ReoNa「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」に込めた意味と想い 「シャル・ウィ・ダンス?」インタビュー

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7月27日にReoNaの6枚目となるシングル「シャル・ウィ・ダンス?」が発売される。TVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』のOPテーマ曲であるこの楽曲は、今回の注目点はその豪奢な作りのサウンドとダブルミーニングも含んだ歌詞以上に、ReoNaが「踊る」ことだ。今回何故彼女は踊るという選択を選んだんだのだろうか? ReoNa本人に収録曲の事も含めてじっくり話を聞いた。

――今回の「シャル・ウィ・ダンス?」はTVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』のOPテーマ曲ですが、ビッグバンド編成だったりタップダンスだったり、かなり意欲的な作りですよね。

最初にお話をいただいた時は、まだTVアニメ『シャドーハウス 2nd Season』の決定は公表されてなかった時期なんですが、まずあの物語の続きが観られるというのが、いち作品ファンとして嬉しかったです。そして今度はオープニングテーマ曲として、あの可愛らしく不穏で怪しい物語の開幕を彩らせていただけるということで、どんな風に寄り添えるんだろうって思いました。

――凄い世界感強めの曲だと思いました、ちょっと音の作り自体もゴージャスじゃないですか。この構成というか、曲が来た時の印象はどうでしたか。

ストリングスもホーンセクションも鳴っていて、編曲の小松一也さんによるデジタルサウンドの派手さだったりとか分厚さだったりだとか、ファーストシーズンのエンディングテーマ「ないない」も小松一也さんに編曲いただきましたが、主題歌としてその時とはまた違った作品の彩り方ができる、と感じました。

――そして、その中でReoNaさんは踊ってらっしゃいます。これまでのReoNaさんのイメージと比べると新しい挑戦ですが、踊るっていうのはいつ決まったんですか?

この曲の歌詞を制作しながら、タイトルを「シャル・ウィ・ダンス?」にしようとチーム内で決めたときに、「シャル・ウィ・ダンス?」と歌っているのに、歌っている私が踊らないというのは違和感があったので、今回のMVでは「踊りましょう」という事になりました。楽曲の制作の中で、「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」がテーマになっていったんです。

――ReoNaさんって今までライブだと、ステージの真ん中から基本動かないで歌うスタイルを貫かれてきました。踊ることに対する抵抗だったり思う事は無かったんですか。

未知の領域なので、自分がどれぐらい出来るのかもわからないですし、いざ踊ってみた時に、それが歌の邪魔になっちゃうと、伝えたいことも伝わらないから、ちゃんと意図だったり想いだったりが伝えられる様に表現したい、という想いはありました。

――実際振り付けの先生もいらっしゃってレッスンがあったと思うんですが。

タップダンスの練習からスタートしました。実は、タップの先生もレオナ先生っていうんです。

――すごい偶然ですね。

レオナ先生に振り付けやレコーディング、私タップダンスのレッスンと全部お願いして。レオナ先生がレコーディングで実際に踊られているのを観て、タップシューズも今まで履いたこともないですし、タップダンスの知識も全くなかったので、これは大変だぞ、と思いました。

――難しかった?

難しかったです、本当に。アップテンポで速い楽曲なので、ターンなどの技術やタップダンス自体も結構速いっておっしゃってて。かなり苦戦しながら挑んだんですけど、何回目かのレッスンでは振りはほとんど入って、そこからはどれだけクオリティを上げられるか、MVの撮影日までの限られた時間の中でどれだけレベルが上げられるかみたいな感じでした。

――同じ名前の先生っていうのも縁を感じますね。

そうですね、撮影現場でも「レオナさん」って言われると2人とも振り返ってしまって。

――録音の段階からタップダンスの先生が来ていて、構成も今までの曲作りと変わってきますもんね。

まさに間奏のところで「ここはタップのソロの時間です」ってドラムと掛け合いみたいな感じで始まっていて、構成の時から小松一也さんにここにタップ入れたいですとお伝えして作っていただきました。

――MVも凄くリッチな作りじゃないですか。リアルアキバボーイズ(以下RAB)の皆さんのブレイクダンスもあったり、クワイヤーも入っていたり。



RABさんに関しては、元々ニコニコ動画が大好きで、ボカロ文化も大好きだったので、よく観ていたんです。そんなアニソン文化の流れの中にいる方々と、今回作品の世界に寄り添った楽曲で一緒にいられるっていうところで、すぐにどんな化学反応が起こせるんだろうっていうのは、始まる前から凄く楽しみでした。

――撮影は凄く大変だったと思うのですが、何かエピソードはありましたか?

本当にいっぱいあるんですけど、「ないない」に引き続き、「シャドーハウス」の主題歌という事もあって、「ないない」のミュージックビデオと同じ監督に、今作の制作をお願いしました。今回ダンスとか、チームとしてもこういうものを作って見せたいんですっていうところをお伝えして、最後出来上がるギリギリの段階まで全員がこうしたほうがいいんじゃないか? って手を入れ続けて……関わった人全員がフルパワーで考えぬいて出来上がった映像です。

――ご自身の中でこだわったという部分はあるんですか。

「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」を伝えたいんです。だからちゃんと私自身踊れないといけないし、いつもとは違った歌詞の世界を体で表現するものだったので、本当に全部手探りで。そんな私に対して現場にいる全ての人たちの熱がもの凄く高くて。その熱を映像に閉じ込められればいいなって、撮影しながら思っていました。

――歌詞の世界観っていうのもありましたけど、今回は毛蟹さん作曲、傘村トータさん作詞のコンビです。大サビの「いいな いいな 人間っていいな」って歌詞は面白いですよね。僕ら世代は『まんが日本昔ばなし』のエンディング曲を思い浮かべる一節ですが、『シャドーハウス』の曲として捉えると、人間を羨む事のダブルミーニングになっている。歌詞に対する印象もお聞きしたいです。

歌詞の部分も表現したいものに対して一筋縄ではいかなかったりする部分はありました。何度も何度も傘村トータさんが、本当に色んな切り口から書いてくださって、最後にたどり着いたのがこの歌詞なんです。傘村トータさんの世界観×『シャドーハウス』というところが絶妙に描かれていて、さすがだなって感じる部分が多いです。

――ReoNaさんの楽曲っていつも絶妙だと思っていて、タイアップだけどReoNaの曲として成立させる。という緊張感のあるラインを常に保って楽曲を作ってる印象があります。その中でも「シャル・ウィ・ダンス?」は明るくて派手で楽しい感じを受けますが、特にスリリングな曲だという印象を持ちました。

耳から入った言葉と音を真っ直ぐ受け取ると、シンプルに「一緒に踊りましょう」っていう楽しげな問いかけだと受けれる楽曲でもあるんですが、でもじっくりよく読んでいくと「にんげんっていいな」のところとかも、当たり前に思っている事だったらわざわざ言葉にしないなと思っていて。じゃああえて言葉にすることで、どこか皮肉めいたものも感じさせているというか、本当に「人間っていいのかな?」みたいな所も感じるというか。

――ReoNaの絶望の拡大解釈としては新しいステージの曲だなという印象はありますね。

まさに絶望という言葉の幅みたいなものが、制作の中でどんどん広がっているのは感じています。こういう言葉や角度で絶望を表現できるのか、という気づきというか。絶望って暗くて重くて苦しくてしんどくて大きいものっていうだけじゃないと思うんです。「これもまた絶望だよね」って寄り添いたいものがどんどん増えている感覚はありますし、そこに踏み出させてもらっている感じがあります。

――ReoNaさん自身の成長とチームの熱量の高さと、それを受け止めるファンに対する意識の拡大解釈が凄く面白いですよね。アニメと一緒に必聴な1曲な気がします。ちゃんと全部聴いて欲しい。

おっしゃるとおり、最初から最後まで全部聴いて欲しいです。アニメのオープニングで流れるところ以降にも、寄り添った言葉や想いがたくさんこもってますし。楽曲に込めた仕掛けみたいなものも、最後まで味わっていただきたいです。


