生音の高揚感、果てしない陶酔感……NewspeakとThe Novembersが大阪で対バン、関西のコンサートプロモーター・GREENSとイープラス共同企画

SPICE

『Newspeak × The Novembers』2022.10.30(SUN)大阪・梅田Shangri-La


10月30日(日)、大阪・梅田Shangri-Laにて、NewspeakとThe Novembersとの対バン企画が開催された。同企画は関西のコンサートプロモーター・GREENSとプレイガイドのイープラスが企画したもので、イベント開催の発表から、2組のバンドがどれだけ大きなスケールのライブパフォーマンスを見せてくれるのか注目が集まっていた。 

Newspeak

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トップバッターはNewspeakのステージから。2017年のバンド結成以来、枠に囚われないクオリティの高い楽曲で、大型フェスへの出演や海外アーティストのオープニングアクトへの抜擢、大手自動車メーカーのCMソングに楽曲が起用されるなど、多方面から注目を集めてきた彼ら。今年10月にメジャーデビューしたばかりだが、早耳な音楽ファンはすでに彼らの音にどっぷりとハマりこんでいるようで、久しぶりの大阪でのライブに開演前からソワソワした空気が感じられる。そういえば、彼らはGREENSが毎年夏に開催する、今年の野外ロックイベント『RUSH BALL』にも出演していた。『RUSH BALL』はいわゆる邦楽ロックフェスだけど、あの日の彼らの音楽はガッチリと「ラシュボ」ファンの心を掴んでいたように思う。邦楽や洋楽だとか、UKロックやインディロックだとか、国もジャンルも何の隔たりもない。ライブの楽しさを真正面から受け取ることの素晴らしさを体感させてくれた。そしてこの日、バンドはより進化した音でオーディエンスを魅了していく。
Newspeak
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ライブがスタートするやいなや会場の熱量がぐっと高まるのを感じる。「こんばんは。Newspeakです、楽しみましょう!」とRei(Vo)が投げかけた言葉を合図に、「Generation of Superstitions」から、Yohey(Ba)の肺を刺すような鋭利なリズムが体を揺さぶっていく。1曲に込められたテンションは起承転結が凄まじく、メンバーのコーラスも相まってあっという間にハイな気分に持っていかれる。しかもその高揚感がとてつもなくスムーズなのに、続く「Pyramid Shakes」ではアーバンでとろけるようなウェーヴィなリズムに体がどっぷりと浸かりこんでいく心地よさがやってくる。まったり緩やかではなく、Reiが紡ぎ続けるギターのリフがずっと気持ち良いところを突いてくるし、Steven(Dr)の細やかなビートが感覚をキンキンに研ぎ澄ますように覚醒させていく。
Newspeak
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「自由に楽しんでいる感じがして最高です!」、気ままに音に乗っかって踊り、揺れる観客を見て、ご満悦な表情を見せるメンバーはそのまま、11月2日(水)にリリースされたばかりのEP「Leviathan」から同タイトルをプレイ。疾走感、生音の気持ち良さを追求したバンドサウンドが高揚感をさらに煽っていく。かと思えば、「24/7 What For」ではとにかく複雑でタイトなリズムでフロアを圧倒。ロマンチックだけどダイナミック、アクセル踏みっぱなしのサウンドで先へ先へと進んでいくバンドになんとか喰らいついていく観客たち。Reiが奏でるキーボードのイントロが印象的な「Media」ではStevenのコーラスが秀逸だし、高まるグルーヴに思わず跳ね上がる観客たちもたまんない表情を見せてくれる。
Newspeak
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ライブはそのまま終盤「Bonfire」からより一層多幸&高揚感を増したサウンドで突き進み、The Novembersのステージへとイベントは続いていく。
Newspeak
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The Novembers

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転換中のBGMがThe Novembersのステージへの期待感を煽ってくる。コクトー・ツインズにスキニー・パピー、SOFT BALLET。オルタナやシューゲイザー、ニュー・ウェイヴ、ダークサイケと、The Novembersを構成するいろんなピースが見え隠れしていて、もうこの時点で楽しくってたまらない。
The Novembers
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「Singin’in the Rain」のSEに合わせ、メンバーがステージに登場すると、ゆるりと「あなたを愛したい」からThe Novembersの世界が開けていく。甘くて濃い、でも浸透率の高い音が感情を絡めとっていく。観客はみなまっすぐにステージに目を向けているけれど、ステージの照明は光が少なく、メンバーの表情はほとんど見えない。その分、音への集中力が高まり、どっぷりと彼らの音にハマりこんでいくことができる。曲終わりに向けてのケンゴマツモト(Gt)のギターの歪みは混沌とするほどに純度が高くなっていき、唯一無二の世界観を作り上げていく。
The Novembers
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ミドルテンポの楽曲のあとに続くのは「Rainbow」。吉木諒祐(Dr)が描く複雑だけど爆発力のあるビートがバンドの音を引っ張っていく。小林祐介(Vo.Gt)が叫びを上げ、高松浩史(Ba)が生み出す轟音のリズムが鳴り響くけれど、核を優しく包み込んでいくような、不思議な安心感を覚えてしまう。緻密に作り込まれた音は繊細で美しく、観客はただじっと立ち尽くすように音に浸っている。2007年に発表された、バンド初期曲「アマレット」では耽美な詞世界を2022年、今のバンドの音で再現。彼らがライブでよく言葉に出す「未来」という言葉を具現化したサウンドは楽曲に新たな解釈を生み出しているようで、言葉のひとつひとつがより甘美に耳に残る。
The Novembers
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バンドサウンドが一気に爆ぜたライブ中盤。「DOWN TO HEAVEN」、小林は頭を振り乱してシャウトし、不穏に鳴り響くギター、情緒不安定かと突っ込みたくなるほど緩急凄まじいリズム展開が続いていく。バンドの音に吸い込まれていくというより、怖いもの見たさでのぞき込むような感覚。このままついていけば間違いなく気持ちがいい。でも、そこから抜け出せなくなるような怖さもある。その感覚は次曲「BAD DREAM」で確信に変わる。洪水のように降り注ぐ音。照明が煌々と光り、逆光でメンバーの姿なんて何も見えない。でも目の前にいるのはわかるから、ただ信じて音についていくだけ。それだけで間違いなく気持ちが良くって、満足度の高いパフォーマンスの連続に観客はみな自由気ままに体を揺らしている。「Ghost Rider」「Xeno」と、果てしない陶酔感、エンドルフィンがどぱどば出ているのがわかって、もっともっと音を浴びたいと欲求が高まっていく。が、45分というステージの時間は驚くほど一瞬に終わりを迎える。
The Novembers
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小林はNewspeakのライブパフォーマンスに称賛の言葉を送りつつ、「(初めての出会いだけれど)思っていた何倍も幸せ」と、この日の企画ライブの満足度について思いを語る。そして「ぜひ受け取ってほしい」と、最後は「ANGELS」で優しい歌声とコーラスを響かせ、美しくもダイナミックなギターサウンドでオーディエンスを惹きこみ、ステージは終了。NewspeakとThe Novembers、唯一無二の世界観を持つ2組の初となる対バンイベントは大成功で幕を閉じた。

取材・文=黒田奈保子 撮影=松本いづみ

当記事はSPICEの提供記事です。

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