ラモーンズが出演した最高×最強の映画『ロックンロール・ハイスクール』の5曲

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俺たちのロジャー・コーマンが製作を務め、RAMONESや“ロックを聴くと爆発するネズミ”などが登場する『ロックンロール・ハイスクール』が俺たちのシネマート新宿などで上映中。意外にも日本初公開という本作は、ディスコ音楽をフィーチャーした作品を予定していたコーマンに、アラン・アーカッシュ監督が「ディスコに合わせて高校を爆破することはできない」と鶴のひと声を発したことから生まれたロックムービー。ロック前面禁止令を出した校長の妨害を振り払う主人公が自らの手で運命を切り開いていく痛快さ、徹頭徹尾貫かれる“B級映画の首領”コーマンの美学が堪らない。サントラにはALICE COOPER、PAUL McCARTNEY & WINGS、DEVO、THE VELVET UNDERGROUNDなど錚々たる面々が参加していますが「RAMONESがあまりにもカッコ良すぎる」という理由から、今回は4人が劇中で披露した5曲をピックアップします。社会的弱者の声が容易く無視され、踏み躙られる今こそパンクの力を!

■「Pinhead」(’77)/The RAMONES

本編も半ばを過ぎて使用されるRAMONESのライヴシーンから、やはり欠かすことのできないこの曲を。アルバム『Leave Home』に収録されているバージョンよりも疾走感と緊迫感がみなぎり、カラカラの孤独感を孕んだリリック、雷鳴轟かす雲のごときギター、蛇行するベースと軽快で硬質なドラムの絡みが“音楽は生き物”だと訴えかける。吐き捨てるように歌い上げるジョーイ・ラモーンのポーズが全て1枚絵のようにビシッと決まる様、「GABBA GABBA HEY」の掛け声を煽る姿が美しく、熱が高まるほど青く染まる炎を思わせる。「本当は推しをこのくらい近くで拝みたい」という隠したくなる欲求に応えるカメラワークも素晴らしい。

■「I Just Want to Have Something to Do」(’78)/ The RAMONES

マゼンダピンクとヒョウ柄で飾り立て、ナンバーの代わりに「GABBA GABBA HEY」をプレートに刻んだオープンカーに乗ったRAMONESが登場するのは上映開始37分頃。RAMONESのコンサートのチケットを買うために3日間並んだ主人公リフ・ランデルとグルーピーの喧嘩、どこにもつながっていないギターとベース、ドラムスティックだけで重心は低く、体と頭はどこまでも軽くなるサウンド出せるわけないという野暮なツッコミを柳に風で受け流し、虚無とグラマラスの境目を行き交うジョーイの隣で煙るギターの切り裂くような音色が鳴り響く。このシーンのクールさは劇場でしか体感できない。

■「I Want You Around」(’78)/ The RAMONES

制作された時代が時代なので、高校生が◯◯や◯◯を吸ったり◯を飲んだりする場面も出てくるポリコレをぶっちぎりな本作でラブソング「I Want You Around」が使われるのは、コンサートのチケットを没収されたリフが不貞腐れながら◯◯を吸い、レコードを聴くシーン。乾いた荒々しさは鳴りを潜め、甘やかで柔和なギターが印象的な楽曲に身を委ねながら「もしもRAMONESが私の部屋にいたら」と夢見心地になるリフの笑顔に“音楽の魔法”の定義が全て詰まっている。私たちが誰の、どれほどの支配下にあろうと、どんな制約に縛られなくてはならなくても、音楽に耳を傾ける心のゆとりがあるならば、簡単にどこへでも行けると。

■「Questioningly」(’78)/ The RAMONES

決して“RAMONESがカッコ良ければそれでいい”映画に止まらない本作は、指導室行きが日常茶飯事のリフと優等生ケイトのシスターフッド的友情や恋愛模様を軸のひとつとしてきっちり描いている。「Questioningly」はふたりがドライヴする車内のラジオから流れる楽曲。ギターの鮮やかな和音が午後の夏の日差しをイメージさせる、明るさと風通しの良さ満ちたソフトロックサウンドとは裏腹に、終わった恋のやるせなさを綴った歌詞を淡々と刻むように、しかしどこか切なげに歌うジョーイの声が印象的だ。いつまでも同じ場所に留まることはできず、時間だけは平等に流れてしまう人の営みの無常と無情は、「今、この瞬間」を痛みを伴いながら表現するパンクの理念に通じている。

■「Rock 'n' Roll High School」 (’78)/The RAMONES

すでにビジュアルで盛大なネタバレをしているのでオチを書いてしまうと、最終的にリフたちが高校をぶっ飛ばします。でも、オチを知ったら楽しめない部類の映画ではないので安心してください。黒煙を吐きながら燃え盛る高校をバックに、リフが書いた曲を受け取って演奏するRAMONES、4人のパフォーマンスに横ノリのダンスで応える生徒たちの爽快さは、誰にも奪うことはできません。力を持たない(と思われている)者たちを抑圧する権力を壊滅させるのは、暴力でも武器でもなく、情熱に心を貫かれた人々が空に振り上げた拳と、感動に震える声、満面の笑みなのだと思い知ります。パンクロック、反骨の精神、学校爆破。これだけ揃えば観に行かない理由なんてないでしょう。さぁ、今すぐお近くの映画館へ!

TEXT:町田ノイズ

町田ノイズ プロフィール:VV magazine、ねとらぼ、M-ON!MUSIC、T-SITE等に寄稿し、東高円寺U.F.O.CLUB、新宿LOFT、下北沢THREE等に通い、末廣亭の桟敷席でおにぎりを頬張り、ホラー漫画と「パタリロ!」を読む。サイケデリックロック、ノーウェーブが好き。

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当記事はOKMusicの提供記事です。

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