「木を見て森を見ず」という言葉があるように、小さな事柄にとらわれず、広い視野を持ちたいもの。しかし以前X(旧・ツイッター)上では、「森を見るのがあまりに難しい標識」が話題となっていたのをご存知だろうか…。
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今回注目したいのは、Xユーザー・たこ(道路好団垢)さんが投稿した一連のポスト。
「日本一意味が分からない標識選手権ノミネート」と綴られた投稿には、小二輪の「車両通行帯」を示す標識の写真が添えられている。しかし標識の下部には「こ」と、何を意味するのか皆目検討のつかない平仮名が。

果たして、こちらの標識はドライバーに何を伝えたいのだろうか…。
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他のポストにて、たこさんは「広島市内の国道54号で視認性最悪の距離案内を発見してしまった。『このさき400m』の文字を、6枚の標識に1文字ずつ散りばめるのは狂気の沙汰過ぎる。全ての標識に目を通さないと意味が分からない鬼畜仕様」と、標識の正体について明かしている。

添えられた写真を見ると分かるように、こちらの道路では6つの標識それぞれに「こ」「の」「さ」「き」「400」「m」(このさき400m)と、情報が分割されていたのだ。
遠目で見れば難なく理解できるが…運転中は前方を注視するため視野が狭くなり、且つ高速で移動しているため、情報を読み取る難易度は自然と上がることだろう。
件のポストは投稿から数日で3,000件以上のリポストを記録し、他のXユーザーからは「運転中だと、これ全部は読めないでしょ…」「ここよく走ってるけど、いま初めて知りました」「視力検査かな?」「逆に、こっちに集中して事故りそう」など、疑問の声が多数寄せられる事態に。
また、ポスト投稿主・たこさんに発見時の様子を尋ねたところ「最初は『こ』の文字だけが見え、本気で何のことかと思いましたが、信号待ちで全容を見て、察した瞬間に吹き出してしまいました」とのコメントが。
そこで今回は、情報を6分割された標識の詳細をめぐり「広島県警察」に話を聞いてみることに。すると、思わぬ正体が明らかになったのだ…。
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広島県警察本部「交通部交通規制課」の担当者は、今回話題となった標識の内容について「右から、直進、左折、小二輪の専用通行帯が400m先にあることを示しています」と説明する。
…と、ここで注意したいのが、こちらの標識は法的効力を持つものでなく、「400m先に同じ内容の(法的効力を持つ)標識がありますよ」という、事前案内する「標識の標識」のような存在である点。
担当者は「市内でも大きな道路となります」「件の標識は1994年ごろには設置されたものと思われます」とも説明しているが、当時の記録は残っておらず、設置の経緯や背景など、正確な情報は不明だという。
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こうした前提条件を踏まえ、担当者は「こちらの道路は車線が多く、交差点の手前で急に車線変更をすると危険です」「地面にも(標識と)同様の情報を表記しているのですが、渋滞や積雪により、矢印が見えなくなる可能性があるため、標識を設置したものと思われます」と、推測している。
誰もが気になっている「6分割」の経緯については「標識一つひとつに『このさき400m』と記載すると、文字が小さくなり過ぎてしまいます」「また6つの標識を全て連結させるのも、重量の問題等から現実的でないと思われます」とのコメントが得られた。
交通事故を防止しようと、様々な工夫を講じている広島県警。しかしその努力がドライバーに伝わるには、もう一歩踏み込んだ工夫が必要なのかもしれない。
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秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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秋山 はじめ)