『ウルトラマンデッカー』の挑戦的な描写に驚く。古参ファンが注目した斬新な要素とは

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7月よりスタートした『ウルトラマンデッカー』。つるの剛士さん主演の『ウルトラマンダイナ』のエッセンスを取り入れながら制作された本作ですが、これまでのウルトラシリーズとは異なる点が多々あるのだとか。古参ファンのライターが独自に語ります。
2022年は庵野秀明 企画・脚本・総監修、樋口真嗣 監督による『シン・ウルトラマン』が公開となり、普段、特撮作品を観ることがないというファン層からも「ウルトラマン」が大きく注目されている年です。

そんな2022年、新ヒーローとして降臨したのが、7月からテレビ東京系にて放送が始まった『ウルトラマンデッカー』。本稿では古参ファンの筆者がウルトラマンシリーズの歴史を紐解きながら、最新作の見どころに迫ります。これまでのウルトラマンシリーズには見られなかった数々の挑戦的な点とは。『ウルトラマンデッカー』本ポスター

『ウルトラマンデッカー』本ポスター

via 『ウルトラマンデッカー』本ポスター特撮ドラマの基礎を築いたウルトラマンシリーズウルトラマンシリーズの原点は、1966年放送スタートの『ウルトラQ』でした。当時、映画の中だけでしか観られないと思われていた怪獣たちが、自宅のテレビの中で暴れまわる姿に子供たちは大熱狂。その後継番組として始まった『ウルトラマン』でシリーズは本格的な幕開けを飾りました。

『ウルトラQ』は、ごくごく普通の人間たちが怪獣や宇宙人たちによる不可思議な事件を目撃し、いかにして解決されていくかというものを映し出したミステリー色の強い作品だったのに対し、『ウルトラマン』は怪獣退治の専門家である科学特捜隊や正義のヒーローであるウルトラマンを登場させることによって、「対怪獣」というバトルものに仕上げることに成功。

同作が今なお続く「ウルトラマンシリーズ」もとい特撮ドラマのフォーマットを築き上げたと言えるのです。『ウルトラマンデッカー』ティザービジュアル

『ウルトラマンデッカー』ティザービジュアル

via 『ウルトラマンデッカー』ティザービジュアルウルトラマンシリーズは、その後も継続的に制作されることになり、昭和の子供たちを大いに熱狂させたのちに、海を越え、ハリウッドでテレビドラマ化など、数々の歴史を経て、1996年、「平成ウルトラマン」と呼ばれるシリーズの幕開けとなる『ウルトラマンティガ』が放送開始となりました。

現在は、2013年の『ウルトラマンギンガ』よりスタートした「ニュージェネレーションヒーローズ」シリーズが展開中となっています。『ウルトラマンダイナ』から続く世界観2021年に放送された前作『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』は、1996年放映の『ウルトラマンティガ』25周年を記念して製作された、その志を引き継ぐ作品でした。

そして言わずもがな、2022年は「平成ウルトラマン」シリーズ第2作となった『ウルトラマンダイナ』25周年のアニバーサリーイヤーとなります。つまりは『ウルトラマンデッカー』は、まさに令和版の『ウルトラマンダイナ』と言えるわけです。1997年、『ウルトラマンティガ』の放送終了後にスタートした『ウルトラマンダイナ』は、前作から世界観を引き継ぎ、実質的な続編として製作されました。物語の舞台となるのは、ウルトラマンティガが姿を消してから7年後の世界。人類は、ネオフロンティアと呼ばれる宇宙開拓時代を迎えていました。

そんな中、謎の生命体スフィアが人類の宇宙進出を阻み、スーパーGUTSのアスカ・シン隊員はスフィアから火星基地を守るために立ち向かいますが、絶体絶命のピンチに陥ってしまいます。その時、彼のもとに光が現れ、新たなる光の巨人・ウルトラマンダイナとなるのです。

『ウルトラマンダイナ』配信記念!つるの剛士さん(アスカ・シン役)お祝いコメント!

