしいが、その幹部は全くそのことに気づいていないのである。

●まさに洗脳合宿!極限状態のなか真っ暗闇でろうそくを見つめさせられ...

そして、この過酷な、文字通り過酷な研修の最後の仕上げがまた異様である。

それは真っ暗闇でろうそくをただ見つめるというものである。

真っ暗な部屋でろうそくを見つめる。ひたすら見つめるという研修。何の意味があるのか、疲れ切った従業員たちには考える力もなく、ただ言われたとおり見つめるのである。

自分の考えなど必要ない、ただ見つめることを命じられたから見つめるのだ。それ以上の意味は要らないのである。

長時間、暗闇でろうそくを見つめると、不意に明るくなる。すると、眼前に、社長以下、会社の幹部が立っているという。

新人従業員たちの反応はどうか?

それは、社長らに対し、「迎えに来て下さって、ありがとうございます」と涙を流して述べるというものだという。

ここに晴れて会社に忠実な従業員が生まれたのである。もう彼らには会社の常識がすり込まれている。会社が右と言えば右を向くであろうし、カラスを白いと言えば白いと言ってしまうのであろう。ちなみに、眠らせないとか、暴力を振るうとか、暗闇でろうそくだけを見つめさせる(感覚遮断)などは、洗脳手段として有名なやり方である。

この話をきいたのはもう何年も前である。本稿を書くにあたり、この会社は今もあるのだろうかと思い立ち、先ほど検索してみた。

まだ、立派に存在していた。

彼女たちの裁判は和解にて終了した。そのため、企業名は出せないが、この会社は、今も社会に存在しているのである。

【関連条文】
残業代→労働基準法37条
セクハラ→男女雇用機会均等法11条
殴る→刑法204条

(佐々木亮/旬報法律事務所http://junpo.org)

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■ブラック企業被害対策弁護団
http://black-taisaku-bengodan.jp

長時間労働、残業代不払い、パワハラなど違法行為で、労働者を苦しめるブラック企業。ブラック企業被害対策弁護団(通称ブラ弁)は、こうしたブラック企業による被害者を救済し、ブラック企業により働く者が遣い潰されることのない社会を目指し、ブラック企業の被害調査、対応策の研究、問題提起、被害者の法的権利実現に取り組んでいる。
この連載は、ブラック企業被害対策弁護団に所属する全国の弁護士が交代で執筆します。

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