Image: 産総研広報/Youtube レーザーポインターの光も消えるって。
たとえば世界一黒いアクリル塗料「黒色無双」は99.2%の光を吸収し、「BMW X6」に塗った真っ黒い塗料「Vantablack(ベンタブラック)」は、可視光の最大99.965%を吸収するなど、近年はとにかく黒さを追求した塗料が世に出回っています。
塗料より黒いシート誕生
今度は日本最大級の公的研究機関、産総研が「
至高の暗黒シート」なるシート状の真っ黒素材を開発。
可視光の99.98%以上を吸収するとのことで、上記の2種より高い吸収率に到達しました。2019年に作られた「暗黒シート」は99.5 %以上の光を吸収しましたが、それを超えてきたワケです。
版画のような作り方
表面を超拡大してみると、まるで針山地獄のよう。
この「至高の暗黒シート」、凹版や凸版を使った伝統的な版画とソックリな工程を踏んでいます。
Image: 産総研 まず、高エネルギーのイオンビーム照射と化学エッチングで、微細な円錐状のギザギザのある原版を作成した後、シリコーン樹脂液で原版の凸凹を反転させた型を作ります。
その後、散乱反射が少ないカシューオイル黒色樹脂に型を押し付け、剥がすと「至高の暗黒シート」が完成します。
ギザギザの高さは数十マイクロメートル。その斜面はナノレベルの滑らかさとのことで、ギザギザの隙間に入った光は散乱しにくい上、カシューオイルの効果で反射光として外に出られません。こうやって至高の黒さが生まれているんですね。
レーザーポインターの光を当てると、この通りです。
また、指で触ったくらいでは機能が損なわれることもありません。
従来の黒い素材は、この程度で機能が低下するほど脆かったのですが、「至高の暗黒シート」は触っても大丈夫。つまり使いやすいので、いろんな物に利用ができます。
何に使われるんだろう?
まだコレといった用途はないようですが、物撮りの背景や寝室のカーテンは序の口。金沢21世紀美術館にあるような、
芸術作品などに使っても面白いでしょうね。
Source: YouTube (
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産総研 via
知財図鑑,
21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa