Image: RR Auction 博物館級のレアピースではあるけれど。
オメガと宇宙との関係性は非常に深く、同社の代表モデルであるスピードマスターは、1965年にNASAに制式採用された実績があります。卓越した堅牢性、クロノグラフとしての機能性は、重要なミッションを遂行するときの相棒としてふさわしい存在。人類初の月面着陸ミッション時にも使われており(諸説あり)、宇宙マニアの間でも人気の高い時計です。
これがNASAの宇宙飛行士が実際に所有していた個体だと、プレミアム感もひとしおですよね。そんな時計がオークションに出品され、驚きの高額で落札されたことで話題になっています。
3つの宇宙計画に参加した唯一の飛行士
RRオークションで先月開催された「Space Exploration(宇宙探査)」というタイトルのオークションに出品されたのは、18Kイエローゴールドが目映いスピードマスター。これは1959年のアメリカによる初の有人飛行計画「マーキュリー計画」に参加したウォルター・M・シラー氏が所有していた時計です。シラー氏はマーキュリー計画以外に「ジェミニ計画」や「アポロ計画」にも参加した唯一の宇宙飛行士であり、300時間近い宇宙滞在時間を経験したNASAのレジェンド的な存在として知られています。
Image: RR Auction この時計は、1969年11月にヒューストンで開催された晩餐会で、その功績に敬意を表してオメガからシラー氏に贈呈されたものです。搭載キャリバーは861ですから、中身は第5世代スピードマスター プロフェッショナルですね。この個体のほかにも宇宙飛行士への贈呈用に合計26本の金無垢スピードマスターが用意され、シラー氏に贈られた個体にはメッセージに加えて、彼のフルネームと参加したミッション「MERCURY 8 - GEMINI 6 - APOLLO 7」が裏蓋に刻印されています。
コンディションも上々
この時計はシラー氏の死後に、宇宙コレクターとして知られるラリー・マクグリン氏が譲り受けました。シラー氏が紛失したオリジナルベゼルの代わりに1969年製のバーガンディベゼルが搭載されていますが、そのほかはほぼオリジナルコンディション。オメガ ミュージアムによる証明書と、シーラ氏の夫人による鑑定書が付属しています。
伝説の宇宙飛行士所有といういわくがありすぎるこの時計。25万ドルからスタートして、最終的な落札価格は…なんと190万6954ドル。日本円にして約2億6670万円! ここまでの金額は想像つかなかった…。
投機マネーの流入もあって高級時計が世界的な人気を集めている昨今、特にこうした1点もののメモラビリアは非常に価格が高騰しがちですが、今回のハンマープライスはインパクトありますね。しかし、この時計が次にまたオークションにかかったとしたら、おそらくは今回の落札価格を超えてくる可能性大です。あるところにはあるものですね…。
Source:
RR Auction