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悪魔祓いの新機軸「ドクター・エクソシスト」潜在意識の中で悪魔とバトルだ

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「悪魔祓い」という『エクソシスト』以来のメジャーなテーマを扱いつつ、新しいアイディアも足してスピード感があってしかも意地が悪い。面白いホラーに必要な要素がちゃんと乗っかっている『ドクター・エクソシスト』は意外な拾い物だ。


潜在意識に侵入し、悪魔祓いを遂行せよ!
悪魔が人間(無機物の場合もある)に取り憑いてて、それを特殊能力を持った人間が祓う。対立の構造や、どうなったら勝利なのかがわかりやすいエクソシストものはホラーにおいては不変の人気テーマである。『エクソシスト』や『オーメン』みたいなオールドスクールな名作や、ハードボイルド的な要素を足した『コンスタンティン』(原作はコミックですが)、『ザ・ライト エクソシストの真実』とか『ラスト・エクソシズム』みたいな近年の作品など、長年にわたって作られ続けている。最近紹介した『悪魔祓い、聖なる儀式』に至っては実録物のドキュメンタリーだ。で、『ドクター・エクソシスト』も一連の悪魔祓いものに連なる作品なのだが、ちょっとひねりの効いた設定となっている。

主人公ドクター・セス・エンバーは、悪魔に取り憑かれた人間の意識に潜り込み、悪魔が作り上げた潜在意識内の空間から元の意識を離脱させることで除霊を行うエクソシスト。過去、家族を乗せて運転している最中に悪魔"マギー"に襲撃され、その時の事故で妻子を失った上に自身も車椅子に乗るハメになったという男である。それ以来復讐の鬼となったエンバーは、悪魔祓いの仕事の中で"マギー"を捜索していた。

ある日、11歳の少年キャメロンが悪魔に取り憑かれる。これまでになく強烈な悪魔の力にバチカンが送り込んだ正規のエクソシストでは対抗できず、高額の報酬と引き換えにエンバーの元に依頼が来る。現場を訪れたエンバーはキャメロンに取り憑いているのが"マギー"だと確信。潜在意識に潜入して対決に挑むが……。

まずエンバーの設定だけで100点満点中5万点くらい稼いでいる。車椅子に乗った髪の毛もヒゲも伸び放題の粗暴な男。おまけに連れているアシスタントは2人ともパンクスの、すこぶる腕のいい無認可エクソシストというだけでワクワクするじゃあないですか。演じているアーロン・エッカートの雰囲気も相まって、男臭いというよりはなんだか物理的に臭そうな、"エクソシスト界のブラック・ジャック先生"みたいな突飛なキャラクターに説得力が出ている。

悪魔祓い×『インセプション』みたいな悪魔祓いバトルもフレッシュなアイディアである。『エクソシスト』でも描かれていたが、悪魔は人間の欲望をうまく刺激して「相手が欲しいものを与える」ことで人間を誘惑する。モテない奴に取り憑いたら、そいつの意識をイケてるクラブに閉じ込め、周りにブロンドのおねーちゃんをたくさん侍らせて身動きを封じてしまうのである。エンバーはそこにいきなり現れて「お前は取り憑かれてる。こいつらは悪魔だ」と強引に引きずり出す。なんせ精神世界なので、その中ではエンバーは自由に歩けるのだ。「取り憑かれた人間が窓から飛び降りると、潜在意識から解放されて目が覚める」というのもほぼ『エクソシスト』のまんまで、「一応このジャンルの一番の有名作にも目配りはしてまっせ!」という心意気を感じる。

というわけで「相手の潜在意識に侵入するという」要素を取り入れることで、『ドクター・エクソシスト』は悪魔祓い映画にも関わらず大規模な場面転換や派手なアクションを表現することが可能になった。さらに「心肺能力の限界から、エンバーが他人の意識に侵入できるのは8分まで」「エンバーと悪魔に取り憑かれた人間の意識が両方脱出しないと負け」などの明確なルールを付け足すことも可能になって、まさにいいことづくめ。まことにめでたい。

意地が悪いホラー映画って、本当にいいものですね
『エクソシスト』の昔から、悪魔が取り憑くのは心にダメージを負った子供と決まっている。悪魔はそのスキに入り込み、ダメージの部分につけこんで体と心を支配するわけである。『ドクター・エクソシスト』でも被害者であるキャメロン少年の家庭は離婚しており、父親の不在を寂しがる彼の心のスキを突いて、悪魔は彼に取り憑く。

面白いのは、本作では主人公のエンバーも過去にトラウマを抱えた男である点だ。『ドクター・エクソシスト』では、悪魔は被害者の深層心理が望んでいる環境を作り上げ、その中に被害者の意識を閉じ込めることで体を乗っ取る。なので、たとえばキャメロン少年であれば「優しい父親(実物はろくでなし)と楽しくキャッチボールができる公園」に彼の意識を閉じ込める。そしてエンバーも妻と子のいる平和な生活を悪魔によって奪われているのだ。狡猾な悪魔がそこを突かないわけがない!

いやしかし、これは相当に意地が悪い設定だ。おまけにこの映画は、悪魔が作った環境をビジュアル的にしっかり見せる。金髪の美女がノリノリで自分を誘惑してくるところから出たくないのは当たり前だ。更に言えば、この映画はラストバトルから先の流れがめちゃくちゃ性格が悪い。入れ子構造になった潜在意識の中で繰り広げられるどんでん返しに次ぐどんでん返しの果て、最後の最後まで気が抜けない。

ホラーというのは人の嫌がることをしてナンボのジャンルなので、作り手が自分たちの性格の悪さを隠そうとしていないのは大正解である。そういう意味で、魅力的な主人公と設定、さらに性格の悪い仕掛けまで備えた『ドクター・エクソシスト』は大変好感度が高い。希望としては、これまたホラー映画特有のいい加減さで是非とも続編を作ってほしい。この映画、これ一作で終わらせるのはもったいないよ!

【作品データ】
「ドクター・エクソシスト」公式サイト
監督 ブラッド・ペイトン
出演 アーロン・エッカート カリス・ファン・ハウテン カタリーナ・サンディノ・モレノ ほか
11月25日より全国順次ロードショー

STORY
車椅子のエクソシストであるエンバーは、被害者の潜在意識に潜入して悪魔祓いを行うプロフェッショナル。高額な依頼を受け悪魔に取り憑かれた少年キャメロンと対峙した彼は、宿敵である"マギー"の存在を感じ取る。
(しげる)

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