銀河帝国軍の ”常勝の天才” ラインハルト・フォン・ローエングラム、そして自由惑星同盟軍の ”不敗の魔術士” ヤン・ウェンリーという二人の希代の英雄を軸に、銀河を分ける二大勢力の興亡を描いた田中芳樹の傑作スペースオペラ『銀河英雄伝説』刊行40周年を記念して、劇場アニメ『銀河英雄伝説 わが征くは星の大海』、『銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア)』4Kリマスター版が12月30日より順次劇場公開される。
公開に先駆けて、2作品のイッキ見イベントが12月19日、新宿ピカデリーで開催された。イベントではラインハルト役の堀川りょうさん、ダスティ・アッテンボロー役の井上和彦さん、オリビエ・ポプラン役の古川登志夫さんが登壇するスペシャルトークセッションが併せて開催、貴重なエピソードが次々と披露された。
>>>銀河 ”声優” 伝説に酔う!豪華トークセッションの様子と『銀英伝』4Kリマスター場面カットを見る(写真18点)
観客と一緒に『わが征くは星の大海』を鑑賞したという堀川さんは「胸が熱くなりました。何回観てもいいなって思います」と感慨深げに上映の感想を語り、井上さんは「4Kリマスターで観ていただけるとは……こんな時代が来るとは思いませんでした」と美しい映像でよみがえった『銀英伝』に喜びの笑顔を見せていた。
「くたばれ! カイザー・ラインハルト!」と作中の名ゼリフを披露した古川さんは、ポプランらが着ていた同盟軍軍服のコーディネートで大きな注目を集めていた。
ここで今回のイベント開催を祝しての乾杯が行われ、音頭をとった堀川さんの「大神オーディンの恩恵、卿に多からんことを。プロージット!(乾杯)」というの掛け声と共にキャスト全員でグラスを高く上げると、座席のファンも揃ってエア乾杯でそれに唱和した。

トークセッションは「『銀河英雄伝説』もしも二択クイズ」からスタート。堀川さんは「もし一日だけラインハルトとヤンどちらかになれるとしたら?」と「ラインハルトとヤン、どちらかの部下になるなら?」という2つの質問に対し、全員がヤンと回答。堀川さんはラインハルトを選ばなかった理由を「別の人生を歩みたいと思って」「(ラインハルトには)完璧を求められそうで怖い……ヤンの方が優しいもんね」とそれぞれ明かしていた。
また「一緒にお酒を飲めるならアッテンボローとポプランのどちら?」の質問に、古川さんは「紳士的な優しい和彦の声で語られたらゾクゾクってしそうなので」とアッテンボローを選択、井上さんも「僕も古川さんの声で飲みたい」と、お互い嬉しそうな笑顔を見せていた。
続いては、アニメシリーズ当時の思い出トークに。
堀川さんが『銀英伝』への出演が決まったのは『夢戦士ウイングマン』広野健太役でデビューしてからまだ数年の新人時代。キャスト陣の中ではキルヒアイス役の広中雅志さんと共に最若手での参加だったという。
ラインハルトを演じたことについては「当時はホントにもうただ単にストーリーの中でキャラクターを生きるということしか考えてなかったので。役の気持ちでしゃべってるだけだから、結果的にどんな声になってるかっていうのは……」となかなか自分で演技の評価を口に出せない様子。そんな堀川さんに古川さんが「本当、カッコ良かったよね。ラインハルト。あんな役やりたいなって思っていた」とうらやましそうに語り「正直言いなさいよ、『(自分は)いい声だな』って(笑)」と温かなツッコミを入れて場を和ませた。
アッテンボローを演じた井上さんは、当時『美味しんぼ』の山岡士郎役と並行したとのことで「片方で『この味は……』って言いながら、もう片方で『俺たちは伊達や酔狂で』って言ってたんだよね」と笑いながら、「脂がのりきってる先輩がいっぱいいて、若い人もいっぱいいて、その間に入ってホントに一番楽しい時期でした」と当時の現場の熱気を振り返った。
特に当時数々のナレーションで活躍していた古川さんの声に「しびれまくっていました」と懐かしそうに語ってくれたところ、古川さんは当時井上さんが演じていた『サイボーグ009』の島村ジョー役のオーディションに落ちたことを明かし「神谷明さんと井上和彦さんに負けるのは悔しかった」と告白。
それを受けて、井上さんは「僕は水島裕さんと三ツ矢雄二さんに負けるのが嫌でした」と返して笑いを誘いながら「先輩にこんなにもライバル心をもってもらえるなんて幸せな後輩ですよね」と改めて古川さんに感謝の思いを伝え、アッテンボローの演技については「古川さんの演技のエキスを盗んだりしてますよ……今言いますけど」と、その影響も明らかにした。
続いてのトークは、ヤン・ウェンリー役を演じた富山敬さんの話題へ。
堀川さんは「『夢戦士ウイングマン』でライバル役(キータクラー)を演じてくださいました。非常に寡黙な方で、いつも後ろの方に座って見守ってくれていた印象があります」と新人時代の思い出を語った。
「富山敬さんの話をするなら5時間ぐらいもらえますか?」と語る井上さんは、『キャンディ キャンディ』『グランプリの鷹』など数多くの作品で共演し、食事や地方イベントで一緒の時間を過ごしたなど、公私ともに親密だった関係を振り返る。
さらに、富山さんのサインのカッコ良さに憧れて、自分のサインを富山さん風に改良して本人にも確認してもらい、今でもそれを書いているという。
「富山敬さんの追っかけだったんですよ」と語る古川さんは、着てるものから眼鏡まで同じようなものを買ってそれを身につけていたほどに大ファンであったそうだ。
「富山さんのようなリズミカルで軽妙なセリフを何とか喋れないかと努力をしていたせいで、軽妙なセリフの役ばっかりになってしまった」と苦笑しながら、偉大なる先輩への憧れと影響を明らかにした。

貴重な『銀英伝』グッズが当たる抽選会が終わると、楽しいトークセッションもついにフィナーレへ。
堀川さんは「これからもずっと、ジェネレーションを越えて『銀河英雄伝説』の感動を伝えていけたら素敵なことだなと思っています。これからも『銀英伝』を可愛がってやってください。よろしくお願いします」と想いを込めて挨拶。
井上さんも「自宅で独り観ていた作品を、こんなに大きなスクリーンでたくさんの方と一緒に観られるのはとても幸せなことなんだと思います。30数年前に作られたこの作品がいまだに皆さまに愛されているだけでなく、年とともに違う発見がたくさんあります。これからも末永く何度も観返して『銀河 ”声優” 伝説』を愛してください」と作品への愛を語った。
そして最後に古川さんが「田中芳樹先生ご生誕70周年、そして原作刊行40周年本当におめでとうございます。4Kリマスターということで素晴らしいクオリティでまたもう一度観られるというのは、この作品に参加させていただいた一人として嬉しく思います。多様なコンテンツとして展開を続けていく作品だと思いますので、これからも応援していきたいですし、皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思います」と締めくくり、『銀英伝』ファン感動のイベントは幕を閉じた。
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