山田涼介が不憫すぎる?脚本が雑になってきた月9「カインとアベル」


 昼ドラ的な展開に振り切ったおかげで、低空飛行ながら一応は安定した視聴率(前週に続いて8.8% ※ビデオリサ―チ調べ)を確保している月9ドラマ「カインとアベル」(フジテレビ系)。ストーリーが佳境に入ってきた第8話は、父である高田総合地所社長の高田貴行(高嶋政伸)と、取締役に抜擢された弟・高田優(山田涼介)が仕事上の結びつきを強めていくのに焦りを抱いた高田隆一(桐谷健太)が、巻き返しを図って社内に盗聴器を仕掛け、それがバレて副社長を解任されるというストーリーでした。

逆転した兄と弟の立場の格差がどんどん広がっていく様子が描かれたわけですが、何といっても目立ったのは脚本のアラです。最近は持ち直していたのに、またツッコミどころ満載の頭の悪そうなドラマに戻ってしまいました。ところどころ、「この脚本で役者さんはどう解釈して演じたんだろう」と気の毒になるほど。

一番、「その反応はなくない?」と思われるのは、優が経営者として非情な判断をしたことを知った梓が、「今のあなたは、どこにでもいる優秀なビジネスマン。魅力なんてかけらもない。さよなら」と優に言い捨て、きびすを返して立ち去ろうとする場面。すると突然、後ろから梓を抱きしめる優。「ずっと俺のそばにいて欲しい」。

この場面だけ抜き書きしたら、ののしられて快感を覚えた変態みたいで不憫すぎる、優くん。そこまで拒絶された言葉を吐かれて、「俺が梓さんを幸せにしたい」とか言っちゃう優。なーんか、かみ合ってませんねえ……。

挙式会場の教会に隆一が現れず、やむなく式が中止になった後の梓の描写もよくわかりませんでした。泣き崩れるのはわかります。でも、友や家族を捨ててまで打ち込んでしまう仕事の魔力から自分を救ってくれたのは、大切なもの=家族があったから……という会長(寺尾 聰)の言葉を思い出したタイミングで泣くってのは、変じゃないですかね……。このドラマ、これに限らず伏線っぽく描いておいて伏線として成立してないということが結構あります。

■伏線を上手にいかせない脚本

第8話の冒頭では、カインとアベルの物語について語る、「神の愛を巡って、悲しい運命をたどるのです」との牧師さんの言葉が回想されます。これも、伏線っぽく何度も出てくるわりに、このドラマにおいて「神の愛」が何を指しているのかがよくわからないので、あんまりカギになってきません。ただ、一番可能性があるとしたら、隆一と優にとっての父の愛なんでしょうか。その割りには話が散らばりすぎだと思いますけどね。

伏線にしたいんだろうけどそんなに成立していないものと言えば、万年筆もそう。隆一が父に「万年筆が欲しいです」と言ってみたり、優が使う取締役室で万年筆を見つめるシーンが挿入されたりと、何かと印象付けたいことはわかりますが、それそんなに重要なアイテムだったっけ……という疑問が。

第8話でカギとなった、盗聴器を仕掛けて発見されるまでの流れにもツッコミどころがありました。まず、副社長のIDで社長室のドア開くんだ……というツッコミ(笑)。ヘタにIDカードかざすシーン入れなければいいのになと思いました。優が翌朝、鉢植えの土が床にこぼれているのを発見する場面でもふと疑問が。こういう大きな会社って、始業前に清掃に入るもんじゃないんですかね……。

式場に姿を現さなかった隆一が、がらんとした披露宴会場に1人で現れたのに至っては、まったくもって意味不明。隆一の行動としてもあまりにもわけわかりませんし、脚本としての必然性もなさそう。広げた風呂敷のたたみ方に苦労しているのか、脚本がかなり雑になってきた印象です。

第8話のラスト近くでは、高田総合地所における副社長失脚が投資家の黒沢幸助(竹中直人)のもくろみであったらしいことが暗示されました。おそらくあとラスト2話。兄弟の対立と会社の行く末、微妙な三角関係の成り行き、同僚の柴田ひかり(山崎紘菜)の片思いなど、もろもろのできごとが最終回までにどう決着するのか。しかと見届けていきたいと思います。

文・中島千代

当記事はデイリーニュースオンラインの提供記事です。

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