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M-1新システムの影響は? ユウキロックが「M-1が変わる」と危惧する意外な理由

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「M-1グランプリ2017」がいよいよ明日、決勝を迎える。エントリー4094組による争いを見事に勝ち抜き、栄光を掴むのはいったいどのコンビなのか? すでに決勝進出を決めている9組に加えて、決勝当日に開催される敗者復活選を勝ち上がる1組の合計10組が頂点を目指して鎬を削る。「第1回M-1グランプリ」準優勝にして、現在はそのお笑い評が業界内外から注目されるユウキロック氏に、新システム「笑神籤(えみくじ)」がもたらす意外な影響から、決戦の展望までを語ってもらった。自身の「M-1」挑戦からその後のコンビ解散までを綴った自叙伝『芸人迷子』が大きな話題を呼んだユウキロックの目には、今年の「M-1」はどう映っているのか?

「ついにやってしまったか……」

M-1グランプリ2017。今年は準決勝から観戦させていただいた。最高峰の漫才師30組がしのぎを削るとあって、大激戦の大混戦。そんな中でもキングオブコント2017覇者「かまいたち」が、魂の漫才を見せて観客を圧倒。男女コンビ「ゆにばーす」は完成度の高い漫才を見せ、大阪の新鋭「さや香」は躍動し、それぞれ決勝へと駒を進めた。進出30組中22組がヨシモト所属という準決勝の中、ヨシモト勢の出来は総じてよく「決勝全組ヨシモト」もあるのではないかと感じさせたが、そこに「待った」をかけたのが今年、ブレイクを果たした「カミナリ」だった。まったく衰えることのないドツキ漫才を披露し、2年連続で決勝進出を決めた。

準決勝を観戦したからか、決勝進出者発表にも「まあこのコンビは順当やな」「混戦の中、このコンビが選ばれたか」「……審査員の方に好みの方がおられるんでしょうな」ということが想像できたのでさほど驚くことはなかった。しかし、衝撃はその後に発表にあった。決勝のシステムが変更されたのだ。

新システムの概要を簡単に説明しよう。決勝戦の生放送を開始した直後に、敗者復活戦を勝ち上がったコンビを発表。決勝に出場する10組が決まったところで、順番を決めていくのだ。しかも、そこで全組の順番を決めるのではなく、逐一MCがくじを引き、名前が出たコンビがそのままネタを披露する。だからいつ自分たちがネタをするか直前までわからないというシステムだ。このくじの名を「笑神籤(えみくじ)」という。

このシステムを聞いたときに冒頭の言葉が口から漏れた。そして、主催者側の苦悩が見てとれた。敗者復活戦を勝ち上がったコンビが決勝ファーストラウンドで最後にネタをすることが有利ではないかという視聴者の意見は多く聞かれてきた。かつて敗者復活戦から復活するコンビを発表していた時間帯は、だいたい番組開始1時間後あたり、3組目のネタ終わりくらいだった。敗者復活戦が行われる会場と決勝戦が行われるスタジオの距離があること、想像ではあるが、視聴率のことも関係していると考えられる。

「M-1グランプリ」という「テレビ番組」として中盤に山場、盛り上がりがほしいという気持ちもわかる。しかし、敗者復活からの勝ち上がりコンビは車中ではあるがネタ合わせもしっかりとできて、トリでネタを披露できる。そのあたりが有利ではないかと言われてきたところだろう。

そして、5年ぶりに復活した2015年は決勝戦が行われるテレビ朝日の隣にある六本木ヒルズアリーナで敗者復活戦が行われた。だからか敗者復活戦から復活するコンビの発表が8組目終了後、出番直前に発表されることとなった。

ネタ合わせの時間もそれほどなく、決勝ファーストラウンドの舞台に立たなければならない。しかし、結果は敗者復活戦の勢いそのままに「トレンディエンジェル」が優勝。2016年はまた番組開始1時間後の発表に戻し、勝ち上がった「和牛」が準優勝した。

ネタ順が最後なのはコンビの色にもよるが有利に働くことのほうが多い。2007年に「サンドウィッチマン」が敗者復活戦を勝ち上がり優勝した第7回大会から昨年の第12回大会まで、すべてのコンビが最終決戦に進出しているというデータもそれを物語っている。

