中谷美紀「限界まで演じる」 女優としてにじませる“ストイックさ”と“美意識”

クランクイン!

2017/10/15 06:50

 「両手放しで喜んでというよりは、おそるおそるでした。とても難しい作品でしたので、私などには演じきれないのではないかと」と、オファー時の心境を語る中谷美紀。その作品とは、中谷にとってWOWOWドラマW初主演となる、東野圭吾原作のミステリー『片想い』のこと。女性として性を受け、現在は男性として生きる美月が、大学時代の仲間に「人を殺した」と衝撃の告白をしたことから、物語が展開していく。

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髪をバッサリ切り、筋トレをして性同一性障害を抱える美月役に臨んだ中谷。放送決定のニュースが流れるや、ビジュアルのかっこよさも話題になった。「ジムに通っているんですが、そこでよくすれ違うご婦人に、髪を切ったあと、初めて話しかけらたんです。『いいわよ、その髪型。似合ってるわよ』って」と、身近な所でも反響があったと笑う。しかし、役作り自体は難しかった。

これまでに『電車男』『嫌われ松子の一生』『自虐の詩』『繕い裁つ人』など数多くの作品で、観る者をその世界へと誘ってきた中谷。初めての役柄、難しい役柄への挑戦であればあるほど、武者震いするのではないかと思ったところに、冒頭での「おそるおそるでした」との発言である。さらに自分には「技術がそんなにない」と口にする。

「だから一生懸命演じるしかないんです。この役に限ったことではありませんが。とにかく頑張るしかない。毎回、自分の技術が追いつかないのですけれど、理想としているものだけは高いんですね。だから限界まで演じています。一生懸命やらないとできないんです」とトップで走り続ける女優としてのストイックさをにじませた。

美月には特に歯がゆさを感じることが多かったというが、役柄的にはプラスにも働いた。「私がどんなに筋トレしても、低い声を出しても、本当の男にはなれない。それがもどかしくてもどかしくて。ただ美月のセリフに『どうあがいても本物にはなれない』というセリフがあるので、それを拠り所に、自分がこの役になり切れないというもどかしさと、美月の男性になり切れないもどかしさを重ねて演じました」。

私生活でも自然と歩き方が男性的になっていたり、座っているときに足が開いてしまっていたという中谷。今回は男性らしさを求められたが、中谷といえば、その美しさは誰もが知るところだ。“美しさ”に関して、中谷はどんなことを考えているのだろうか。

「美意識というのはとても大切だと思っています。お芝居でも、どこまで見せるか見せないかという部分も美意識のうちだと思うんです。たとえば、単純に見た目で涙が出ているから悲しいと思うのか、涙すら流れないから、涙も出ないほど悲しいと思うのか。どこまで感情を表出させるのかも美意識のひとつだと思っています。エイジングという意味で語るなら、そうですね、若さにしがみつくのではなく、それでいて、心身ともに美しく年を重ねたいですね。草笛光子さんの白髪なんて、本当に美しいですからね」。

そして持論を語った。「日本人の美への執着って、伊勢神宮から来てるのでしょうか?。常若(とこわか)の精神といいますか。20年に一度、建て替えをして。そんなところからも来ているのかなって。なんでしょうね、美しさって。難しいですけどね」。

自分に忠実でありたいともがく美月の心も、ある意味美しいといえるだろう。新たな挑戦となった『片想い』。最後に中谷がPRした。「キリキリと胸が切なくなりつつ、温かい感動に包まれる作品になっていると思います」。(取材・文:望月ふみ)

連続ドラマW『片想い』(全6話)は、WOWOWプライムにて10月21日より毎週土曜22時放送、第1話は無料放送。

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