――なるほど、次に2曲目「猫失格」ですが、これはこの前のツアーで既に披露された曲です。これは作詞・作曲傘村トータさん。これも可愛らしい空気の中を含みつつ、身近に落ちている絶望を拾っていくような曲になっていると感じました。

どこか傘村トータ節というか、まさに身近な絶望だったりとか、ともすれば自分の一番弱いところをえぐられるような言葉達だったりを、軽やかなメロディを1つ1つ置いていくみたいな作りに傘村トータさんの内面を感じました。

――サビの最後が「恥の多い生涯を送って来ました」って、太宰治の「人間失格」の一節なんですよね。「人間失格」と「猫失格」をここに掛けてるのかって面白かったです。

ハッとする遊び心も入っていながら、その実歌詞を紐解くと後悔や懺悔みたいなものを振り返ってるような歌詞になってます。例えば「人間失格」っていうタイトルで、ただ懺悔してるだけだと何の救いもない曲になると思うんですけど、それを猫にしてるところがユーモアだと思いますし、傘村トータさんの優しさなんじゃないかなと。

――メロディに「ねこふんじゃった」の一節が入っていたりぐらい軽やかですしね。ReoNaさん自身も猫を飼ってらっしゃいますし。

そうなんです、家にも3匹いる猫好きですし、名前の由来も猫科だし、私自身に寄り添ってもいただいてます。

――ツアーで披露した時の反応はどうでした?

新曲ということで、耳をすまして聴いてくださる方も多かった様に感じます。今回この楽曲のイントロに乗ってバンドメンバーを紹介したり、ちょっとだけ雑談をお届けしたりしたんですけど、各会場ごとに思い出が出来ました。

――特に印象深いものとかありますか?

Zepp Haneda(TOKYO)の初日では、ギターの高慶”CO-K”卓史さんを紹介した時に、ご本人が突然マジックを始められて、他のバンドさんやスタッフさんは知ってるのかなと思いながら眺めてたんですけど、蓋を開けてみたら周りの誰もマジックをやる事を知らなくて(笑)。もの凄く驚いたところから曲がスタートしたっていう事がありました。

――そういうエピソードも含めて温かい感じがする曲だと思います。そして初回生産限定盤と通常盤に入ってるのが「ネリヤカナヤ ~美ら奄美(きょらあまみ)~」、期間限定生産盤が「JAMMER」の二曲です。まずは「ネリヤカナヤ ~美ら奄美(きょらあまみ)~」からお話聞いていきたいと思います。この曲でReoNaさん、遂に作詞に名前が載りました。これは作詞は傘村トータさんと共作っていう形になるんですかね。

はい、一緒にという形です。

――方言という言い方でいいんですかね、奄美大島の言葉がふんだんに盛り込まれています。

「島口(しまぐち)」って島では言います。

――なぜ自分の出身地、生まれた場所である奄美をこれだけフィーチャーした曲を作ろうと思ったんですか?

今回の「シャル・ウィ・ダンス?」でアニメのテーマソングを歌わせていただくのが、実は1年以上ぶりなんです。この曲はReoNaにとって凄くアニソンらしいアニソン、強く作品に寄り添った一曲になっていると思っていて。そのカップリングを考えたとき、5月にリリースしたEP「Naked」でもまだ触れてなかった原点があるよねという話になったんです。そこで故郷の奄美大島にまつわる楽曲があってもいいんじゃないかと。

――生まれた場所を歌ってるというのは面白いなと思ったし、僕は聴いたときにエンヤ的なアプローチで作られていて面白いと思いましたね。奄美ではみんなこういう言葉で喋るんですか?

