今年こそ“やせ体質”に。空腹もツラい運動もガマンしない方法を、医師が教えます

女子SPA!

年末年始に食べ過ぎて、「今年こそダイエット」と決意するけど続かない。毎年これを繰り返している気がします……。

ダイエットは、食事制限で摂るカロリーを減らすか、運動して使うカロリーを増やす、この二択しかない――と思いがち。ですが、人体はもう少し複雑なようです。

「自律神経と腸内環境が整うと太りにくくなります。『まさか!』と思うかもしれませんが、本当です」と言うのは、自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)。

たしかに、ちゃんと食べて、特別な運動もしていなのに、太りにくい“やせ体質”の人っていますよね。あれは自律神経や腸内環境と関係があるのか……?

小林先生と、腸活女王・加治ひとみさん(アーティスト、モデル)の共著書『かぢ習慣 自律神経と腸活で「なりたい自分」に』には、その“やせ体質”になるメカニズムが解説されています(以下、同書から小林先生の解説を抜粋)。

◆いま注目の「短鎖脂肪酸」を大腸内で増やすと太りにくい

<自律神経と腸内環境が整うと、なぜ太りにくくなるのでしょうか。

それには、「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」が大きく関係してきます。短鎖脂肪酸は大腸の腸内細菌が作る、体に役立つ酸のことで、いくつかの種類が発見されています。

そのうち、プロピオン酸と酪酸(らくさん)は体の脂肪細胞のセンサーに、「これ以上、脂肪を取り込むな」という指令を出します。脂肪細胞はその命令を受けて、脂肪の取り込みを抑えるので、太りにくくなるのです。

同時にプロピオン酸と酪酸は交感神経にも働きかけるので、心拍数や体温といった基礎代謝が上がります。すると消費カロリーが増え、太りにくくなるわけです。

さらに、短鎖脂肪酸は腸管ホルモンの分泌を促します。満腹感が続くので、食べすぎを防ぐことができます。

トリプル効果でやせ体質になるのです。

◆どうすれば短鎖脂肪酸が増えるの?

ちなみに、短鎖脂肪酸には免疫力を高める働きもあります。短鎖脂肪酸が大腸で作られると、腸の活動が活発になります。腸の粘膜のバリア機能が高まり、細菌や病原菌をブロック。さらに免疫細胞を増やして、アレルギーを改善してくれます。

短鎖脂肪酸は大腸内の細菌が作るものですから、残念ながら、短鎖脂肪酸そのものを食べ物から摂ることはできません。腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維(海藻や大麦など)やオリゴ糖を摂って、善玉菌を増やしましょう。また、ビフィズス菌入りの食品や、酪酸菌のサプリメントを摂るのも、ひとつの方法です。>

小林先生の解説をもとに、具体的に何を食べればいいのか、ここでもう少し詳しく解説してみます。短鎖脂肪酸は大腸で作られるので、通常の腸活に加えて「大腸」にいいものを意識してみましょう。

◆大腸の善玉菌が入った食べ物

・ビフィズス菌……乳酸菌の多くが小腸にいるのに対して、大腸の善玉菌といえばビフィズス菌が代表格(乳酸菌の一種という見方と、別物という見方がありますが)。

ビフィズス菌は酸素に弱いので、含まれている食物は多くなく、ビフィズス菌入りのヨーグルトやサプリメントが効率的でしょう。

・酪酸菌……最近大注目の善玉菌。これも酸素に弱く、食品だとぬか漬けや臭豆腐ぐらいしか含まれていないそうです(ぬか床の底の強いニオイは、酪酸菌発酵のニオイなんですね)。摂るなら、ぬか漬けやサプリメントですが、むしろ下記の食べ物で、腸内にある酪酸菌を増やすほうがいいかも。

◆大腸の善玉菌のエサになる食べ物

・フラクトオリゴ糖……オリゴ糖の中でも、フラクトオリゴ糖はビフィズス菌や酪酸菌のエサとなって、これらの菌を増やしてくれます。玉ねぎ、ごぼう、トマト、バナナなどに含まれますが、シロップ状のものなら砂糖代わりに使えて楽チン。

・その他の水溶性食物繊維……大麦、オートミール、海藻、納豆、ごぼうなどに多く含まれます。腸活全般で大切な、善玉菌のエサになります。

短鎖脂肪酸を増やすダイエットは、まさに「食事は制限するのでなく、管理するもの」(by加治ひとみさん)を実践すること。

でも私たちは、もっと手っ取り早く、食事を減らして空腹をがまんするダイエットに走りがちです。それには、どんなデメリットがあるのでしょう?再び、『かぢ習慣 自律神経と腸活で「なりたい自分」に』から小林先生の解説を紹介します。

◆食べないダイエットは、自律神経が乱れて逆効果

<ダイエットのために食事制限をしている人は多いでしょう。太ってしまう最大の原因は食べすぎと運動不足ですから、摂取カロリーが極端に多いなど、食べる量をセーブすべきケースはあります。しかし、医師としてはあまりにも極端なダイエットは推奨できません。

断食や食事を抜くダイエットは、一時的に体重を落とすことができるかもしれません。しかし、脂肪が落ちているわけではありません。食事を抜くことで腸が動かなくなるので、自律神経のバランスが乱れて、むしろ太りやすい体質になってしまいます。

◆極端な糖質オフは、メンタルにも悪影響

ブームになった糖質オフダイエットにもデメリットがあります。糖質は生きていくのに欠かせない栄養素で、1日に170グラムが必要だと言われています。そのうち、120~150グラムが脳で消費され、残りは全身に酸素を運ぶ赤血球や筋肉のエネルギー源になっています。

ご飯をいっさい食べない、サラダばかり……といった極端な糖質オフは、思考力が低下したりイライラにつながります。めまいや頭痛といった症状が出てしまうこともあります。

また、糖質が足りなくなると、体の中で必要な栄養素を吸収するのに欠かせない「グリコーゲン」が不足します。すると、グリコーゲンを補おうと、肝臓が無理をしてしまい、大きな負担をかけることになります。

これらのダイエットに対して、1日3食を食べてきちんと栄養を摂る“腸活ダイエット”に、デメリットはいっさいありません。実際、私がやっている便秘外来にいらした患者さんの中には、腸内環境を整えたことで、自然に5~10キロ減ったという人は数えきれないほどいるのです。>

<小林弘幸 文/女子SPA!編集部 著者撮影/武田敏将>

【女子SPA!編集部】

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