Photo: Shutterstock.com モバイルエコシステムにメス…。
バイデン政権がいま目をつけているのは、モバイルアプリのプラットフォーム。Apple(アップル)やGoogle(グーグル)などがアプリストアの門番になってしまっている流れをどうにかしたいと考えているようです。
米商務省の電気通信情報庁(NTIA)が公開した
報告書 には、現在のモバイルアプリストアのあり方は「消費者と開発者に有害」であると書かれています。NTIAが求めるのは、「Appleにアプリストアを解放させること」「Apple・Googleの両社の開発者に対するハードルを下げさせること」。
NTIAが問題視しているのは、Android・iOSの両プラットフォームにおいて、公式アプリストア以外では消費者がアプリをかんたんに手に入れられないという現状です。
・自分が使うデフォルトアプリは自分で決めることができるべき
・他のモバイルアプリストアを使えるべき
・プリインストールされたアプリを消去・隠すことができるべき
というのが、NTIAの求める姿です。
報告書では「アプリストア運営側は、自社アプリを優先するような反競争的な態度でいるべきではない」と、両社のやり方を暗に批判しています。
Androidは、NTIAの求めることの一部はクリア デフォルトのモバイルブラウザとランチャーアプリは、Google Play StoreにアクセスできるAndroid端末ならば、どのメーカーであってもユーザーが選ぶことができます。フリー&オープンソースのアプリがダウンロードできるアプリストア
F-Droid など、Google公式ストア以外も利用できます。ただ、
Android App Bundle が導入され、Andrroid最新版ではそれもちょっと難しくなってきているのですが…。非GoogleのAndroid端末、例えばSamsungのOneUIなら、プリインストールアプリを消去したり、無効化することも可能。
一方、iPhoneでは自由度はかなり低い iOS 14で「App Drawer」という機能が追加されたので、使わないプリインストールアプリは目につかないとこにおきたい人はこれを使っているのかな。ただ、消費者がプリインストールアプリを自由に消去できるというNTIAの求める姿とは異なります。
そもそも、iOSではApple公式のアプリストア以外でアプリをダウンロードするハードルがかなり高い。ほぼ無理。厳密には脱獄さえしちゃえばできるのですが、そうなると端末の保証が外れてしまい、もしもの時にジーニアスバーで修理などの対応が受けられなくなります。ただ、デフォルトブラウザは選択可能。また、パソコンからなら、
AltStore など他のアプリストアにアクセスすることもできます。
その他、NTIAはプラットフォーム経由のアプリ内課金制限にも物申しています。『フォートナイト』のような人気ゲームに独自決済システムを認めるべきというのがNTIAの意見。現在、AppleもGoogleもアプリストアを介した課金システムを必須条件としており、その課金の一部はAppleやGoogleの取り分となっています。が、それこそがサードパーティからの反発が大きい最大の理由。課金システムについては、Epic対Googleの争いが最たる例ですね。
バイデン政権は、2021年、NTIAに対してモバイルアプリ市場の調査を依頼。今回NTIAが出したはその調査を経ての結論。
調査依頼当時 から、GAFAMだけではなく、通信企業や製薬企業にまでメスが入るのではと危惧(期待)していましたが、いよいよですね。
NTIA報告書が公開されてから、もちろんAppleもGoogleもこれに異論を唱えています。Googleは、
Bloombergの取材 にて「この報告書でのAndroidの特徴づけには賛成できない。Androidは他のモバイルOSと比べ、どこよりも選択肢と競争力の高いプラットフォームである」と反論。Appleは、
Ars Technicaの取材 にて「アプリストアで最も人気があるのはサードパーティ製のアプリであり、何百万というアプリを含む強固なアプリエコノミーに貢献し、何十万という米国の雇用を支えている」と反論しています。