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中村芝翫、橋之助、福之助、歌之助、親子そろって「吉例顔見世興行」への意気込みを語る

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「いろんな形で、みんなが幸せになれるような興行にしたいと思っております」(芝翫)

昨年10月から始まった、八代目中村芝翫、四代目中村橋之助、三代目中村福之助、四代目中村歌之助の襲名披露。親子4人同時襲名という史上初の襲名披露も、いよいよ京都の年中行事「吉例顔見世興行」で、今年最後の舞台となる。今年は京都南座が耐震工事で休館中のため、初めて[ロームシアター京都]という近代的な劇場で公演が行われることに。顔見世の歴史に残るであろう、話題豊富な顔見世を前に、芝翫を始めとする親子4人がそろって京都で会見。公演に向けての意気込みや、襲名披露で全国を駆け回った1年を振り返った。

まず始めに芝翫が、顔見世の思い出について「父(七世中村芝翫)が顔見世に出る折に、子どもの時からこの劇場に通っていました。うちは4人兄姉なので、冬休みになるとみんなでじゃんけんをして、勝った人が父の元に遊びに連れて行ってもらえたんですけど、なぜか必ず毎年私が勝つんです。どうもうちの兄姉はわざと負けて、両親のいない家で自由を満喫していたようで(笑)。それでよくホテルから南座まで、父に手を引かれて歩いて、南座の前で『いつかいい役者になってここに立てるよう、努力するんだよ』と言われていた記憶がございます」と語った。

それだけ思い出深い南座の舞台で公演ができないのは「少し寂しいけど、だからこそ逆にいい機会だと思えた」と、前向きに語る。「せんだって(中村)獅童君の『ANAチャリティー大歌舞伎』で[ロームシアター京都]に行ってきまして。大変素敵な劇場を拝見して、また私どもの襲名に家族そろってスイッチが入ったというか、胸がときめく思いがしました。昨年より南座以外で顔見世を行い、それでもまねき(看板)は南座に上がりましたが、今回は[ロームシアター京都]に上がるんです。これは顔見世史上初のことでございます」と、史上初の試みへの期待を語った。

今回芝翫が出るのは『義経千本桜 渡海屋・大物浦』(昼の部)と『人情噺文七元結』(夜の部)の2本。この演目について「『義経……』の知盛は、私がまだ19歳ぐらいで『女方で行くか、立役で行くか』と悩んでおりました時に、国立劇場の若手公演で勤めさせていただきました。二世(尾上)松禄のおじ様が手取り足取り教えてくださり、終わった後に『立役で行きなさい』とおっしゃっていただいて今に至るという、その大本になったものです。襲名披露でやらせていただきたいと思ったんですが、上演時間が長うございますので、なかなか見取狂言の中に入れにくく、調べますと(『渡海屋・大物浦』の段は)顔見世では初めて(の上演)となるそうです」と、これもまた史上初となることを交えながら、思い出を語った。
襲名の前に、松本幸四郎から「襲名なんてクマンバチの中に頭を突っ込むようなもの。いっぱい刺されて大きくなりなさい」と、アドバイスをもらったという話を披露する芝翫。
襲名の前に、松本幸四郎から「襲名なんてクマンバチの中に頭を突っ込むようなもの。いっぱい刺されて大きくなりなさい」と、アドバイスをもらったという話を披露する芝翫。

また『文七元結』の左官屋長兵衛を、初役で勤めることに関しては「こういう世話物の狂言は、亡くなりました(中村)勘三郎の兄、(坂東)三津五郎の兄が得意にしておりました。近年私も世話物をやらせていただく中で、いつも2人の背中を追い続けて近づこうとするけれど、お兄様方はまたその距離を離していくという、その繰り返しでございました。それが永遠に背中の見えない所まで、2人がいってしまったものですから、私も数年間路頭に迷う思いでした。でもお兄様方は帰ってこないし、僕には2人の代わりは勤まりませんけど。八代目芝翫を襲名するにあたって、古典を大事にするという思いは強うございますが、やはりこういう世話物も大事なものだと思っています。襲名披露で初役を手がけるのはすごく心配ですが、今まで積み重なった人生であったり、苦しみ喜びというものを届けられるのが、やっぱり人情噺の醍醐味。楽しく明るく勤められたらと思います」と、意気込みを見せた。

また橋之助、福之助、歌之助の3人も、顔見世への期待と、自分が演じる役について以下のようにコメントした。

最初顔見世に出させていただいた時、自分の名前(当時は中村国生)がまねきに上がったのがものすごく嬉しかったのですが、今回は橋之助として……しかも福之助、歌之助と兄弟三人一緒にまねきが上がるのは、とても嬉しいです。この1年で僕は、きれいなお役であったり、三枚目のお役であったりと、いろんなお役を勉強させていただく機会がすごく多かったんですが、今回は『(寿曽我)対面』の曽我五郎、『俄獅子』の鳶頭、『(大江山)酒呑童子』の平井保昌と、一本筋が通った、立役として僕が目指したい方向性のお役ばかりを勤めさせていただきます。この興行を機に『この役を橋之助で観たい』と思っていただけるように、一生懸命勤めたいと思います」(橋之助)
先日『熊谷陣屋』で熊谷直実を演じた折、片岡仁左衛門に教えを受け「“教え甲斐があるわ”と言われて、泣くかと思うほど嬉しかった」と秘話を語る橋之助。
先日『熊谷陣屋』で熊谷直実を演じた折、片岡仁左衛門に教えを受け「“教え甲斐があるわ”と言われて、泣くかと思うほど嬉しかった」と秘話を語る橋之助。

