Acid Black Cherryが魅せる、普遍的カヴァーアルバム第四弾

OKMusic

2017/1/28 19:00

世の中にカヴァーアルバムは様々あるが、このような作品をコンスタントにリリースしているケースはそう多くない。Janne Da ArcのヴォーカリストyasuのソロプロジェクトであるAcid Black Cherryが放つ『Recreation 4』に耳を傾けながら、ふとその意義を考えた。活動初期から“名曲を次の世代に唄い継ぐ”というコンセプトの下に、恒常的に多彩なマテリアルを取り上げてきた同(Rec)シリーズの第四弾。今回もyasuのルーツがそのまま表れたものから意外なものまで、聴き応えのあるマテリアルが揃えられている。

それぞれ収録順に見ていこう。まずはオープニングに配された久保田利伸の「流星のサドル」。冒頭のロックなサウンド・アレンジに驚かされるが、ファンクなリズムを意識しながら起伏のある歌を聴かせている。THE AFFEEの「星空のディスタンス」はハードさを強調した演奏が新鮮で、原曲に忠実なラインに則ったヴォーカルに、ポジティヴな意味で歌い慣れたような感覚があるのが面白い。一連のカヴァー集『VOCALIST』でも知られる徳永英明の「輝きながら…」を採り上げているのも興味深い。両者の声の同質性がどことなく垣間見えるセレクトでもある。

絢香の「三日月」は、『Recreation 2』でカヴァーした「GLAMOROUS SKY」(NANA starring MIKA NAKASHIMA)に続く、比較的新しい2000年代の楽曲。何も古いものばかりが“名曲”に相当するわけではない。yasuがここに見出した、時代を超越する普遍的な魅力を改めて堪能したい。BOOWYの「CLOUDY HEART」とTHE BLUE HEARTSの「青空」は、yasuが10代の頃にバンドというものへの関心を刺激された、音楽的なバックグラウンドが分かるもの。特に前者は、YUKI(g/DUSTAR-3)、SHUSE(b/La’cryma Christi)、淳士(ds/SIAM SHADE)という、お馴染みのAcid Black Cherryのツアー・メンバーでプレイされているのも納得だ。

松任谷由実のアルバム『DA・DI・DA』に収録されていた「青春のリグレット」も、ファンに人気の高い楽曲だ。いわゆるシングルではない選曲が交えられているのも“Recreation”らしい。サザンオールスターズの「私はピアノ」は、桑田佳祐ではなく、原由子がヴォーカルを初めて務めたことでも知られる佳曲。とはいえ、yasuが幼少期に初めて聴いたのは、高田みづえが歌ったヴァージョンだったようだ。いずれにしても、女性シンガーが歌うオリジナルとはまた異なる情感豊かな歌に仕上げているのは聴きどころだろう。

「Forget-me-not」は尾崎豊の代表曲として筆頭に挙がるものではないが、実は多くのアーティストに愛されている楽曲のひとつ。ピアノを基調としたオリジナルとは違ったサウンドの上に歌われる。「フライングゲット」は言わずと知れたAKB48のヒット曲。Leda(g/FAR EAST DIZAIN)、RYO(b/defspiral)、淳士(ds)を擁する新鮮なメロディック・メタル・アレンジが、意外性を幾重にも増幅させる。女性のみで構成されたバンドとしても日本の代表的な存在であるPRINCESS PRINCESSの「M」も出色の出来。シンガーとしての挑戦が表現された、アカペラ・アレンジを通じて固有の響きを獲得している。Mr.Childrenの「Tomorrow never knows」はあまりに有名だが、時代も世代も関係なく親しまれる、そんな“名曲”の本来的な姿を最後に伝えてくるのもyasuらしいかもしれない。

なお、【CD+DVD】盤には『The Live Show“Recreation”』なる、優雅な音楽番組を模した映像が付属する。スタジオ・セッション(特に「青空」の弾き語りは絶品)も見どころである一方、小室哲哉との初対談もじっくりと視聴したい。yasuがいかに音楽と真摯に向き合ってきたのかが、ここには込められている気がしてならない。

text by 土屋京輔

アルバム『Recreation 4』

2017年1月25日発売
【CD+DVD】
AVCD-32259/B/¥3,240(税込)
【CD ONLY】
AVCD-32260/¥2,700(税込)
<収録曲>
■CD (※カッコ内は原曲歌唱アーティスト/発売年)
01.流星のサドル (久保田利伸 / 1986年)
02.星空のディスタンス (THE ALFEE / 1984年)
03.輝きながら… (徳永 英明 / 1985年)
04.三日月 (絢香 / 2006年)
05.CLOUDY HEART(BOØWY / 1985年)
06.青空 (THE BLUE HEARTS / 1989年)
07.青春のリグレット (松任谷 由実 / 1985年)
08.私はピアノ (サザンオールスターズ / 1980年)
09.Forget-me-not (尾崎 豊 / 1985年)
10.フライングゲット (AKB48 / 2011年)
11.M (プリンセスプリンセス / 1989年)
12.Tomorrow never knows (Mr.Children / 1994年)
■DVD (※カッコ内は原曲歌唱アーティスト/発売年)
『The Live Show “Recreation"』
01.恋におちて (小林 明子 / 1985年)
02.GLAMOROUS SKY (中島 美嘉 / 2006年)
03.青空 (THE BLUE HEARTS / 1989年)
※生演奏でのスタジオライブ収録のため、CD収録の音源とは異なります。
※Special talk guest:小室哲哉

当記事はOKMusicの提供記事です。

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