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上野と足立区がホットスポット化…新宿と渋谷に迫る賑わい

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 日本経済を牽引してきた東京。なかでも、新宿・渋谷といった山手線の西側エリアの街は多くのヒト・モノ・カネが集まった。戦後の東京は街が西へ西へと拡大し、街の賑わいは西高東低という状態が長らく続いた。近年、そうした勢力図に地殻変動の動きがみられる。

まず、東京の“東側諸国”に分類されるエリアで反撃の狼煙をあげたのは北区・赤羽だ。赤羽は埼玉の玄関口として知られる。そのため、埼玉都民の街という認識が強かった。駅前から続く商店街では、昼間から飲んだくれるオッサン連中がたむろし、そうした雰囲気が都民から敬遠される要因になってきた。

近年、そうしたオッサン御用達の立ち飲み屋に、若者も盛んに出入りするようになっている。その背景には、通称“センベロ”の店が多いことが挙げられる。センベロとは、1000円でベロベロに酔っぱらうこと。センベロの居酒屋が多いということは、赤羽はコストパフォーマンスのよい街ということになる。

デフレ社会が深刻化し、賃金が上がらないのだから、少しでも支出は抑えたい。そんな世相が赤羽人気を後押しした。

次に続いたのが、北千住だ。2005年につくばエクスプレスが開業。北千住は交通の便が格段に向上した。加えて、08年には小田急ロマンスカーMSEが北千住駅発着となり、北千住駅から特急列車で箱根方面に直行できるようになった。

北千住は足立区の中心だったが、これまでは足立区というイメージが負の作用をもたらしていた。近年、足立区は大学誘致を積極的に進め、北千住界隈には大学が集まるようになった結果、北千住は文教都市の雰囲気を放つ街へと変貌を遂げている。大学が集まれば、当然ながら街に若者が行き交う。これが街全体に新陳代謝を促すことにつながり、北千住、ひいては足立区全体の活性化につながった。

北千住の成功が注目を集めると、“イースト東京”のオシャレタウン化は加速。高層マンションが立ち並ぶようになった清澄白河では、サードウェーブコーヒーの代表格でもある「ブルーボトルコーヒー」の日本初上陸。いまや、コーヒーの聖地とまで形容される。また、築地市場の移転先と耳目を集める豊洲でも、06年にオープンした「アーバンドック ららぽーと豊洲」を核にタワーマンションが取り囲む。

●上野の危機

そして、新宿や渋谷に負けじと発展するイースト東京だが、ここにきて真打ともいえる上野にようやくスポットライトが当たるようになった。

上野といえば、なによりもジャイアントパンダのイメージが定着している。実際、街を歩けば、あちこちにパンダのイラストが描かれてパンダとのつながりを意識させられる。しかし、実のところ08年には上野動物園で飼育されていた「リンリン」が死亡。以降、上野動物園からパンダが姿を消した。パンダがいなくなったことで上野動物園の人気は急落。11年に中国からパンダをレンタルすることで、上野動物園の人気は一時的に回復した。

しかし、さらなる危機が上野を襲う。それが15年に開業した上野東京ラインだった。それまでの上野駅は高崎線・宇都宮線・常磐線の終着駅であったため、北の玄関口として機能していた。これらの路線を利用する“北関東民”にとって、上野は東京に足を踏み入れる最初の地でもある。また、帰りの電車も上野から乗ることになるため、上野で飲食や買い物をする人が多い。

そうしたターミナル駅であるために上野にもたらされる経済効果は大きい。だが、上野東京ラインの開業で、上野駅は通過駅となってしまう。そんな衰退危機が懸念された。台東区職員は言う。

「上野駅のポテンシャルが低下したのは、今に始まったことではありません。01年に湘南新宿ラインが開業した際も新宿・渋谷方面からダイレクトに大宮・高崎・宇都宮といった北関東方面にアクセスできるようになりました。これに伴い、上野界隈が衰退するといわれていました。それでも、北へ向かう寝台列車や特急列車が発着していましたから、上野は北の玄関口という意識はまだありました。上野東京ラインの開業は、上野にとって積み重ねてきた歴史を覆すインパクトのある出来事だったと思います」

●上野の逆襲

こうした苦難もあったが、今の上野の街は平日でも人で溢れており、衰退が懸念されるような危機にはない。それどころか、上野は新宿・渋谷に迫るほどの勢いを見せている。

上野が賑わうようになった第一の理由は、なによりも訪日外国人観光客の増加にある。15年に流行語にもなった中国人観光客による爆買いは鳴りを潜めたが、それでも訪日外国人観光客は増加の一途をたどっている。彼らが出国間際に立ち寄るのが、特急列車で成田空港に簡単にアクセスできる上野なのだ。いわば、訪日外国人観光客にとって“最後の日本”ともいえる上野界隈で、最後の食事や買い物を楽しむ。

「買い物をし過ぎて荷物を抱えることになっても、あとは空港に行くだけだから上野で日本円を使い尽くそうとする外国人観光客は決して少なくない。上野は外貨を稼ぐ最前線基地」(観光業界関係者)

これまで上野で営業している店の多くは、60代以降の高齢者をターゲットにしていた。そのため、商品ラインナップも高齢者が好むようなモノが目立った。しかし、外国人観光客の急増で、店の外観やレイアウトなどをはじめ商品ラインナップも30代・40代向きのコスメ・医薬品・衣料・食品へと様変わりしている。

これまで上野公園・動物園を訪れていた家族連れは一通り上野を楽しみつつも、食事や買い物は銀座や日本橋などに移動してからというケースが目立った。商品構成が変化したことで、そうしたファミリー層の食事・買い物需要をも取り込めるようになっている。

そして、赤ちゃんパンダ「香香(シャンシャン)」の誕生が上野の勢いを決定づけた。これで、上野への来街者はさらに増加。一躍、イースト東京の代表になり、東京でも屈指のホットスポットと化した。

11月には超高層複合商業ビル「上野フロンティアタワー」が開業。上野フロンティアタワーにはパルコが23区に44年ぶりの新店舗を出店する。上野フロンティアタワーは早くも話題になっており、若年層の流入がさらに加速するとの予測が強い。

現在はフロンティアタワーとパルコの進出ばかりに注目が集まっているものの、来秋には野村不動産が初めて手掛けるホテルがオープンする予定にもなっており、さらなる上野の発展が見込まれる。

イースト東京の盛り上がりは過熱する一方だ。火が点いた上野の勢いは止まる気配を見せない。上野の逆襲が始まったばかり。新宿・渋谷を脅かす存在になる日は、近いかもしれない。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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