「最初から敗者復活戦を勝ち上がったコンビをそのままトップバッターにすればいいのではないか?」という考え方もあるだろう。敗者復活戦が当日ではなかったが、かつて「R-1ぐらんぷり」でもこの形は採用されたことはある。しかし、これでは「テレビ番組」としてドラマチックさに欠ける。全国的な知名度がなかった「サンドウィッチマン」が敗者復活からの優勝を遂げたシンデレラストーリー。そういったことから「成り上がる」要素も残したい。

①「全組を平等にする」

②「ドラマチックさを残す」

③「テレビ番組として起伏をつける」

そういった部分から「笑神籤(えみくじ)」は生まれたのではと考える。しかし、大きな問題点があり、それこそが伝統と格式がある「M-1グランプリ」を壊しかねない要素なのだ。

「めっちゃ緊張するやん」

「何番かっていうのを考えて、ネタ合わせしとこうかって考えるんで」

新システム「笑神籤(えみくじ)」を初めて聞いた決勝進出者のコメントである。ただ、これはこのシステムを初めて聞いたときのリアクションというだけであり、決勝目前にした今はさほど問題にしていないと思う。

「いつ何時でも舞台に立てる」準備をしていくはずであり、その調整の仕方もできあがっているはずだ。はっきり言えば、番組開始1時間後に出番が決まろうが、直前だろうが一切関係がない。準決勝まで来たコンビが、そんなことでネタを間違えたりするようなことは絶対にないと断言できる。そんなやわな漫才師はいない。

たとえば、順番が決まっていれば前後に出るコンビのことを考えて、ファーストラウンドと最終決戦でやるネタを完全に決めておけるということもある。これも問題ない。かつて俺は別の賞レースのトーナメント大会に出場したときに、1回戦と準決勝ともに先攻のコンビのネタを見て、直前でネタを変えた。それが功を奏し、決勝まで進出したことがある。1年間かけて完成させて、稽古しまくった2本のネタを前のコンビの出来を見て、「次に出ることなったらAで」ということは簡単である。事前に先に出るコンビによってネタを決めておくこともできるだろう。そんなことができないコンビが決勝に上がれるわけがない。では、何が問題なのか? それは「順番が決まった瞬間」である。

敗者復活組が最後に出てきて有利だから「全組を平等にする」という観点から番組冒頭に敗者復活組を発表する。それだけならば、そこで全組のネタ順をくじで決めればいい。しかし、それならば「テレビ番組として起伏をつける」という部分が損なわれ「ドラマチックさも残す」ことができない。だから「笑神籤(えみくじ)」なのである。ということは、司会の今田さんが「笑神籤(えみくじ)」を引くときに、みんなはそれを見ている、カメラで抜いている可能性が高い。たとえばである……

今田「(くじを引く)」

決勝進出者「(別場所で固唾を飲んで見ている)」

今田「トップバッターは……和牛」

和牛「(リアクション)」

この瞬間、「和牛」はどんなリアクションをすればいいのか? みんな芸人だから、必ずリアクションはするはずだ。不利と言われるトップバッターに選ばれたコンビは「うわー、最悪やー」と言ってからスタジオに向かい、ネタをするのか?

今まで外的要素はなく、漫才をするまで姿を現さなかった決勝進出者。ずっとネタだけを見て判断されていたが、今回のシステムだと、漫才以外の要素を審査員、観客に晒すことになる。あまりにも「バラエティ」チックな、「ゲーム要素」の高い「M-1グランプリ」なるだろうか? 断言する。これは今までの「M-1グランプリ」ではない。あくまでも俺の想像なので、放送を見てみたらくじを引いて順番が決まるだけなのかもしれない。俺の不安が杞憂に過ぎなかったことを祈るばかりだ。

厳しいことを書いたが、「M-1グランプリ」を愛するがゆえ、全芸人を尊敬するがゆえであることなのでお許し願いたい。しかし、最後に待ち受ける最終決戦は変わることのない真っ向勝負である。3組ともが最高の漫才を披露した、昨年のような激闘を期待したい。激闘は色褪せることがない。思い出すなー、初代チャンピオンを争った中川家との激闘。思い出せない方は著書『芸人迷子』で書き綴っております。皆さん!! AmazonへGOだ!! 以上、ユウキロックでした。センキュー!!

【ユウキロック】

1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。自身の「M-1」挑戦からその後のコンビ解散までを綴った自叙伝『芸人迷子』が、お笑い業界内外で大きな話題を呼んだ


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