自称「食べ物のことになると人格が変わる」掟ポルシェが綴る、食にまつわるエピソード集

BOOKSTAND

 ニューウェイヴバンド「ロマンポルシェ。」のボーカルであり、ユニークな文体でライターとしても人気を博す掟ポルシェさん。実は、自称「食べもののことになると人格が変わる」ほど食に執心する"食尽族"でもあることを皆さんはご存じでしょうか。そんな掟さんが執筆したグルメコラムをまとめ、限定コンテンツを追加収録したのが『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』です。

食の好みには、独自のこだわりを持つ掟さん。自分の中で音楽の好みと食の好みはとても似たところがあると言い、「玄人好みの大人な音作りの薄味な音楽はほぼ理解できません。耳でも舌でも『なんだこれは! こんなの今まで体験したことがない!』とショックを受けることが好きになる前提」だと記します。

その一端がうかがえるのが、東京・五反田にある某カレー屋さんのエピソード。このお店、出していない「うどん」が店名に入っていたり、「季節の夜かれー」というメニュー名にもかかわらず昼間も頼めたりと、謎めいたところがあります。しかしそれが掟さんのツボにハマったうえに、どうやらカレー自体も非常においしいのだとか。

「すごく美味しい! でもこんなの今まで食べたことがない! どうやって作ってるかわからない! なんでこんな未知の味を作ろうと思ったか、そこに辿り着く発想自体が素晴らしい!」(同書より)

「ここだけは未来永劫死ぬまで通う!」(同書より)

牡蠣を使った季節限定カレーが好きすぎて、自分でも再現しようと研究を重ね、試作品を食べ過ぎた結果、なんと急性の通風になったことまであるといいます。もうここまで来たら異常だよ......どれだけおいしいカレーが出てくるっていうの......と、読んでいるほうも俄然、食べてみたくなっちゃいます。

おいしかった料理だけでなく、頭にくるほどマズかったものやどこにでもあるチェーン店などについても、すごい熱量で語られているのが同書の面白いところです。「NO MORE おせち料理」「『バリカタ』と『やわ』......福岡のオリジナルすぎる麺文化」「美味さと安さの感動的な同居......『サイゼリヤ』最高!」といったコラムは誰にでもわかりやすいネタで、共感できる人も多いはず。また、料理上手な掟さんによる「生筋子の醤油漬けレシピ」「掟スペシャルタイカレー」といった"掟流レシピ"も掲載されていて、読んでいて飽きることがありません。

読むほどに味覚を刺激される『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』。食べることが好きな人にとっては、食の楽しさ・奥深さを再発見できる最高の一冊と言えるでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]

当記事はBOOKSTANDの提供記事です。