「本職は…人間だ!」岡本太郎の強烈なアートと言葉が刺さりまくる『展覧会 岡本太郎』鑑賞レポ

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大阪万博のシンボル《太陽の塔》や渋谷駅のパブリックアート《明日の神話》、さらに「芸術は爆発だ」など多くのアートや名言で知られる岡本太郎。彼の大回顧展が、上野の東京都美術館で開かれています。カラフルでパワフルな会場の様子や東京展での見どころなど、学芸員さんの話もまじえてレポートします!
■ 「本職は人間!」岡本太郎のすべてを紹介

【女子的アートナビ】vol. 272

『展覧会 岡本太郎』では、今なお人気を誇り、特に若い世代にも愛されている芸術家、岡本太郎(1911-1996)の絵画や立体作品、生活用品なども含め、初期から絶筆までの多彩な作品が一堂に集結。亡くなるまでアートを描き続けた彼の人生のすべてを紹介する、過去最大規模の展覧会です。

この展覧会のポスターやチラシには、「本職? 人間だ。」という文字が大きくプリントされています。これは、アート制作だけでなく、本の執筆やプロダクト製造、テレビ出演などさまざまな活動をしていた岡本が、「本職は何か」と問われたとき、「人間――全存在として猛烈に生きる人間」と答えた言葉からとられたもの。本展では、猛烈に生き抜いた彼の人生を、作品を通してガッツリ体感できます。

■ 作品とぶつかり合う…!

『展覧会 岡本太郎』展示風景

では、展示の様子をご紹介。

会場の入り口を抜けるとすぐに、強烈な作品群に囲まれます。最初のフロアでは、初期から晩年までの代表作が集められています。

本展を担当された東京都美術館学芸員の藪前知子さんによると、岡本太郎は「常に現在と自分の作品をどうぶつけるか、どう対峙するかと考えていた」とのこと。最初の展示室では、時代やテーマにしばられずに作品が並べられ、作品同士がぶつかり合う構成で順路もありません。まず、ここで岡本太郎の作品との強烈な出合いを味わえます。

■ パリ時代の謎が明らかに…

『展覧会 岡本太郎』展示風景

続く第1章からは、時系列に作品が紹介されています。

1929年、家族でヨーロッパに渡った岡本は、その後ひとりでパリに残り芸術家を目指します。大学で学問を学びながら、絵画を制作。しかしドイツ軍がパリに侵攻し、やむなく帰国します。

その後、徴兵されて出征し、終戦後は長安で俘虜生活を送った後、1946年から活動を再開。20代のときにパリで描いた作品は戦時中に焼失していたため、岡本は戦後すぐに自身で再制作しました。

今回の展覧会では、パリ時代の貴重な再制作作品4点すべてを展示。今まで、明らかにされていなかったパリでの創作活動を知ることができ、本展の見どころとなっています。

■ ドキドキ…! 坐ることを拒否する椅子

『展覧会 岡本太郎』展示風景

第4章「大衆の中の芸術」では、油彩画だけでなく、椅子や時計、ネクタイなどのプロダクトも登場。カラフルでかわいいグッズが展示され、ワクワクする展示室です。

1950年代になると、岡本は前衛的な新しい絵画を創作するのと並んで、外側への発信も開始。パブリックアートなども手がけるようになります。

『展覧会 岡本太郎』展示風景より《坐ることを拒否する椅子》

なかでも、目を引くのが《坐ることを拒否する椅子》。めちゃくちゃかわいいです! れっきとした作品ですが、座ってもいいそうです。大きな目玉の上に座るなんて、ドキドキします。

この章の作品について、藪前さんは次のように解説しています。

藪前さん 岡本太郎は、生涯作品を売りませんでした。なぜなら、売ったら一部の金持ちだけのものになってしまうから。「芸術は大衆のもの」という考えを持ち、1954年に立ち上げた現代芸術研究所で大衆に作品を広めていく方法を研究するいっぽうで、彼らが手に入れることができるようなプロダクトを作りました。ゆかたやネクタイ、スカーフなど、どれも岡本太郎の作品なのです。《坐ることを拒否する椅子》も、椅子はゆったりくつろぐものではなく、椅子そのものが人間に挑んでくるような雰囲気。椅子は、「戦いの連続である人生のちょっとした休息のためだけのもの」という彼らしいメッセージが込められています。

■ 超有名な作品も登場!

『展覧会 岡本太郎』展示風景

第5章では、岡本太郎の代表作、《太陽の塔》と《明日の神話》にフォーカス。

日本万国博覧会(大阪万博)のシンボル《太陽の塔》は、1/50サイズの立体作品と内部模型、さらに構想スケッチが展示されています。

いっぽう、《明日の神話》は、渋谷駅コンコースにあるパブリックアートの1/3サイズの下絵。岡本は、この2つの作品を同時並行的に制作していました。

渋谷駅で、《明日の神話》を目にしている方も多いと思いますが、作品に何が描かれているか、テーマまで知っている方は少ないかもしれません。

藪前さんは次のように解説しています。

藪前さん 《明日の神話》は、原爆と水爆をめぐる人類の関わりを描いています。人間の進歩に対して警鐘するかのように、ビキニ環礁での水爆実験で被ばくした第五福竜丸や、中心には原爆の火に焼かれている人間もいます。ただ、警鐘だけではなく、異なる力がぶつかり合うなかで悲劇を越えて人類が新しく生まれ変わるのだ、というメッセージも込められています。

■ 東京展は12月28日まで!

岡本太郎のエネルギーをたっぷり浴びられる展覧会は、12月28日まで開催。その後、愛知に巡回します。ぜひ会場で、彼の力強い作品と対峙してみてください。

■ Information

会期    :~12月28日(水) ※日時指定予約制休室日   :月曜日会場    :東京都美術館開室時間  :9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)       夜間開室金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)       ※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください観覧料  :一般¥1,900、大学・専門学校生¥1,300、65歳以上 ¥1,400

作品はすべてⒸ岡本太郎記念現代芸術振興財団

当記事はananwebの提供記事です。

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