via www.youtube.com
2022年に生きる私たちにとってはすでに過去ですが、当時としては近未来だった2017年を舞台としている作品です。

『ウルトラマンティガ』と同じく、敵に合わせて、バランスの取れたフラッシュタイプ、超能力を操るミラクルタイプ、パワーに優れたストロングタイプの三形態を駆使して、地球の怪獣や様々な侵略者たちと戦闘を繰り広げました。『ウルトラマンティガ』の延長線上にあるような作品ではありますが、より明るく、コメディ要素にも優れた作品だったのが印象深いです。前作の意思を受け継ぎながら、一線を画す『ウルトラマンデッカー』オリジナルの『ダイナ』が『ティガ』の続編であったように、『ウルトラマンデッカー』もまた『ウルトラマントリガー』の世界観を共有した造りになっています。

物語は、トリガーの戦いから7年後。人類の未知なる世界への探求心「ネオフロンティアス ピリッツ」が宇宙へと拡大した時代が舞台。『ウルトラマンデッカー』場面写真より

『ウルトラマンデッカー』場面写真より

via 『ウルトラマンデッカー』場面写真より
地球で煎餅屋の祖父を手伝う主人公アスミ カナタは、ある日、火星コロニーを襲撃し、地球を侵略しにやってきた謎の生宇宙浮遊物体・スフィアから身を挺して人々を守ろうとした矢先に、謎の光に包まれ、ウルトラマンデッカーへと変身を遂げる…といったストーリーが展開されます。

物語の導入部や主人公アスミ カナタの熱血漢で向こう見ずなキャラクター設定は、かつての『ウルトラマンダイナ』の流れと似ており、まさに『ダイナ』のエッセンスを引き継いでいるということを印象づけます。『ウルトラマンデッカー』場面写真より

『ウルトラマンデッカー』場面写真より

via 『ウルトラマンデッカー』場面写真よりしかしながら、この『ウルトラマンデッカー』は単なる二番煎じのリメイク作品というわけではありません。

まずウルトラマンデッカーのデザインに注目してみましょう。基本形態となるフラッシュタイプ、パワーに特化したストロングタイプ、超能力を駆使するミラクルタイプ…ダイナとタイプ名は同じものなのですが、デザインが全く異なっているのです。左右非対称なデザインやリアルな怪我に驚くまた、左右非対称であるというところも特徴的です。
ウルトラマンは基本的に左右対称のことが多く、胸のカラータイマーも真ん中に配置されていることが多いのですが、デッカーは胸に宇宙を思わせるプロテクターのようなものがあり、左胸にカラータイマーが配置されているのです。

背面から観た時でも左右非対称のデザインになっており、これまでのウルトラマンにはなかった斬新なフォルムが目を引くのです。『ウルトラマンデッカー』場面写真より

『ウルトラマンデッカー』場面写真より

via 『ウルトラマンデッカー』場面写真よりさらに驚かされたのは、第2話の展開です。
同エピソードで主人公のカナタは、訓練中に足にケガを負ってしまいます。足を引きずりながらも果敢に怪獣に立ち向かおうとするカナタは、人類のピンチにウルトラマンデッカーへと変身するのですが、なんと!変身後も足の怪我は治らずに、痛みを伴ったままでの戦闘を余儀なくされてしまうのです。

こういった“変身者の怪我”というのは暗黙のルールであるかのように、これまで多くの「ウルトラマン」作品では曖昧模糊にされてきた部分でした。そこをあえて明確にすることでリアルな印象を与えていることに大変驚かされた次第であります。『ウルトラマンデッカー』場面写真より

『ウルトラマンデッカー』場面写真より

via 『ウルトラマンデッカー』場面写真より『ウルトラマンデッカー』は物語に関しても、他のウルトラマンシリーズの作品とは一線を画すものになっています。

導入部でメインキャラクターを訓練生という位置付けにしておき、そこから防衛チームであるGUTS- SELECTへの入隊を目指すための試験のようなものを描き、入隊後も力が拮抗したメンバー同士で切磋琢磨し合い、時にはぶつかり、時には協力することで難局を乗り越えていく……まさに「友情・努力・勝利」の少年漫画のような三大要素が組み込まれた作品になっています。『ウルトラマンデッカー』場面写真より

『ウルトラマンデッカー』場面写真より

via 『ウルトラマンデッカー』場面写真より前作『ウルトラマントリガー』など、近年のウルトラマンシリーズには主人公と同年代のキャラクターを複数人登場させることで、お互いの相乗効果を作り出すという印象を受けましたが、まさに『ウルトラマンデッカー』ではそれが顕著に表れているということです。その他にも、『ウルトラセブン』のカプセル怪獣、『ウルトラマンメビウス』のマケット怪獣に続く、ディメンションカード怪獣の登場もあり、「昭和」「平成」と紡いできた「ウルトラマン」の歴史を受け継ぎつつも、全く新しい作品を創り出そうとする気概を大いに感じさせる作品が、この『ウルトラマンデッカー』なのです。

1990年代に幼少期を過ごした身としては、いずれは『ウルトラマンダイナ』と物語が繋がることを大いに期待したいところです。(執筆:zash)

『ウルトラマンデッカー』第1話 特別配信「襲来の日」 -公式配信-

via www.youtube.com『ウルトラマンデッカー』 作品概要放送開始日:2022年7月9日(土)
放送時間:毎週土曜日 午前9:00~9:30
放送局:テレビ東京系6局ネット 他
製作:円谷プロダクション・テレビ東京・電通
番組公式サイト:https://ani.tv/ultraman_decker/
作品公式サイト:https://m-78.jp/decker/
作品公式 Twitter: https://twitter.com/ultraman_series/
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京『ウルトラマンデッカー』 ロゴ

『ウルトラマンデッカー』 ロゴ

出演:松本大輝・村山優香・大地伸永・宮澤佐江・小柳友・黄川田雅哉 ほか
声の出演:土田大

メイン監督:武居正能/シリーズ構成・脚本:根元歳三・足木淳一郎
監督:辻本貴則・坂本浩一・越知靖・内田直之・中川和博・田口清隆
脚本:中野貴雄・継田淳・ハヤシナオキ・皐月彩・鶴田幸伸
オープニング主題歌:SCREEN  mode/エンディングテーマ:影山ヒロノブ
【あらすじ】
かつての怪獣災害もなくなり、平和を取り戻したかのような地球。
人類の目はさらなる宇宙進出へと向けられ、怪獣災害への対策規模は縮小傾向にあった。
そんな中、突如飛来した謎の宇宙浮遊物体「スフィア」による地球への襲撃が始まり、人類は宇宙との交信を絶たれ“孤島の惑星”となってしまう。
主人公「アスミ カナタ」の日常にもその魔の手が迫る。目の前で繰り広げられる破壊、ついに姿を現す巨大な怪獣。危険を顧みず、今そこにいる敵に飛び込んだその時、カナタは「ウルトラマンデッカー」へと変身を遂げる。
「今、やるしかねぇ!」デッカーの“光”を手にしたカナタは、日常を守るため戦うことを決意し、対スフィア部隊として再編成された新しいエキスパートチーム「GUTS-SELECT」の新人隊員として、若さあふれる仲間たちと共に巨大な敵に立ち向かっていく!■オープニング主題歌 「Wake up Decker!」
歌:SCREEN mode 作詞:松井洋平 作曲・編曲:太田雅友
CD 情報:2022 年 7 月 27 日(水) 発売
品番:LACM-24292/価格:¥1,430(税込)/内容:2 曲+Off Vocal
収録/レーベル:Lantis

■エンディングテーマ 「カナタトオク」
歌:影山ヒロノブ 作詞・作曲:影山ヒロノブ 編曲:寺田志保
リリース情報:後日発表【TDG25 周年】
1996年、実に16年振りの新テレビシリーズとなった『ウルトラマンティガ』(1996)、続く『ウルトラマンダイナ』(1997)、『ウルトラマンガイア』(1998)の3作は、国内外で熱狂的に迎え入れられ、瞬く間に屈指の人気作となりました。「平成三部作」や「TDG」(ティガ・ダイナ・ガイア)の呼び名で愛される作品たちの25周年に合わせて、様々な形で記念展開を行っています。

当記事はnumanの提供記事です。

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