堀田真由「役としての魂がそこにないと、伝わるものも伝わらない」大河ドラマに通じる演技の基本を見つめ直したホラー映画の現場 『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』【インタビュー】

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 「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズ、『貞子vs伽椰子』(16)などで知られるホラー界の鬼才・白石晃士が監督・脚本・撮影を務めた『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』が、8月27日から全国公開となる。本作は、異界とつながるたたりの森を舞台に、迫り来る恐怖の真相に挑む映画監督・黒石光司ら、5人がたどる運命を描いたオリジナルPOV(ポイント・オブ・ビュー=主観視点)ホラーだ。主演は、NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも好演を見せた若手俳優の堀田真由。演じることの基本を見つめ直す機会となった撮影の舞台裏を聞いた。

-本作はPOVを用いたフェイクドキュメンタリー形式のホラー映画ですが、出演してみた感想はいかがですか。

これまでもホラー作品には何度か出演させていただきましたが、それとはまた違った作品だなと。私のようにホラーが苦手な方にも、きっと楽しんでいただける作品になったと思うので、あまり“ホラー”という枠にとらわれなくてもいい気がします。もしかしたら、別の名前を付けた方がいい新ジャンルかもしれません(笑)。

-フェイクドキュメンタリーということで、演じる難しさはありましたか。

私が演じた助監督の市川美保は、白石監督演じる黒石さんと一緒に怪奇現象の謎に迫っていく強い女性です。強い女性はエネルギーがあるので、その強さを出そうとすると、芝居が大きくなりがちなんです。でも、やり過ぎると、いかにも“演じている感”や“せりふを言っている感”が出てしまい、ドキュメンタリーっぽくなくなってしまいます。その辺を、白石監督と「難しいですね」とお話ししながらやっていました。特に、始まってすぐ、事件の発端となる麻里亜さん(筧美和子)の家を訪ねる場面は、バラエティー番組のロケのような感じなので、すごく難しくて、一番テイクを重ねたシーンでした。

-黒石役で出演する白石監督自身が、カメラを持って撮影していることも本作の特徴です。そういう状況で芝居をするのも、なかなかない経験ですよね。

監督が演者として現場にいらっしゃるなんて、普通はありません。でも、生でお芝居を見てくださる分、役者側の視点に立ってアドバイスをしてくださるんです。しかも、「こういうふうにやってほしい」ということを、言葉だけでなく、その場で実際に演じて見せてくださるので、とても分かりやすく、やりやすかったです。

-ところで、堀田さんは女優デビューがWOWOWの連続ドラマ「テミスの求刑」(15)だそうですが、本作もWOWOWで放送された連続ドラマを再構成した劇場版です。改めて、今回のオファーを受けたときの感想を聞かせてください。

WOWOWさんの作品で私は女優としてスタートさせていただいたので、その原点に戻って主演できるのはすごくうれしかったですし、恩返しができたらいいなと思い、今回のお話をお引き受けしました。

-改めて7年前のデビュー当時を振り返ってみて、どんなことを感じますか。

当時は“怖いものなし”でした。今になってみると、それも怖いと思うんですけど(笑)。仲里依紗さんの妹役だったんですけど、強い女の子で、お姉さんに対してものすごく強い言い方をするんです。それを見た事務所の先輩の寺脇康文さんから、「デビュー作で、こんなに強い口調で先輩にものを言える女優はいない」って言われました(笑)。そんなふうに、当時は「知らないからこその強さ」がありました。経験を重ねた今は、初めてのことが少なくなってきた分、逆に不安が増し、事前にいろんな準備をするようになりました。ただ、考え過ぎもよくないので、当時のような感覚を取り戻せたら…と思っていました。

-そういう状況で、ご自身の原点であるWOWOWの作品に帰ってきたわけですね。では、本作を通じてご自身の成長を実感したことはありましたか。

実は最近、自分でもどこかナチュラルに芝居をしている感覚が強くなっているんです。一時期、漫画原作の作品が続いたことがあるんですが、そういう作品の場合、原作のニュアンスを表現するため、どうしても大きく芝居をしたり、コミカルに演じたりする必要があるんです。それで、自分自身のナチュラルな感覚を忘れかけていたところがあって。でも、今回はフェイクドキュメンタリーなので、お客さんに芝居だと思わせないようにしないといけなかったんです。最近まであった“苦手意識”みたいなものを克服し、ナチュラルな感覚を取り戻せたのは、白石監督がそういうものを引き出してくださったおかげだと思っています。

-今年は初めてNHKの大河ドラマにも出演し、着実にステップアップしている様子がうかがえますが、本作でのそういう経験は、大河ドラマの現場でも生きたのでしょうか。

そうですね。大河でも、事前に「こうしてほしい」と言われていたことがいろいろあったんですけど、本番直前に監督が「すべて忘れて、比奈(役名)として生きてください」と言ってくださったんです。それって、結局はこの作品でも同じだなと思って。

-なるほど。

実は大河の現場で、私が覚悟を決めて決意を伝えるシーンを撮影するとき、段取りでは問題なくできたのに、本番で口元が震えてしまったことがあったんです。「失敗したかな…」と思っていたら、それがOKになったんです。監督も「本気で何かを言うときは緊張して当然だし、表情も、本当に思っているのと、ただせりふとして言うのでは全く違うから」と言ってくださって。作り込むのではなく、“その人として生きる”というのは、こういうことなんだなと。絵としてどう見せるかという問題もありますが、まずは役としての魂がそこにないと、伝わるものも伝わらない。そんなことを、この作品でも大河でも、改めて学ぶことができました。

-大河ドラマでも本作のようなホラー映画でも、演じることの基本は一緒ということですね。これからの堀田さんの活躍が楽しみです。それでは最後に、本作の見どころを教えてください。

連ドラの場合、毎週「次はどうなるんだろう?」とワクワクしながら待つ楽しみがありますが、劇場版は、臨場感あふれる映像と物語を2時間、ジェットコースターのように味わえることが一番の魅力だと思うんです。ものすごく臨場感のある作品なので、皆さんも私たちと一緒にオカルトの森に入って冒険するような感覚を、ぜひ劇場で体験してみてください。

(取材・文・写真/井上健一)

8月27日(土)から新宿ピカデリーほか全国劇場で【3週間限定】公開&デジタル配信開始。「WOWOW オリジナルドラマ オカルトの森へようこそ」金曜午後11時30分から【WOWOWプライム】で放送中。【WOWOWオンデマンド】で配信中。無料トライアル実施中[全6回]【ひかりTV】でも配信中。

当記事はエンタメOVOの提供記事です。

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