はい、島口で喋ります。私も地元に帰ると島口が出ます。実際に会話する中で普段使う言葉が入っています。


――「ネリヤカナヤ」というは桃源郷・ユートピアという意味ということですが、凄く印象的なのはサビで最後に「よーりよーり(ゆっくり ゆっくり)」って言うじゃないですか。どこかReoNaさんの奄美大島に対する想いなのかなと思いました。

うれしいです。あの島の中に流れているゆっくりな時間だったり、おおらかさや、たおやかさ。そこに流れている空気。人たちのゆっくりさがまさに詰まった言葉だなと思いますね。言葉自体がそういう雰囲気を持っているというか「よーりよーりで いいが」とか。

――今、東京で非常に忙しくアーティスト活動されてるじゃないですか。その中で奄美ってデトックスというか、自分を見つめ直せる場所なのかなと思ったのですが。

10代の時、意味も無く焦って、色々切羽詰ってた時とかに島に帰ると、みんな人のいざこざみたいなものにとても寛容なんです。なんかその無関心さ無干渉さが心地よかったんです。自分自身も自然と肩の力が抜けていくというか。この曲の制作のために島に実際に行ったんですけど、その時にもやっぱり私の血にこの場所はあるんだなと感じました。

――この曲、故郷に対する憧憬とか願いとか想いは描いてるけど、絶望は描いてないんですよね。それって今まで無かった気がしています。メロディの部分も民謡的な楽曲にするのではなく、比較的大陸的なアプローチの楽曲の作り方をしてるのは、凄くワールドワイドなものを感じました。

今回は島についての楽曲だけど、作曲が堀江晶太さんにしていただいてるのもあって、幅の広さはあると思っています。私自身もポップスって自由なんだなと制作の中で感じさせてもらいました。

――これだけゆったりと、たおやかに歌唱するReoNaさんも初めてな気がしています。

今回島に帰って、向こうの風景だったりご飯だったり、私が小さい頃実際に歩いてた道を通ったりしたんですが、まず詞が先か、曲が先かも全く決まっていなかったんです。でも先にこの曲の種になる最初の歌詞が傘村トータさんから出てきて、次に堀江晶太さんからメロディが出てきて。初めて聴いた時に、私の声も楽器の1つとして音を奏でるような曲だなと思ったんです。なのでメロディの美しさ沿うように、歌唱をぐっと持って行きました。

――ReoNaさんが作詞の部分に入ってるっていうことは、傘村トータさんが持ってきた原案の歌詞を「島口」に変えていったりとか、そういう部分で参加した感じなんでしょうか。

制作を進めるにつれて、原型だった歌詞から実はかなり変わっていきました。後にできた堀江晶太さんのメロディが凄く美しかったので、このメロディを生かすような言葉を置いていくなら? という話を傘村さんとさせてもらえることになったんです。「美しい」って島口では「美(きょ)ら」って言うんですけど、「美ら」って今回このメロディにサビの頭にはまりますねって話になって、そこから「ネリヤカナヤ」っていう言い伝えが島にはあって、海の向こうの遠い桃源郷のことで、沖縄では「ニライカナイ」って言うって話になったりしていって。

――ああ、「ネリヤカナヤ」は「ニライカナイ」と同じなんですね。

はい、それでReoNaにとっての「ネリヤカナヤ」ってきっと奄美だよねっていう話になって、こんな島口がありますっていう話だったり、頑張れないって「気張れん」って言うんですが、私自身が実際気張れなかった時に島の人が「よーりよーりでいいが」って言ってくれる温かさだったりっていうのを話して、歌詞ができていきました。
ReoNa 撮影:大塚正明
ReoNa 撮影:大塚正明

――そしてもう1つ。「JAMMER」ですが、頭からブラストビートで始まる激しい曲です。これは作曲編曲が毛蟹さんで作詞が傘村トータさん。ピアノも荒幡亮平さんですよね。

荒幡亮平さんです。今回はギターは初めてご一緒するMintJamのa2cさんに初めてお願いしてるんです。またギターの音色はちょっと今までに無い感じ担っていると思います。

――a2cさんはfripSideの楽曲にギターで参加されたりもしていますよね。「Only my railgun」とか。

今までReoNaのサウンドに無かった新しいギターを入れていただいているんですけど、それ以外は全部ReoNaバンドのバンドメンバーです。ドラムも比田井修さんですし、ピアノもたぶんライブとか来ていただいた方にはすぐ気付いてもらえるんじゃないかなってぐらい荒幡亮平さん全開ですし、ベースも二村学さんです。

