重松ことみさん(仮名・37歳)は30歳で結婚。33歳の時に第一子が誕生します。ずっと子どもがほしかった彼女にとって、出産はこの上ない幸せを感じたそう。
仕事に子育てに多忙ながら充実した毎日。娘の成長が何よりの楽しみで、近所のママ友付き合いも順調だったそうです。
ですが、彼女には一つだけ不満がありました。それは夫・Hさんの存在です。
2年ほどお付き合いしたのちにゴールインしましたが、カップル時代からずっと気になっていた部分をあえて触れずにいた結果……。ついに離婚問題にまで発展してしまったとか。
ことみさんとHさんの間には何があったのでしょう。幸せな日々の裏には夫婦間における悩ましい問題が潜んでいたのです。
◆夫との出会いは合コンで。温厚な雰囲気に惹かれたが……
ことみさんと旦那さんの出会いは知人が開催した合コン。騒がしい会場の隅にいたHさんに声を掛けたことがきっかけでお付き合いが始まりました。
彼はあまり飲み会が得意ではなく完全に数合わせで来ていたそう。ことみさんも目ぼしい相手がおらず、Hさんに声を掛けたのもあまり深い意味はなかったとか(笑)。なので、カップル成立は本人たちも予想外の出来事だったのです。
「当時、私は28歳でしたが彼氏もおらず、結婚願望が強かったのでひたすら焦っていました。あちこちの合コンやパーティに参加したけど全然ピンと来る相手もいないし、付き合えてもすぐに終わったりとか。そんな中、何気なく話しかけたダンナと予想外にも意気投合。周りからも“まさか付き合うなんて”と驚かれましたよ。
自分の好きなタイプとは真逆だったけど変にギラギラしていないし、穏やかそうだったから徐々に惹かれていった感じ。家庭を築くなら平凡な男性がいいのかな、なんて思ったんです」
ことみさんは今まで“ハイスぺ系男子”を好んでいたようですが、結婚相手には安定感のあるタイプを選択。感情的ではなく、自己主張も強すぎないHさんとの時間を居心地よく感じていました。
けれども彼の欠点はあまり言葉の表現が上手でないこと。ハッキリと物を言うことみさんとは真逆の性格で、度々違和感を覚える機会が増えていったようで……。
◆「肌荒れてない?」「まぁわかってたけど」余計な一言が多い夫にイラッ
「言葉足らずか、余計な一言が多いか。ダンナはとにかく間がないんです」と語ることみさん。
付き合いたてから彼の発言が度々引っかかったものの、悪意はまったく感じられません。“性格によるものだから厳しく注意をしても仕方がない”と割り切り、疑問に思った点をことごとくスルーしてしまいました。
指摘しなかった理由は出会いも少なく結婚願望が強かったため、せっかく付き合えたHさんを逃したくない気持ちが強かったから。結婚のために少しの我慢は必要だと自分に言い聞かせ、嫌な思いをしてもグッと喉の奥へ突き返す日々が続きます。
Hさんは「肌荒れてない?」とわざわざ指摘してくるほかに、靴下の脱ぎっぱなしを注意れた時に「まぁわかってたけどさー。とりあえずごめんね」と返答したとか。
過去の恋愛トークをした時に「“意外と”昔は出会いがあったんだね」と言われた時はさすがにことみさんも怒ったそう。けれども彼はポカンとしていて、失言に気付いていない様子でした。
悪意を込めた発言ではないことを考慮して怒りを鎮めましたが、時間と共に余計な一言を流せなくなっていくのです。
◆積もり積もったイライラが爆発して離婚寸前に
結婚からしばらくして、ことみさんは度々夫にキレるようになりました。案の定Hさんの余計な一言が原因となり、喧嘩へ発展する回数が一気に増えたのです。
自分は家事をほとんどしないのに「掃除、行き届いてなくない?」と言ったり、「“思ったより”大雑把なとこあるよね」とケラケラ笑ったり、ご近所付き合いを盛んにしていると「いいんじゃない。まぁ僕はお隣さんちょっとニガテだから仲良くしたくはないけど」と言わなくてもいい一言を付け加えられたり。
カチンとくる度に怒りが抑えられず、結婚3年目で雲行きが怪しい状態に……。関係の崩壊が危ぶまれる中タイミングよく妊娠が発覚。娘の誕生をきっかけにもつれた糸がほどけ始め、夫婦としての再スタートを切りました。
しかし、安堵したのも束の間。仕事に育児に忙殺される日々ですから、ことみさんは精神的に余裕がなくなってしまいます。慌ただしい毎日を送り、休む暇もなかったため、何気なく発したHさんの言葉を無視することができませんでした。
「〇〇(娘)ちゃんはパッチリ一重だねー。パパは二重だから、ママに似たのかな?」
子どもをあやす際に聞こえた声――。わざわざ言わなくてもいいことを口にする夫に彼女はブチギレ! 今までの不満や怒りが大爆発した瞬間です。
「向こうは何のつもりもなく言ったんでしょうけど過去の蓄積分もあるし、なんだかマウントを取っているみたいで妙にムカついて……。心が狭いかもと思いながら、つい声を荒らげて怒鳴ってしまいました。ダンナもビックリして“何だよ”みたいに反論してきましたが気持ちが鎮まらなくて。本当に心の余裕がなかったから、あの頃は些細なことでも妙にイライラしたんです。
この一言をきっかけに、娘を連れて勢いで実家に帰省。両親は優しくて“気が済むまでウチにいなさい”と声を掛けてくれましたが、頭の中では離婚の二文字がぐるぐると巡っていましたね……。今後も彼と生活できる自信がありませんでした」
◆家出の末に和解。しかし、夫婦間にできた溝は修復できず
DVや浮気など分かりやすい事件ではないものの、小さなストレスが積もり積もればいずれは大きな問題へ発展するでしょう。Hさんの発言はことみさんにとって納得がいくものではありませんでしたが、娘のことを思うと離婚に踏み切れません。
それに、不満について指摘してこなかったのです。実家から戻ったあとは話し合いの場を設け、何とか離婚を免れました。
ブチギレ家出事件が発生して以来、夫の失言は減ったそうですが……。実は根本解決をしていないそう。Hさんは家であまり話さなくなり、決して夫婦仲が修復したとは言えない状況なんだとか。
「私がブチギレてからダンナはちょっとビクビクしているんです。何か言ったら怒られるとでも思ってるのか、会話は明らかに減りました。このゼロか、100かっていう極端なところも未だにムカついてしまいます。
今の時点では離婚の予定はないですが、先のことはちょっとわからないかも。娘はかわいいし、結婚そのものに後悔はしてないですが、相手選びはもっと慎重にいけばよかったかな……。行き急いだあまり心の引っかかりを無視した自分にも非があると思ってます」
「今でもキレた私が悪かったのかな、と考えてしまう時がありますね」と、過去の出来事を悔やむことみさん。
いずれはHさんが妻の激怒した理由を理解すれば、夫婦関係の修復が望めるかもしれません。ですが、話を聞く限りで彼はちょっぴり逃げ腰。お互いが真っすぐ向き合う姿勢がないと、今すぐの改善は難しいと感じました。
人生共に歩むことを決めた2人に幸福が待っているよう、ただ祈るばかりです。
<文/たかなし亜妖>
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。業界卒業後は一般企業へ入社。ゲーム制作に携わった過去を持つ。好きな物は漫画、アニメ、映画、美容、占い。そろそろ顔面課金額が数百万円を超えるとか。日刊SPA!等多方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya