アデル、米ラスベガス常設公演の中止に打ちのめされたと語る「魂がこもっていなかった」

Billboard JAPAN



アデルは、彼女の人生において最も困難な時期の一つについてようやく話す準備ができたようだ。

英米版エル誌9月号のカバー・ストーリーで、アデルは今年1月20日の朝にSNSに投稿した、米ラスベガスのシーザーズ・パレスのザ・コロシアムでの常設公演をキャンセルすることをファンに涙ながらに伝える動画を思い出しながら、その日の朝を「私のキャリアの中で、圧倒的に最悪な瞬間」と指摘した。当時、常設公演開始のわずか1日前に突然キャンセルとなった原因についての情報はほとんどなかった。

あれから5か月間、アデルはこの決断について公に長々と語っていないが、同誌の記事の中で、「間違いなく、私はこれらの公演にとてもワクワクしていました。(あの時)私は、打ちのめされていました」とファンに伝えた。決断に至るまで彼女は30時間以上も一睡もせず、1週間前から考えていた選択肢について、「自分自身を拷問していた」と表現した。

当時、新型コロナウイルスのオミクロン株が猛威を振るっており、彼女のチームは縮小されたものの、少ない人数で多くのことを成し遂げていたようだ。しかし、何か月ものリハーサル、バンドの生活、それまでにショーに投資された多くの資金、そして米ラスベガスでの彼女の公演に参加しようと入念に計画し、チケットを購入した何千人ものファンを前に、アデルは彼らを失望させてしまうことが“怖かった”と説明した。

彼女は、今年1月21日にスタートする予定だった【Weekends with Adele】のプロダクションについて、納得がいかなかったようで、「魂がこもっていなかった」と振り返った。当時、彼女は新型コロナウイルスによる制作の遅れが原因だとしていた。「ステージのセットアップが適切ではありませんでした。それは、私とバンドとも調和しておらず、親密さに欠けていました。多分、管理された環境で私が親密性を与えようとし過ぎたのかもしれません」と明かした。

キャンセル発表後の最初の数か月は、“ばつが悪く”、“本当に、本当に辛かった”とアデルは当時を振り返った。しかし、その後、「(キャンセルは)とても勇気のいることだった。そして、私がしたようなことをする人はあまりいないと思います。アーティストとしての要求を貫いた自分自身を誇りに思う」と感じるようになり、自信が高まったと続けた。

プレス活動や他のコンサートを続けることで、キャンセルしたことを気にしていないように思われることを恐れ、アルバム『30』のプロモーションは実質的に中断せざるを得なかった。同アルバムから未発表のミュージック・ビデオが少なくとも1つあることに言及しながら、彼女は「誰にも私がベストを尽くしていなかったと思われたくなかった」と述べ、「でも、私はベストを尽くしました」と断言した。

会場となるザ・コロシアムのステージは、ステージ背景と客席最前列までの距離がアメリカン・フットボールの競技場の半分となる120フィート(約37メートル)と巨大で、水を使用した演出が可能だが、アデルは「2、3曲使うには素晴らしいが、その後は使い物にならない」と考えたようだ。

今回の記事は、34歳となるアデルがキャンセルを発表する前夜のドレス・リハーサルでとてもイライラし、15,700平方フィート(約1,460平方メートル)あるステージの端まで歩いていき、1曲目の途中で座り、マイクを取り外して、ほとんど誰もいない4,300席の会場に向かってアカペラで歌い始めたことが描かれている。アンプを使わずとも、「一番上の席まで聞こえていたようです」と彼女は説明した。

これまで世界中のアリーナやスタジアムを満員にしてきたキャリアにおいて、この小規模な会場で演奏することの親密さと気取らない感じを、「これこそがショーの一番いい所だ」と思ったと彼女は振り返った。「私のために、そしてあなたのために。これが私が求めるものです」と、目の前にいる少数の観客を思い浮かべながら付け加えた。アデルは、装飾品に溢れた米ラスベガスの華やかなステージを思い浮かべるような仕草で、「そして、(親密さや気取らない感じ)そのどれもが……ありません」と言った。

音楽のリリース、ツアー、ファンとの交流、そして新曲のプロモーション以外では表舞台から遠ざかるなど、常に独自の道を切り開いてきたアデルにとって、これは転機となった。18歳の時から彼女のマネジャーを務めるジョナサン・ディキンズは、「彼女にとって、本物であるということがすべてです」と説明した。「彼女が満足していないショーを行うことは、ファンに対して嘘をつくことになります」と続けた。

クリーブランド・キャバリアーズのフォワード選手であるケビン・ラブの結婚式に恋人でスポーツ・エージェントのリッチ・ポールと出席するために米ニューヨークへ飛び、9歳の息子アンジェロを連れてビリー・アイリッシュをO2で見るために英ロンドンへ戻るなど、アデルの驚異的な成功から想像されるような豪華な生活を送るアーティストの姿を記事は描いている。

アデルが、今年初めに【ブリット・アワード】に出演した際、英エンターテインメント・デザイン会社のスチュフィッシュにステージの制作の手助けを依頼したことがきっかけで、米ラスベガス常設公演が復活することになった。息子アンジェロの5歳の誕生日パーティーのテーマに着想を得たステージは、アデル自身がデザインした。彼女はクラフト・ショップのマイケルズに行き、スパンコールの束を買ってボードに釘付けにし、その場しのぎのフォトブースの背景を作成した。同アワードで、スチュフィッシュがその背景を見事に再現したので、米ラスベガスの振替公演の仕事を彼らに依頼したとアデルは説明した。

彼女は、「スタジアム・サイズのステージが、小さく感じるよう」に“石垣”になったセットをスケッチし、自宅の暖炉の上にある炉棚からインスピレーションされた“人形ステージ”に着地したと明かした。「私のキャリアの始まりから今までのストーリーを伝えたいです。あまり多くを言いませんが、ショーは成長します」とスケッチをもとに作られた新しいステージについて語った。「公演は成長するのです。音楽がすべてで、本当に、本当にノスタルジックです。とても美しいものになるでしょう」と続けた。振替となった24公演は今年11月14日にスタートする予定で、現在8日間の追加公演が決定している。

また、カバー・ストーリーは、アデルとスポーツ・エージェントのポールの恋愛関係についても触れている。彼女は、「こんな恋はしたことがありません。彼に夢中です」と、数年前に知り合い、彼女がアンジェロの父親と離婚した後の2021年に恋愛対象となったポールについて語った。再婚したいかと聞かれると、アデルは“ええ、絶対に”と答えたが、婚約したかという質問に対しては、“やんちゃな”無言の回答をした。「ええーと!うーん、そうですね。私は結婚していません」と彼女は笑いながら言い、「結婚していません!……私はただ恋に落ちているのです!この上なく幸せです。結婚するかもしれませんが……でも今は、私の頭の中はベガスのことでいっぱいです。完璧に成功させます」と意気込みを語った。

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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