――ざっくり分けると「Independence」系統の激しい曲になるじゃないですか。でもそこに傘村トータの歌詞が乗ってるのがおもしろいなと思いました。これだけ攻撃的な曲なのに、傘村トータさんどこか日常の切り取りをあててくるって、凄いいい意味でミスマッチでいいですね。

今までこういうタイプの激しい楽曲って神崎エルザstarring ReoNaとしての楽曲でやっていたことが多くて、ReoNaとして出すのは珍しいかもしれません。そこでまさに傘村トータさんっていう。

――あれだけ頭でブラストビートでドラムが鳴ってるのに一言目が「スカート穿きなさい」ていうところから始まるので完全に気持ち持っていかれましたね。この曲要は「うるさい!」っていうことじゃないですか。

そうです、キレてます。

――変な話ですが、ReoNaさんってこういうキレかたするんですか?

実際に「しのごのくらい言わせて」って私自身からでた言葉ですし、ほっといてよって思う局面がこの社会の中では多いなと思ってます。それこそスカートを穿きなさいもそうですし、仲良くするべきとか、人には優しくするべきとか「するべき」みたいな事の押し付けとか。

――それは多いと思いますね。

SNSをやってても、好きなものを発信しただけなのに、その好きに対してそれを嫌いな人がわざわざつっかかってきたりとか、常に誰かの目を気にしていなくちゃいけない、常に誰かの機嫌を取ってなくちゃいけないっていうのに対する怒りというか、ちょっとうんざり感みたいなものを傘村トータさんともお話させてもらって、私も実際生きてきてなかなか人に対して声を荒げて怒ったりだとか「やだ!」って言うことってなかなか難しくて、でもそれを変わりに言葉にしてくれてるものを聴くだけで、その怒りが収まったりとか、怒りって共感で癒されることってあるなと思っているんです。そんな誰かの想いを代わりにReoNaが叫ぶ曲になったらいいなと思います。

――これ、「JAMMER」って妨害とかいう意味の「jammer」と、「邪魔」が掛かってるじゃないですか。「あなたは邪魔」って言ってるのが2番では「私も結局あなたの邪魔」って言ってるのが凄く面白いですね。怒ってる方も別に建設的な怒り方をしていない関係値なのが興味深い歌詞でした。

生きてるだけでお互い干渉して干渉されてると感じます。なんというか、どこか陰鬱とした思いを抱えているような、オタク的な意識をもっている人のために怒る曲ってあまりなかった気がしてるんです。キレるんですけど、でもキレたあとに「そうは言っても私も邪魔だしな……」って反省しちゃうというか。

――最終的に相互理解できないっていうところで落ち着くっていうか。

実際怒った後に自己嫌悪に陥って、余計に怒りが収まらなかったりだとかするのもあるあるなのかなって思います。結果自分が一番疲れちゃうみたいな。でも「たまにはちょっと認めてよ」って心の内側の欲求もあるんです。

――ReoNaさんにもそういうのはある。

認められたかったです。なんだかんだ「どうでもいいし」って言いながらも、認められたかった。

――他人に対して「どうでもいいし」とか言ってはいたんですね。

「別にどうでもいいし」って言ってるけどその実は……っていうのはありました。

――それは今でもある?

ありますね。一生拭える事はないんだろうなって思います。


――「ネリヤカナヤ~美ら奄美(きょらあまみ)~」と「JAMMER」に関しては秋に予定されているツアー「"De:TOUR STANDING -歪-"」「"De:TOUR SEATING -響-"」も意識してるんだなって思いました。

実際まだこれから「歪」「響」、お互いどういう見せ方をするのかっていうのは詰めていくんですが、実はオールスタンディングのツアーって「Wonder 1284」以来やってないんです。久しぶりのオールスタンディングになるので、どういう感じだったかを思い出さないとならないなとは思っています。

――このツアー、正直体力的にも精神的にもしんどそうですよね。変な話セットリストを2個覚えないといけない。

そういうことになりますよね。

――それも踏まえてツアー前にこれらの楽曲を出してくるっていうのは、今回こういう感じでいくよ! っていう意思表明を感じたんですよね。

そこは期待していただけたら嬉しいなと思います。今回過去最多公演数なんです。9都市で16公演を回らせていただくので、本当に会場ごと特別な事ができたらいいなと思ってますし、初めて行く場所もあります。新潟もそうですし広島、香川に行くのも初めて。

――ReoNaさんは、デビューからほぼ休み無く動いてるじゃないですか。ライブとかツアーを発表しなかった時ってほぼ無かったと思うんですけど、デビュー時と比べて体力付いてきた感覚はありますか?