この1年は僕にとってすごく濃くて、本当にいろいろ教えていただきました。今回出演する『対面』は歌舞伎の教科書みたいなお芝居で、僕は出させていただくのが初めて。その雰囲気や先輩たちの息づかいを間近で見られるチャンスなので、いろんなものを吸収したいと思います。『酒呑童子』では、女方(濯ぎ女 わらび)を勤めさせていただきます。僕は将来的に立役の方にと思っているんですけど、父も若い時は女方をやっていたと聞きますし、それも経験だと。京都は初めて出させていただくので不安な気持ちもありますけど、精一杯勤めさせていただきます」(福之助)
「博多座の襲名公演では、兄(橋之助)と一緒に『車引』の桜丸をを演らせていただいたのが一番印象に残っています」と語る福之助。
「博多座の襲名公演では、兄(橋之助)と一緒に『車引』の桜丸をを演らせていただいたのが一番印象に残っています」と語る福之助。

僕にとってオールスターと言いますか、あこがれの顔見世で襲名ができるということを、すごく嬉しく思っております。また母方の祖父が京都なので、よく遊びに来たりしていたので、懐かしい場所で自分の襲名披露ができるのも、すごく嬉しいです。夜の部では2回目の女方(『酒呑童子』の濯ぎ女 なでしこ)を勤めますが、以前は“慣れる”ということしかできなかったので。今回はそれに加えて、(中村)壱太郎のお兄さんに教えをいただきながら頑張りたいと思っております。この襲名が終わってからも、3人それぞれ出し物ができるような役者になれるよう、一歩一歩頑張っていきたいと思います」(歌之助)
11月に歌舞伎座で勤めた『芝翫奴』に触れ「お客様が僕しか観てない状況で踊れるのが嬉しかった」と語る歌之助。
11月に歌舞伎座で勤めた『芝翫奴』に触れ「お客様が僕しか観てない状況で踊れるのが嬉しかった」と語る歌之助。

また芝翫は、息子たち3人の1年を振り返って「橋之助は(中村)吉右衛門のお兄様や、(片岡)仁左衛門のお兄様に教えていただいたりと、精神的にもとってもいいスタンスでお仕事ができてるのが羨ましい。でもどんなことを教わったのか、私に言わないんですよ。だましても何も言わない(笑)。しかも21歳で(『車引』の)梅王丸などの大きなお役をいただけることはありがたいし、橋之助は幸せだと思います。福之助は高校まで学校が好きだったこともあり、芝居に出るのが遅うございましたから、実を言うと3人の中で一番心配してたんですよ。でもそこでプレッシャーをかけても始まらないし、明日で20歳になりますので、また新たな自覚を持ってやってくれるんじゃないかと思います。歌之助はまだ高校1年生ですから、これこそまだ海のものとも山のものともわからず……肉体的には、すごく大きくなりましたが。あと(市川)染五郎君にすごくかわいがってもらっていて、普段でも染五郎君の真似をしてる時があるんです。僕もこのぐらいの歳に(尾上)辰之助のお兄さんにあこがれて、いい部分も遊ぶ部分も真似をした(笑)。でも人間は絵でもなんでも、模写から入るのが大事ですからね」と語った後「私があまり教えるのが得意じゃないから、その分3人息子は自覚して、外にいろんな方に習いに行って、いろんなことを吸収するということで。でもやはりこの襲名興行が終わった後から、これからが本当に3人は……私も含めてですけど、大変になってくるような気がします」と締めくくった。
京都でのお練りに触れ「他の劇場と違って、顔見世は年中行事であり、人気が高いことを再認識しました」と語る芝翫。
京都でのお練りに触れ「他の劇場と違って、顔見世は年中行事であり、人気が高いことを再認識しました」と語る芝翫。

そして最後に[ロームシアター京都]での「吉例顔見世興行」の抱負として「京都府の文化庁移転など、まだまだ先にいろんなこと、私たちがやらなきゃいけないことがいっぱいございます。ますます京都が芸どころとして隆盛できるよう、その大本になるような公演にしたいと思っております」と語った芝翫。今回の自分たちの公演だけでなく、長い目で見て歌舞伎界、あるいは京都の街全体が盛り上がることにも心を配り、東の成駒屋の代表にふさわしい風格を付けたことを感じさせた。
(左から)中村歌之助、中村橋之助、中村芝翫、中村福之助。
(左から)中村歌之助、中村橋之助、中村芝翫、中村福之助。

歌舞伎ビギナーには敷居の高い感じがある顔見世だが、今年は普通の劇場で行われる分、比較的足を運びやすくてオススメだ。親子そろって成長を続けるこの4人のそろい踏みを見届けるためにも、この機会にぜひ敷居をまたいでおきたい。

公演情報

『當る戌歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎』
中村橋之助改め 八代目中村芝翫 襲名披露
中村国生改め 四代目中村橋之助
中村宗生改め 三代目中村福之助 襲名披露
中村宜生改め 四代目中村歌之助


■日時:2017年12月1日(金)~18日(月) 11:00~(昼の部)/16:00~(夜の部)
■会場:ロームシアター京都 メインホール
■料金:一等席20,000円 二等席12,000円 三階A席8,000円 三階B席5,000円 三階C席3,500円

■演目:(昼の部)『寿曽我対面』『義経千本桜 渡海屋・大物浦』『二人椀久』/(夜の部)『良弁杉由来 二月堂』『俄獅子』『人情噺文七元結』『大江山酒呑童子』
■問い合わせ:075-561-1155(南座事務所)
■公式サイト:http://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/530

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