こんなあからさまなヤツいる? 『ポンコツ&さまぁ~ず』の人間ドキュメント「狩野英孝の“あの日”」

日刊サイゾー

2016/3/7 19:00


「なんだ、この画?」

スタジオでVTRを見ていたさまぁ~ずの大竹一樹は、そこに映っていた狩野英孝の“異変”に気付き、そう言った。

『ポンコツ&さまぁ~ず』(テレビ東京系)の一幕である。狩野英孝とアンジャッシュ・児嶋一哉に女性ゲスト(今回は及川奈央)を加えた3人が、てんぷらなどで使われたサラダ油などをろ過して燃料とするエコカー「オイルン」で鹿児島を目指す旅企画である。

そこで狩野は、明らかにおかしかった。

その日の旅のスタートは愛媛県の道後温泉。せっかくだからと、朝から温泉に入る3人。及川との混浴で、このときはいつも通りご機嫌で冗舌だった狩野。だが、次の車中シーンに切り替わると、その表情が一変しているのだ。助手席で所在なさげにうつむき、自分からしゃべることもない。

「おなかすいてないですか?」と気遣う及川からみかんをもらっても、それを口に運ぶ手は力なく生気を失っていた。あからさまに心ここにあらずで、窓の外を眺める狩野。外の風景を見ているというよりも、虚空を見ているようだった。

実は、温泉シーンの撮影後、狩野は自らが招いたあのスキャンダルの発覚を伝えられていたのだ。途中立ち寄った天ぷら屋で出された食事も「おいしい」と口では言うものの、食欲がないのか、ほとんど手を付けない。ロケ中も、チラチラ携帯電話を気にしてしまう始末なのだ。

「こんなあからさまなヤツいる?」
「こいつ素直だなあ」

さまぁ~ずの2人があきれるほど、プロとしての仕事を放棄したかのような素人感丸出しの狩野がそこに映っていた。

狩野は、誰よりもプロの芸人として自信満々な男である。『ざっくりハイタッチ』(同)で、お笑いコンビ「鬼越トマホーク」のケンカを仲裁するという人気企画がある。ケンカを止めるうちに、とばっちりを食らい、辛辣な悪口を言われるという流れが面白い企画だ。企画が進んでいくうちに、ケンカするのが鬼越トマホークの2人だけでなく、ほかの芸人にも広がっていく。そうして、さらば青春の光・森田哲矢と三四郎・小宮浩信のケンカの仲裁に狩野が入ったときだ。森田は、狩野にこう言い放つ。

「オマエが売れたんは時代、それだけ!」

それに対し、狩野はムキになって反論する。

「めちゃくちゃ努力したっつうの! 『(爆笑)オンエアバトル』(NHK)も一生懸命頑張ってコツコツやったよ! 1位通過もしたよ! 465KBも獲った! 実力が評価されたからだろ?」

さらに森田が「お前は今のテレビにビタっとハマっただけ!」「運だけ。マジで運やから」と続けると、狩野もまっすぐに言い返す。

「ハメに行ったから、こっちは!」「俺、運1ミリも使ってないから!」

そんな狩野に、森田は「空前のポンコツブームやから。各局のディレクターがこんなんばっかり好きやから」と吐き捨てた。誰もが疑問視する大喜利やフリートークの才能に絶対の自信を持つ一方で、誰もが認めるリアクション芸や天然ボケで笑われるのはプライドが許さない狩野。そんなズレこそが、狩野の狩野たるゆえんだ。本気で自分のセンスや才能を疑わず、自信満々で飛び込んでいくから笑いの神が舞い降り、極上のハプニングが巻き起こる。

「お祓いとお笑いの両立」を目指し、神主として神に仕える狩野は誰よりも笑いの神に愛されている。スキャンダル発覚のその日が、一日中ロケの撮影だというのも、笑いの神様に愛されていることにほかならない。

次回(3月12日放送)予告では、狩野が節分の鬼に扮しておどけている様子が映された。

それを見て、大竹は「切ないわ、なんか」と笑う。

「あんなことが起こっても、その日のロケはこれをやらなきゃいけない」

と三村が言うと、大竹が続ける。

「素晴らしいね。いいね、お笑いってやっぱり」

どんなことがあっても、笑いになればそれが浄化されていく。それが笑いの力だ。そして、テレビは人間性をむき出しにする。狩野はその人間性において、最高の面白さを持っている。そのことを『ポンコツ&さまぁ~ず』のこのVTRは、まざまざと見せつけた。

「ザ・ドキュメンタリーだね。ドキュメンタリー『あの日の狩野』」

さまぁ~ずは、そう言って笑い合った。
(文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/)

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