前よりは付いてきてると思いますけど、それでもまだまだだなって思います。自分の理想には追いついてないですし。ただその日歌うだけで精一杯というところからは、今日は何を伝えたいんだっけとか、この曲このお歌がどんな風に響いて欲しいんだっけとか、考えられることの厚みは増やせてきてるのかなって思います。


――なるほど。では最後にもう一つ、「シャル・ウィ・ダンス?」はキャッチコピーとして「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」ってつけてるじゃないですか。それがどこかしらトータルとして4つの楽曲含めた今のReoNaさんのシングルに対する想いだと思うんですけど。それを踏まえて、今だいぶ世界が混沌としてきてるじゃないですか。国際紛争があり異常気象があり……そんな中、絶望系を掲げてお歌を紡ぎ続けているReoNaさんが「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」を掲げる意味だったり意義だったり想いだったりを聞きたいです。

ここ数年間思い通りに動けないこと、出来ないことが色んなシーンや日常生活にあるのもそうですし、みなさん息苦しさみたいなものって凄くあったのかなって思っていて。そこでReoNaが何を発信できるだろう、どんな想いを届けられるだろうって思った時に「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」っていう言葉が出てきたんです。この言葉って、今を生きる人達に届けたい想いだよね、というのがチーム全体としてあって。

――なるほど

「テディ」で私は改めて「手を引かない。背中も押さない」って宣言したと思ってるんです。頑張れって言われるのが辛いって思ってる人がいると私は思っているから。でも、そんな私がちょっとだけ欲を出して、もう1歩だけプラスアルファで誰かを応援できないかなと思った時に出た答えが「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」っていう言葉だったんじゃないかと。

――言葉の強さ、重さ、温かさ、冷たさを知ってるReoNaさんが、踊りっていう行動で自分の想いを見せていくっていうのは発想の転換としてそれがあったか! と思わされた部分はありますね。

あえて踊るというか。私個人としては勿論チャレンジではあるんですけど、そうではなくて、手も引かずに背中も押さずに、もう一歩何かの役に立ちたかったんだと思います。

――先程も少し話しましたが、「シャル・ウィ・ダンス?」自身が結構スリリングだと僕は思ってるんです。結構刹那的なものを描いていながらも、コロナ禍を超えたら踊れなかった人達が踊れるようになるんじゃないかとか、そういう希望も垣間見えるというか。

想いが凄く分厚い1枚になりましたし、これから先この楽曲と色んな形で出逢っていただけるところがあると思うんです。ライブだったりラジオだったり作品だったり。その1つ1つでこの楽曲の中の「今だけは、すべてを忘れて踊りましょう。」っていう言葉の意味だったり、想いが届いてくれたらいいなと思います。

――お客さん達がどう受け取ってどう聴きこむのかも楽しみだし、ライブでどう化けるかも楽しみですね。

本当にこれから届くんだなって感じがしています。制作し始めてから半年間、色んな制作があって、楽曲と一緒にいて、ついにこれから届くんですね。どんな風に受け取ってもらえるかもそうですし、どんな風にライブで一緒に遊べるかだったりとか、本当に今だけはすべてを忘れて踊ってもらえる楽曲になったらいいなと思います。

――ReoNaさんと観客が一つになって、心躍ってるシーンを実際に見るのが楽しみですね。

ちょっとメラメラしてる部分は私の中であります。それを一緒に感じてもらって、今だけは、すべてを忘れて踊ってもらえたら嬉しいです。

インタビュー・文=加東岳史 撮影=大塚正明

当記事はSPICEの提供記事です。

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