「疲れがたまってくると、唇の周りに小さな水ぶくれができてしまう……」そんな経験をしたことがある人も、多いのではないでしょうか。
それは「口唇ヘルペス」で、ストレスや疲れなどによる免疫力の低下が引き金となり発症します。
今回は、「口唇ヘルペス」の原因や受診の目安、対処法などをお伝えします。
1.口唇ヘルペスとは?


口唇ヘルペスとは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症で、唇の周りに水ぶくれができる病気です。風邪などで発熱した後に出やすいので、「熱の華」「風邪の華」と呼ばれることもあります。
子ども時代にすでに感染している人が多く、一度感染すればヘルペスウイルスが神経細胞内に潜み続けます。
口唇ヘルペスの原因となるのが免疫力の低下。20~30代の女性は、睡眠不足や過度のストレス、ホルモンバランスの変化などから免疫力の低下を招きやすく、潜んでいたウイルスが再び活発化して再発を繰り返してしまいがちです。
また、夏はとくに、強い紫外線の刺激によっても発症しやすくなるため、注意が必要です。
2.口唇ヘルペスの症状

口唇ヘルペスの症状は、時間とともに変化します。
<口唇ヘルペスの症状経過>
(1) 前駆症状期:唇にピリピリ、チクチクする感じがある
(2) 発症時期:前駆症状から半日で、局所が赤く腫れる。患部のウイルス増殖が活発になる
(3) 水疱形成期:1~3日後に水ぶくれができる。水疱の中にはウイルスがたくさん存在するため、水疱が破れて別の箇所に接触するとそこにも感染する
(4) 回復期:かさぶたができて治っていく
前駆症状から回復までは、5日~2週間程度かかります。
3.口唇ヘルペスを早く治すには?

「ピリピリ、チクチクする」「再発するたびにつらい」「見た目が気になるし、周囲の人へ感染させないように気を使う」など、口唇ヘルペスにかかると憂うつになりますよね。
周囲の人々への感染を防ぎ、早く治すために、3つの対処法をご紹介します。
3-1.抗ウイルス薬を使用する
通常、1~2週間で症状は自然に消えますが、重症化したり再発を繰り返したりすると、水疱がただれて痕が残ることもあります。そのため、口唇ヘルペスが疑われる場合は速やかに医療機関(皮膚科)を受診し、抗ウイルス薬の内服薬または塗り薬を処方してもらうことが重要です。
また、過去に口唇ヘルペスと診断を受けたことがある人に限り、ドラッグストアで販売されている市販の抗ウイルス外用薬を使うことができます。
3-2.疲れやストレスをためない
疲れやストレスによって免疫力が低下すると、口唇ヘルペスが重症化しやすくなるため、体調管理は重要です。バランスのよい食事と十分な休息をとり、規則正しい生活を心がけましょう。
また、体調がすぐれないときは、強い紫外線を浴びる屋外での活動を控えるように気をつけてください。
3-3.患部を保護する
水疱の中には、たくさんのウイルスが存在しているので、潰れると他の箇所に広がったり人にうつしたりしてしまうことがあります。そのため、患部は触れないように気をつけてください。マスクをする際は、水疱が潰れてしまわないように患部をカーゼで保護しましょう。
スキンケアやメイクを行う場合も、患部を刺激しないように注意してください。ただし、紫外線や乾燥によるダメージを防ぐために、刺激の少ない薬用リップクリームを使用することは可能です。
また、回復期はかさぶたができて見た目などが気になりますが、かさぶたを無理に取ると、傷痕が残る可能性があるので取らないようにしてください。
4.口唇ヘルペス対策には漢方もおすすめ

抗ウイルス薬を使用したり体調管理をしたりするなど、口唇ヘルペスを早く治す方法をお伝えしましたが、再発を繰り返す人には根本的な体質改善を目指す漢方薬の服用もおすすめです。
口唇ヘルペスの原因は、過労やストレスによる免疫力や体力の低下、睡眠不足、紫外線の刺激などが挙げられます。
口唇ヘルペスの対策には
● 血流を改善し、全身に栄養を与え、免疫力を高める
● 自律神経の乱れを整えて、睡眠の質を高める
● ホルモンバランスを整えて、免疫力の低下を防ぐ
● 消化・吸収機能をよくして免疫力や抵抗力を高める
といった働きをもつ漢方薬を選びます。
漢方薬は、西洋薬のような対症療法ではなく根本からの体質改善が目指せるので、口唇ヘルペスを再発しにくいからだを手に入れることもできます。
<口唇ヘルペス対策におすすめの漢方薬>
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の機能が衰えて、疲れやすい人に。
気(エネルギー)を補い、胃腸の働きを改善して、疲れを取り除き気力を高めます。全身倦怠感、病後術後の体力の低下、風邪などに用いられます。
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
体力がなく、貧血気味で冷え性の人に。
気(エネルギー)と血(栄養)を補い、血行をよくし、貧血や体力低下を改善します。疲労倦怠感、寝汗、手足の冷え、貧血や咳などに用いられます。
漢方薬は飲むだけなので簡単に取り入れることができますが、服用する際は体質に合ったものを選びましょう。自己判断での服用は効果が出にくいばかりか、副作用が生じる恐れもあります。
ただ、自然の生薬で構成される漢方薬は本来、副作用が出にくく、体質に合えば大きな効果が期待できるものです。服用前には漢方に詳しい医者や薬剤師に相談することをおすすめします。
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<この記事を書いた人>

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。