16.8%で過去最高の日曜劇場『陸王』感動の“手数”で攻める「まるでナイツの漫才みたい」!?

日刊サイゾー

2017/11/20 20:00


 マラソンシューズ開発に挑む老舗の足袋製造業者「こはぜ屋」の奮闘を描いた日曜劇場『陸王』(TBS系)も第5話。今回は30分拡大版でしたが、視聴率は16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録しました。これまで、プロ野球の日本シリーズやら『シン・ゴジラ』(テレビ朝日系)やら裏が強かったこともあって伸び悩んできましたが、いよいよ20%の大台が見えてきましたね。というわけで、今回も振り返りです。

前回までのレビューはこちらから

今回は、いつにも増して「手数をまとめてきたなー」という印象です。感動シーンのオンパレード、テンコ盛りのお涙デコレーションケーキでした。

■茂木くんが満足するシューズを作れるのか

こはぜ屋の宮沢社長(役所広司)は、ようやく開発中のマラソンシューズ「陸王」の試作品をダイワ食品の実業団ランナー・茂木くん(竹内涼真)に履いてもらうところまでこぎつけました。基本的には好感触なんですが、茂木くんいわく「アッパーが不安定で、フラつく感じがある」のが不満とのこと。軽くて丈夫なソール材「シルクレイ」こそ完成したものの、まだまだ課題は山積みです。

シルクレイの開発者である飯山さん(寺尾聰)は「陸王はRII(アール・ツー=大手メーカー・アトランティスの製品)に勝てるのか」と不安気ですが、アトランティスを退職して「陸王」チームに加わったカリスマシューフィッター・村野さん(市川右團次)は「それでも、私はここにいる!」と断言。自信満々ですが、問題のアッパー素材については、まったくめどが立っていません。これが、今回のメーンの課題。この解決までに、さまざまな「困難と解決」が挟み込まれます。

■出てきたそばから解決される問題たち

まず、例によって、こはぜ屋にはお金がありません。銀行の担当者・大橋さん(馬場徹)も、全然融資してくれません。何しろ、陸王の開発ばかりで足袋の利益も怪しくなってきたのです。もとより「陸王」開発に乗り気じゃない経理のゲンさん(志賀廣太郎)の渋い顔も、ますます渋くなってきました。

この問題提起から数分後、宮沢社長は新たな商品開発を思いつきました。マラソンシューズ用に開発した軽くて丈夫なソール材「シルクレイ」を、これまで天然ゴムを使用していた地下足袋に転用することにしたのです。

このアイディアに、こはぜ屋のみんなは大喜び。ゲンさんも「ウチは足袋屋ですよ……やるべきです!」とドアップで賛成し、すぐに作ることに。

こはぜ屋の新たな地下足袋「足軽大将」は、ゲンさんの進言で値段を高めに設定したにもかかわらず、大ヒットを飛ばします。

しかし大量発注を受けてウキウキしていると、ハードワークが祟って、縫製部門のベテラン・冨久子さん(正司照枝)が病院送りに。しかし、冨久子さんの愛弟子で最年少の美咲ちゃん(吉谷彩子)が「あたし!やってみます!」と代役を買って出ます。

すると今度は、飯山さんが暴漢に襲われて骨折&全身打撲で病院送りに。これには、飯山さんのアシスタントを務めていた宮沢社長の息子・大地(山崎賢人)が「オレがやるよ、やるしかないだろ!」と熱烈に立候補。直後に製造機がエラーを吐いて製造不能になりますが、今度は飯山さんが「俺の魂」だから「他人に見せるわけにはいかねえ」と語っていた設計図を大地に御開帳し、事なきを得ます。

なんとか足軽大将の納品に間に合ったかと思えば、今度は100足くらいのソールに問題が。あわてて作り直そうとするものの、唯一製造機を動かせる大地は就職の面接に……。大ピンチですが、その大地が面接を放り出して駆けつけ、すべての納品を間に合わせました。

もう、まるで振り子です。ピンチ→解決、ピンチ→解決、ピンチ→解決というシークエンスが、ほとんど間を置かずに次々と現れ、登場人物の顔面のアップと「~~!」という圧のかかったセリフによってクリアになっていく。これまで『陸王』というドラマは比較的、複数の問題をクロスカッティングを用いて並列で解決していくことが多かったような気がしますが、今回はフリからオチまでの時間がとにかく短かった。快感(=感動)が、矢継ぎ早で押し寄せてくる。何かに似てるなーと思ったんですが、アレですね。2010年くらいのナイツの“手数漫才”ですね。

■最大の見せ場は銀行員・大橋さんの“デレ化”

これまで厳しいことばかり言って、こはぜ屋経営陣を困らせてきた銀行員・大橋さんの“デレ化”が今回最大の見せ場となりました。

こはぜ屋の仕事ぶりを初めて目の当たりにし、100年続くプライドに感化された大橋さんは、「陸王」のアッパー素材を開発する上で、めぼしい業者を探してきてくれました。

相変わらず融資に厳しい条件を出すものの、今回は「私の力不足です。本当に、申し訳ありませんでした」と頭を下げて社長たちを驚かせると、いかにもクールに「タチバナラッセル」という新興織物業者のサンプルを手渡し、こう言うのです。

「新しい陸王、完成したら、私、買います」

かあー! なんたるツンデレ! 推せる!!

■かくして、最強「陸王」は完成しました

昨今、ますます人相の悪くなってきたアトランティスの佐山(小藪千豊)の謀略によって、一時は「陸王」から「RII」に心が動きかけていた茂木くんでしたが、大一番となるニューイヤー駅伝では、やっぱり「陸王」を履いてくれることに。こはぜ屋一同、大喜びで、今回もリトグリちゃんの「Jupiter」が鳴り響き、大団円です。

まあ、ホントにゴージャスでボリューミーで、見どころ満載の回だったと思います。30分拡大でも、山場続きで全然飽きさせない。今回のように徹底的に手数を繰り出す作戦は、明らかに拡大版だから選択された手法だと思いますし、実に成功していたと思います。

1時間枠ならこうすればいい、拡大枠ならこの方がいい──ドラマを作る上での「楽しませ方」「数字の取り方」を熟知している感がビシビシ感じられて、大変気持ちのいい鑑賞体験でした。なんかいろいろ書いてきましたけど、『陸王』は、やっぱり今期ドラマの中では最強だと思います。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

当記事は日刊サイゾーの提供記事です。

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