七夕の夜に続く「約束」 vistlip15周年記念ライブ『Domestic Strawberry Jam』レポート

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vistlip『Domestic Strawberry Jam』 2022.07.07Zepp Divercity


七夕の夜の「約束」と言えば、織姫と彦星が天の川で年に一度会える約束を思い浮かべるだろう。vistlipとファンの間にも、実は長年の「七夕の約束」がある。七夕はZepp Tokyoで必ず会おう。それが約束。今年の七夕からはZepp Divercityが新しい約束の場所として選ばれた。新しい会場での、ファンとvistlipの「一年に一度の特別な逢瀬」をレポートする。
撮影:高山 和久
撮影:高山 和久

今回のライブテーマは「ジャム」


会場近くでこんな会話が聞こえてきた。「初めてvistlipの七夕ライブに行ったのは、5周年のとき。当時は高校生だったのがもう20代になっちゃったね」vistlipが七夕にワンマンライブをやるようになって、今年で14年。それでも智(Vo)は言う。

「15年もバンドやってると、さすがに色々あるけど。何年経っても、やっぱりこの日は特別だね」

毎年七夕はZepp Tokyoでライブを行っていたvistlipだが、2022年始にZepp Tokyoが閉館したため、今年は初のZepp Divercityに河岸を変えての開催となった。Zepp Divercityの長方形のステージ上には、インダストリアルな雰囲気にパイプが入り組んだステージセット。白い衣装に身を包んだメンバー5人がステージに現れると、会場を独特の雰囲気に染めていく。

「いくぞ東京!」

智のシャウトと共に「Sara」からライブがスタート。
撮影:高山 和久
撮影:高山 和久

この日のライブのテーマは、『Domestic Strawberry Jam』のタイトルにもあるとおり「ジャム」。即興で音を合わせて演奏をしていくことを「ジャムる」と言うが、メンバーの即興やセッションも見せていくというのがライブテーマだという。定番のライブアンセム「FIVE BARKIN ANIMALS」では、コロナ禍で出番が減っていたタオルをぶん回し、BGM「METAFICTION」ではジャズっぽいアレンジに会場もステージも揺れる。スウィングする楽器隊、ステップする智もライブらしいグルーヴ感を楽しんでいたようだ。

「HEART ch.」「STRAWBERRY BUTTERFLY」など、定番の曲たちもテンポやアレンジが違うだけで新鮮に聴こえる。「星一つ灯らないこんな夜に。」「SINDRA」と、vistlipのファンなら七夕に聴きたいと思える曲を惜しみなく前半に盛り込んでくるセットリスト。

「彩」ではTohya(Dr)のドラムの前にメンバーが集結し、瑠伊(Ba)のベースラインが巨大なうねりとなって会場を飲み込む。海(Gt)のガナり立てるようなシャウトに合わせてジャンプした客席に、フロア全体が大きく揺れていた。「OBLATE SCREEM」では海とYuh(Gt)がギターをエレアコに持ち替え、水の中のような幻想的なライティングの下アコースティックなアレンジを披露した。

アフターコロナのライブ現場は「声出しNG」「笑い声はオッケー」!


vistlipの魅力は、 4人のコンポーザーを抱えることによる多様な音楽性だと思う。そして完成度が高く耳に残るメロディーライン、智の透き通ったヴォーカル。武器はたくさんある。でも、この日のライブでのvistlipの武器は「バンドらしさ」であったと思う。

「音色」から「HONEYCOMB」の曲中にメドレーで「LIFE」「夜」「Act」のサビを繋ぎ、しっとりとした「アーティスト」へ。ライブで何度も聴いた曲も、アレンジが違えばバンドとしての「生っぽさ」を感じられる。即興性というテーマが、しっかり伝わるライブ構成だった。

智がMCでも語っていたが、以前インストアライブでやってみたアコースティックアレンジから、メンバー間で「もっと他のアレンジもやっていきたいと思った」のだという。こうした「自分達の音楽への興味」を周りに影響されることなく追求できるところも、彼らの魅力なのだと思う。

未だコロナ禍の影響が完全に消えたとは言えないライブ界隈。この日の会場では、声援はNGだったが「笑い声はオッケー」。ラフなMCが定番なvistlipとしては「おれたちにとってはありがたい話だね」と笑い合っていた。タオル回しも声出しも銀テープも、ライブの現場から「感染対策のため」としてなくなったものが、少しずつ戻ってきているのを感じる。

この日のライブでも、コロナ前とまでは言えないまでも、ライブの醍醐味を改めて感じられたのではないか。
撮影:高山 和久
撮影:高山 和久

「TIMER」からライブでは定番曲である「偽善MASTER」へ。ラストの「LION HEART」では、Tohyaがお立ち台の前に出てきて海のシャウトを真似ると(Tohyaいわく海のシャウトは「ヤッソィ!!」)、そこからまさかのメンバー間マイクパスが実現!

Yuh→瑠伊→智とフリースタイルを披露した後は、本物のMCである海のシャウトで締められると言う完璧な流れによって、本編ラストが完結した。

「お前たちが迷子にならないように、照らし続けていけたら」


アンコールを求めるファンの手拍子に応えて現れたのは、この日のライブテーマに合わせていちご帽子を被ったTohya。ライブアンコールでは定番となっていた『PUC(パンダ・うさぎ・コアラ)でホイホイ』のコール&レスポンス(声出しなし)で会場を大いに盛り上げる。会場を盛り上げまくったTohyaの呼び込みによって、メンバーたちもステージに戻りアンコールへ。

「七夕は特別な日。僕たちは毎年同じ願い事をしています。来年もここで会えますように…誓いを込めて歌います」そして「-OZONE-」へ。

七夕の織姫と彦星のように、1年に一度、このライブだけしか来られないファンもいるかもしれない。それでも、七夕にこの場所に来れば、きっと会える。変わっていることもあるかもしれないけど、これから先何年でも、この場所で再会しよう。これが毎年の七夕ライブのテーマであり「-OZONE-」の歌詞に歌われていることでもある。
撮影:高山 和久
撮影:高山 和久

「Hameln」、曲中に銀テープが飛び出した「NEXT」を経て、ラストソングはこの日に演奏されるための曲である「Jully Ⅶth」。智はMCで声を詰まらせながら「大変な時期だった」とコロナ禍のバンドのつらさを一部吐露した。バンドだけでなく、さまざまな業界が影響を受けたと思うが、智は「もう立ち止まらない」と言う。

「今まで七夕に何度もライブをやってきたけれど、やっぱりこの日だけは特別なんだ。ファンのみんなが、今まで俺たちを照らしてくれたと思う。俺たちも、お前たちが迷子にならないように照らし続けて行けたら。来年の七夕も、また会いましょう」

星の光にも似たライトがたくさん光る中で、この日のライブは幕を閉じた。きっと、来年も七夕はお台場に来るだろう。七夕の「約束」が、これから先もたくさんのファンの希望になっていく。そしてその希望が、vistlipのこの先を照らし続ける。そうした営みが続くことを、来年も再来年も、記事に書き残していきたいと思っている。

取材・文=戸崎 友莉

当記事はSPICEの提供記事です。

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