人は見た目だけでは判断できないもの。パッと見で「めっちゃ好みのタイプ!」と好印象だった異性でも、知れば知るほど嫌いになってしまうこともあるようです。
◆好みにドンピシャの先輩
高崎美沙さん(26歳/仮名)は、新しい会社に転職したばかり。そこで出会った先輩のアキトさん(29歳/仮名)は、綾野剛に似た塩顔のイケメンで、美沙さんの好みにドンピシャだったと言います。
「その時は彼氏募集中だったこともあって、『運命の出会いかも!』と期待しました。あまりにも見た目が好みだったので…」
ふたりが仕事で接する機会はあまりなかったものの、気がつくと美沙さんはアキトさんを目で追っていたんだとか。
◆飲み会で隣の席に!
入社してほどなく、歓迎会の意味も込めた飲み会が開催されました。そこで美沙さんとアキトさんは隣の席になります。
「居酒屋に着くとササっとみんな着席して、先輩の隣が自然と空いていました。狙った訳ではないんですが、『ラッキー!』と思ってそこに座りました」
アキトさんはいつもミステリアスな雰囲気を漂わせており、おしゃべりというタイプではなさそうだったと言います。
「とりあえず、普通の会話をしていました。『先輩、何飲みますか?』とか『苦手な食べ物あります?』とか、主に私から質問して先輩が答えるという感じでしたね」
◆「彼女いますか?」に驚きの回答
お酒が回ってくると徐々に恋愛面に話が及びました。美沙さんはまわりから「彼氏いないの?」と聞かれ、「いないんですよ~」と回答。
「それからまわりの先輩の恋愛の話になったんです。この流れでリサーチしちゃおうと思って、『アキトさんは彼女いるんですか?』って聞いたんです」
すると、先輩から「俺はいるんだ。ごめんね」と真面目なトーンで言われた美沙さん。「えっ?」と頭の中にクエスチョンマークが。
◆変な空気に
アキトさんの回答に、まわりも一瞬無言になり、変な空気になってしまいました。
「確かにカッコいいなと思ってはいたものの、『好きとか付き合ってとか一言も言ってないんだけど…!?』ってびっくりしました。それにまわりの変な沈黙がいたたまれなくて…。まるで私がずっとアプローチしていたみたいじゃないですか!その日初めてまともに会話したのに…」
機転を利かせたまわりの先輩が話を変えてくれて、変な空気はなんとかかき消されたと言います。
「でも、それ以降ずっとモヤモヤしてしまって…、『いや、普通そんな風に言う?いくら気がありそうに見えたとしても…そんなに先回りして言う?』って思って。その後は飲み会を全然楽しめませんでした…」
◆噂でフラれたことになっていた
そんな飲み会からしばらく経ったある日、仲良くなった同僚の女性から「美沙ちゃんってアキトさんのこと好きだったの?」と聞かれます。
「驚いて『えっ!?そんなことないですけど…?』って答えたら、『なんかアキトさんがそんなことを言ってたから…』って言われて。」
詳しく話を聞くと「飲み会でも隣に座ってきて、彼女がいるか聞いてきた。可哀想だけど断った」とまわりに吹聴していたんだとか。
「びっくりして、ことの経緯を話すと同僚は『美沙ちゃん可愛いから、モテたことにして自慢したかったんじゃない?彼、変なとこあるから気にしない方がいいよ』と言ってくれました」
◆知れば知るほど幻滅
モテ自慢に使われて、もはや先輩には嫌悪感しかなくなった美沙さん。
「先輩は特に仕事熱心な訳でもなく、見た目だけには気を使う人みたいでした。口数が少なくミステリアスな雰囲気でしたが、仕事中もそうなので、『仕事ができないだけ?』って感じに見えてきました」
先輩はよくモテ自慢をするクセがあるため、あまり男性社員たちにもよく思われていなかった様子。
「見た目だけで、ちょっとでも『いいな』と思ってしまった自分が恥ずかしいです」
その後、数ヶ月してアキトさんは他の部署へ異動になりました。美沙さんは会わなくなってせいせいしたとのことです。
<文/まなたろう>
【まなたろう】
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。